六角オセロ & 右・石田流 & 目くらまし戦法

六角オセロ と 六角碁 と 将棋の浮き飛車めくらまし戦法 の考案者です

あゆみの絵ハガキ SF傷だらけの天使 63話

2021-04-01 17:28:09 | Weblog
あゆみの絵ハガキ



よう子が、勝間屋の店先で立ち止まった。
「あっ、本物のわらび餅だわ!」
高野山の本わらび餅と書いてあった。
アキラも見ていた。
「本物のわらび餅って?」
「値段も高いし、色が黒色でしょう」
「うん。六百円は高いよねえ」
「わらび粉は貴重品なので、高いのです」
「へ~~え、そうなんだ」
「本わらび餅は、そのままでも、とっても美味しいんです」
「黄な粉とかつけなくても?」
「はい。そのままのほうが美味しいです」
「へ~~~え」
「よく売られている白色のやつは、ほとんどがサツマイモのデンプンで作られているものなんです」
「サツマイモのデンプンか。じゃあ、わらび粉じゃないじゃん」
「だから、わらび餅粉って書いてあります」
「なあんだ、インチキだなあ」
「そうです。貴重なわらび粉は、ほとんど入っていません」
「だから安いんだ」
「味も全然違います。本物は、口の中でとろけるのです。とっても上品な味です。醍醐天皇(だいごてんのう)の大好物だったんですよ」
よう子が一パック買ったので、二人も、それぞれ買った。
ショーケンが呟いた。
「でも、ワラビって、牛と馬には中毒になるから食べさせないんだよなあ」
「それは、茎や葉の部分です。アクがあるので生では食べられません。わらび粉は、根から作られているので大丈夫です。昔は、お米の非常食だったんですよ」
三人は勝間屋に入った。
「そうだ、あゆみちゃんに、無花果を買ってきてあげようっと」
麻田洋子も買い物をしていた。
「あら、みなさん。」
三人は、同じように挨拶して、軽くおじぎをした。
「ショーケンさん、サツマイモを近くの農家から、仕入れておきましたよ」
「ありがとうございます」
・・
ドームハウスに着くと、あゆみが公園で、ロボット犬のドームと遊んでいた。
「あゆみちゃん、おみやげ買って来たわよ~~」
よう子は差し出した。
「わ~~あ、無花果だ~~~!」
「好きだったわよね?」
「はい、大好きです。ママに見せて来ま~~す!」
いなくなった。
「ドームくん、こんにちわ」
「こんにちわ」
よう子は意地悪な質問をした。
「ご機嫌いかがですか?」
「ご機嫌・・?ロボットは、いつも同じです」
あゆみが、画用紙を持って戻って来た。
「ママは料理を作っていたわ」
「じゃあ、後で一緒に食べてね」
「はい。さっき、絵を描いたんです。見てください」
ポストにハガキを入れている絵だった。
「鎌倉の友達に、ハガキを書いたんです」
「上手だねえ~~、ハガキに何を書いたの?」
「わたしとママとドーム君とドームハウス。ドームくんにも見せてあげたわ」
「偉いわねえ~~」
「でも、住所と名前は、ママが書いてくれたの」
ドームも、絵を見て「上手いですね~~」と言った。
よう子が質問した。
「ドーム君、絵、分かるの?」
「失礼な、分かりますよ~~」
「かたちが分かっているだけでしょう?」
「はい、そうです。駄目ですか?」
「それじゃあ、分かったとは言えないわ」
「そうなんですか?」
「絵にはねえ、人間の気持ちが描かれているの」
「気持ちですか?」
「永遠に分からないと思うわ」
「わたしの頭脳では分かりません」
あゆみが言った。
「ドームくん、分からないときには、いつもこう言うのよ」
小鳥が近くで鳴いていた。
ドームも、小鳥の声で鳴きだした。
「ドームくん、小鳥の真似が上手いの」
「ドームくん、上手!上手!」
小鳥たちも、ドームくんに負けないように、さえずっていた。


近くの道路を、蒸気機関車のような乗り物が走っていた。
あゆみは、びっくりした。
「うわあ、何あれ?」
「幼稚園のバスよ」
「バス?おもしろいわあ~~」
「乗りたい?」
「ちょっとね。幼稚園に行ったら乗れるの?」
「そうよ」
「じゃあ、いいわ。お金がかかるから」
だけど、あゆみは少し寂しそうな顔をしていた。
「幼稚園には行かなかったけど、ときどき、将棋のお爺ちゃんと教会に行っていたわ」
「大きな教会?」
「小さな教会」
「何しに行っていたの?」
「お弁当をもらいに」
「そうなんだ」
「お爺ちゃん、お金が足りないって言っていたわ」
「そうだったんだ」
「ときどき、旗振りの仕事に行っていたわ」
「ふ~~~ん」
「道路で、旗を振る仕事って言っていたわ」
あゆみは、大切なことを思い出すように、ていねいに語っていた。
「幼稚園に行くより、ここで、ドーム君と遊んでいたほうがいいわ。
ドームは言った。
「ど~む、ど~む」
あけみ「なあに、それ?」
「だじゃれです」
「変なの。でも、ちょっとだけ面白かったわ」
「ど~む、ど~む」
ドームハウスの道路を、ドームハウスの甲斐よしひろが、ギターを弾きながら、歌って歩いていた。


kai Five 吟遊詩人の詩

空戦・袖飛車 & 空戦・石田流


倉田まり子に似てる SF傷だらけの天使 19話

2021-04-01 08:45:30 | Weblog

倉田まり子↑

次の日も、よう子は、ハイジのような服装でやって来た。
「おはようございま~~~す!お弁当、つくってきました~~」
アキラは喜んで答えた。
「よう子ちゃ~~~ん、ありがとう~~」
ショーケンは、コーヒーを飲んでいた。
「よう子ちゃん、朝から元気だねえ」
「毎日、ピクニックみたいで楽しいで~~す」
アキラは鋭かった。
「でも、今日の小島さんには、ちょっと暗い影が見えてますねえ」
「えっ?」
「アキラ、朝から妙なこと言うなよ」
「暗くて悲しい影が・・・」
「アキラさんは、鋭いなあ~~。犬丸さんと同じだわ」
「何かあったんですね?」
「実は昨日、帰宅したときに・・」
彼女は、昨日の篠原英子のことを話し始めた。
「それは、ひどいねえ~~」
「彼女、難病のパーキンソン病なんです」
「腹立つなあ、その会社、高野山なの?」
「九度山です」
「真田忍者の九度山?」
「そうです、よく知っていますねえ」
「真田幸村のファンでしたから」
「最近、人の心に鈍感な人って、多いですねえ」
「そういうのを、感情鈍麻って言うんだよ」
「詳しいですねえ」
「精神病の言葉」
「やっぱり、アキラさんは、心に敏感な人だわ」
「そうかなあ?」
「犬丸さんと同じ、心の超能力ですね」
アキラは、よう子の目を見ていた。
「その目、犬丸さんと同じだわ」
よう子は、目を閉じた。
「これで、心は見えないでしょう?」
「見えてますよ、無駄です」
よう子は目を開けた。
「どうして見えるの?」
「テレパシーみたいなものですね。感情が脳に入って来るんです」
「ふ~~~ん、そうなんだ」
ショーケンが立ち上がった。
「そろそろ出かけるか!」
「自転車でですか?」
「今日は、りゅうちゃんに頼んでおきました」
三人は、隆二のクルマに乗り込んだ。
「りゅうちゃん、穀物抜き食事は、どう?」
「身体のオン・オフの切り替えが良くなって、調子いいですよ」
「へ~~え、そうなんだ」
麻田洋子の自宅に着いた。待ってたように洋子が出て来た。
「全部、売れたんですって!びっくりしちゃった」
「こっちも、びっくりしましたよ」
「じゃあ、早速取りに行きましょう」
「今日は、小さいのもください」
「はい。じゃあ、小さいのは五十円でいいです」
・・
「さてさて、今日も百二十個調達できたし、そろそろ始めるか!」
三人で石焼き芋を焼いてると、篠原英子がやって来た。
みんなは「ひでちゃん、おはよう」と言った。
「みなさん、おはようございます」
アキラは英子の目を見ていた。
「まだ焼けていないので、もう少し待ってください」
「あら、どうして欲しいって、分かったんですか?」
「ひでちゃん、この人も犬丸さんと同じ人なの」
英子はミニスカートを履いていた。
「どこかに行くの?」
「今日も面接に」
「寒いのに、短いスカートで?」
「温熱タイツ履いてます。このほうが、男の人には受けるんじゃないかと思って」
「そうかなあ?」
「世の中って、そんなもんじゃない?外見で判断するんじゃない?」
「そういう人ばかりじゃないと思うよ」
「そういう会社は、ろくな会社じゃないってことだね」
「アキラさんの言う通りだわ」
英子は微笑んだ。
「ここにいると、なんだか心が温ったかくなってくるわ」
「ひでちゃん、朝ご飯は?」
「何も食べてません」
「だいじょうぶ?」
「たぶん、大丈夫です」
アキラ
「何か食べて行ったほうがいいよ」
「お金が無いんです」
「ちょっと待って」
よう子は、紙バックから取り出した。
「これ、あげる」
「何ですか?焼き鳥?」
「高野豆腐の串焼き、おいしくって栄養があるのよ」
プラスチックの容器に三本入ってた。
「へ~~え、初めてだわ」
「遠慮しないで、食べてよ」
「いいんですか?これ、よう子さんの分では?」
「いいんですよ。他にもあるから」
「じゃあ、いただきます」
英子は食べた。
「うわあ、おいしいわ~~~」
「でしょう!全部、食べて」
ショーケンが石焼き芋機の蓋を開けた。
「ひでちゃん、焼けたよ。一つあげるよ」
「いいんですか?」
「いいよ。これで元気になるんだったら」
「ありがとうございます」
アキラが缶の緑茶を持って来た。
「はい」
「おいくらですか?」
「今日はサービス。お金は要らないよ」
「ええ~~~、いいんですか?」
「面接、頑張ってね」
「ありがとうございます」
ショーケン
「仕事も無く、お金が無いと大変でしょう?」
「スーパー勝間屋さんから、賞味期限切れの食材や、売れなくなった野菜を頂いて生活しています」
「ひでちゃん、そんなミニスカートで寒くないの?」
「温感タイツ履いてますから、大丈夫です」
「油断すると、風邪ひいちゃうよ」
「まだ若いので大丈夫です。ところで、アキラさんは、おいくつですか?わたしと同じくらいに見えるんだけど」
「二十五だよ」
「うわ~~~あ、私と同じだわ!」
「そういう感じだと思ってた」
「ひでちゃんは、スタイルがいいねえ。なんかやっていたの?」
「テニスと剣道」
「剣道!」
「初段でした」
「すごいねえ~~」
「アイドルみたいに可愛いし」
「ありがとう」
ショーケン
「倉田まり子に似てる」
「母も、そう言ってます」
アキラ
「面接、がんばってね」
「はい、頑張ります!」
彼女は、食べ終わると、「じゃあ、行って来ます」と言い、三人に一礼して出掛けて行った。
アキラ
「あんな格好で、ほんとうに大丈夫かなあ~~」
冬近い高野山には、ひんやりとした風が吹いていた。
アキラ
「ひでちゃんって、病気だけど、なんか素敵だね」
よう子
「剣道やってたから、歩き方がしっかりしてるわ」

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