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星 力馬 俳句日記

元高円寺メトロノーモの店主
星 力馬の日々の俳句

ずんだ餅 ━中村汀女

2006年09月20日 | 当季雑詠
 曾祖母とをりし縁側ずんだ餅

ずんだ餅は、枝豆をつぶして仕立てた餅。仲秋の名月に供える習慣がある。
30年以上まえの子供のころ、今よりもきれいな東京の空にお月見をしたのは、ずんだ餅の甘さとあいまって懐かしい。
今日は、中村汀女(なかむら ていじょ 1900-1988)の忌日。熊本出身の俳人で、星野立子、橋本多佳子、三橋鷹女と共に、女流俳人4Tと謳われた。ホトトギスの中で、早くに虚子に認められ、3歳下の立子と競うように学んだ。戦後には、「風花」を創刊主宰して、現在の女流俳人隆盛の一端を担った。
 外にも出よ触るるばかりに春の月
 咳の子のなぞなぞあそびきりもなや   汀女
実生活では、官僚の夫に伴い全国を転々とし、その句には主婦の実感が溢れたものが多い。
 秋雨の瓦斯が飛びつく燐寸かな     汀女
いまは、ガスにマッチで火をつけることはなくなったが、家を守る女性らしい句である。
小生が7歳のときに亡くなった曾祖母は、汀女より10歳ほど上の世代であった。
汀女の肖像と俳句は、どこからかその曾祖母を思い出させてくれるような、明治の女性の強さと美しさを感じる。

(角川書店「合本 俳句歳時記」では「ずんだ餅」は季語に挙げられていません。「枝豆」「月見豆」があるのですが、それに順ずるということで季語として使いました。)

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