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「ひきこもったまま年を重ねれば、親やきょうだいの人生にも影響が。8050問題を7040で食い止めるには」畠中雅子×岩井志麻子×池上正樹

2021-11-22 13:30:00 | 日記

下記の記事は婦人公論.jpからの借用(コピー)です。

子どもが自立した生活ができないまま歳を重ねることになれば、親やきょうだいの生活設計にも大きな影響が出ます。多くのひきこもり当事者を取材してきた池上正樹さん、「働けない子どものお金を考える会」を主宰する畠中雅子さんに、脛齧り中の息子を持つ岩井志麻子さんが、「8050問題」に潜む背景を聞きました。家族が前向きな気持ちになるための方法はあるのでしょうか(構成=篠藤ゆり 撮影=本社写真部)
誰でも、何歳からでもひきこもる可能性はある
池上 いま幅広い世代から関心を集める「8050問題」ですが、その多くは、言うなればひきこもり問題が長期化した結果。そのうえ、2020年からのコロナ禍でひきこもり層がさらに厚くなり、深刻さを増しています。
岩井 失業をきっかけにひきこもった人は、コロナが収束したらまた働きに出ればいい、というわけにいかないですよね。
池上 キャリアを積んできたのに、いきなり解雇されるわけです。これまでの経験を生かせる仕事ばかりではないし、コロナという特殊な状況下で、有効求人倍率は低いまま。当事者団体である「ひきこもりUX会議」の調査では、「この1年で失業して、ひきこもりになった」と自認する人は、全体の25%を占めるそうです。
岩井 社会から否定された、と受け取ってしまうんだろうなあ。私はこれまで、ひきこもりは不登校などがきっかけ、つまり10代から続くものだ、と思ってきたんですが、必ずしもそうではない、と。
池上 誰でも、何歳からでもそうなる可能性があります。
畠中 私はファイナンシャルプランナーの立場から、親の死後、働けない子どもが生きていくにはどうすればいいか、いわゆる「サバイバルプラン」を提案しています。相談にこられるのは主に親御さんですが、お子さんがある時期までは順調に社会生活を営んでいたケースは少なくありませんよ。
岩井 子どもの幼少期から不登校などに対応してきていれば、親も多少悩みに慣れているだろうけど、50代や60代でいきなり向き合うことになったらキツいでしょう。
畠中 たとえば、2人いる息子さんがいずれも一流大学を卒業し、大手企業に勤務していたのに、40代になって家を出られなくなり、退職した、という方がいました。
岩井 2人ともひきこもりに? なにがあったんだろう。
畠中 自慢の息子たちだっただけに、受け入れられないご両親はパニック状態。近所の人とも顔を合わせられない、と明け方4時くらいにゴミ出ししているそうです。
池上 要因は人それぞれですが、ひきこもる人の多くが就労経験者なのは、職場で受けたパワハラ、モラハラ、人間関係のこじれなどの社会的ストレスが引き金となるから。特に学生時代にいじめや暴力を受けた過去があると、その当時は不登校にならなかったとしても、上司の怒鳴り声でフラッシュバックしてしまうんです。
岩井 家族にとっては突然でも、本人には引き金となる出来事があったんですね。
畠中 私の相談者には、発達障害が理由で社会生活を順調に営めず、ひきこもってしまう人が多いんですが、日本の最難関大学に入学したあと履修届の仕組みや手順がわからず、退学した人もいました。
岩井 なんじゃそれは! せっかく受かったのに、もったいない。
池上 発達障害は脳の特性によるもの。試験問題を解く記憶力は優れていても、手続きといった事務作業や、わからないことを人に尋ねるコミュニケーションが苦手だったりします。だからそれまで順調な人生だと思っていたのに、進学や就労をきっかけにひきこもってしまうことが起きるわけです。

あなたの育て方は間違っていたわけではない
岩井 実は私には、28になる息子がいまして。ひきこもりではないんですが、その日暮らしのアルバイト生活。定職に就いたことがないんですよ。恥ずかしながら家賃も私が払い、小遣いも与えております。ただあと20年もこの状況が続いたら、と思うと不安で不安で。
畠中 お子さんは、息子さんだけですか?
岩井 いえ、息子の上に娘もいます。私は岡山で最初の結婚をして、なんやかんやあって離婚したとき、子どもたちを夫のところに残してきたんです。それでも息子は中学を卒業後、「お母さんのところに行きたい」と東京にやってきました。大学では映画の勉強をし、監督や脚本家や役者など、いわゆる映画まわりの夢を追い続けるままに親のすねをかじっているわけです。
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人間関係 健康 話題 座談会
「ひきこもったまま年を重ねれば、親やきょうだいの人生にも影響が。8050問題を7040で食い止めるには」畠中雅子×岩井志麻子×池上正樹
【座談会】家族の変化が、子どもの転機に〈前編〉
畠中雅子 岩井志麻子 池上正樹

ひきこもり 親子 ストレス「親の後悔はネガティブなメッセージとして子どもに伝わる。それでは事態がよくなりませんね」(岩井さん)
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池上 息子さんは、小説家でありタレントでもある岩井さんの生き方に憧れているんじゃないですか。
岩井 どうなんですかねえ。彼の父親は岡山で手堅い商売をしているので、ときどき会社も手伝ってはいるようです。家賃と小遣いは母ちゃんに出してもらい、「いざとなったら親父に雇ってもらえばいい」みたいなことを言うので、「世の中、舐めとるんか」と突き放したくもなりますよ。ただ、知人が息子さんへの援助を断った途端、息子さんが孤独死してしまったことがあって……。
畠中 確かに、援助をいきなり断って、うまくいったケースは見たことがありません。親にとってはギリギリまで我慢した結果なのでしょうが、極端な手段はとらず、ソフトランディングしないと。
岩井 それは、私から息子に声をかけるのがいいんですか。
池上 子どもの人生設計を考える際、親が先回りしすぎるのも、実はよくない。「こういう方法があるよ」と複数のプランを出して、あとは本人のタイミングと判断で選んでもらうのがいいと思います。
岩井 「とりあえず30までには、真面目に将来を考えろよ」と釘は刺してるんですけどね。ただ私には、5歳のときに息子を置いてきた、という負い目があって。それでつい甘やかしてしまう。彼の父親は父親で、私との離婚直後に再婚したという弱みもある。そのあたりをヤツは見抜いて、うまく立ち回っているんでしょう。(笑)
池上 子どもがひきこもったり、なにか問題を抱えたりしたとき、「私の育て方が間違っていたんじゃないか」と、ご自分を責めるお母さんは少なくありません。でも親が「育て方を間違えた」と悔いてしまったら、苦しい時間を一所懸命過ごしてきた子どもの生き方をも否定することになる。誰もが、そのときどきでベストな選択をしてきた、と私は思いますよ。
岩井 親の後悔はネガティブなメッセージとして子どもに伝わる。それでは事態がよくなりませんね。
責めれば責めるほど、心は離れていく
畠中 岩井さんの息子さんは「働けない」わけではなく、「ときどき働いている」のですから、将来的な問題は大きくないように思います。ただ「最終的に自活が難しい」となったとき、私がアドバイスするなら岩井さんと元夫の死後のこと。親は家屋とかある程度の現金を相続させたいと考えるもので、そうするときょうだいが関わる問題になりますよね。相談者にも相続時に揉めないよう、「ほかの子どもたちを含めた話し合いをしてください」とお願いしています。
池上 特にひきこもり状態のきょうだいを持った方は、親の死後は自分が面倒をみなければいけないのではないかと懸念したり、扶養は当然という周囲のプレッシャーに追い詰められたりしています。ただ法的な話で言えば、きょうだいに扶養義務はありません。そのことも、心に留めておいていただければ、と思っています。
畠中 私はご相談に応じて、「就労は無理なのでいずれは生活保護を受けるプラン」とか「就労支援を受けながら週に3日くらい働くプラン」など、複数のプランを提示するよう心がけています。ただプランを立てるにも、親が認知症になってしまってからでは遅い。まだ元気な70代のうちに、準備をはじめることをお勧めします。要は「7040」で食い止める方法を考える、ということですね。
岩井 こんなお気楽な生き方の私でも、息子に「将来はどうするんだ」と言ってしまうわけで、「8050問題」の背景には、親世代と子世代との考え方のギャップが大きいんでしょうね。
池上 戦中・戦後を生き抜いた親世代は、いい学校を出て、いい会社に就職して、安定的な収入を得るのが幸せな生き方だと思っている。特に高度成長期、そういうライフモデルを築くのは可能だった。でもバブル崩壊後の就職氷河期を経験した子世代には、非正規雇用やアルバイトで生きていかざるをえなかった人が大勢いるわけです。
岩井 就職できたと思ったらブラック企業だった、とか。親側の成功体験を押しつけられても、「じゃあこの時代を生きてみれば?」という気持ちになりますよ。
池上 親は「自分は努力してこの人生を手に入れた」と思っているから、「なんでできないんだ。努力が足りないんじゃないか」と責めてしまう。さんざん頑張ってきた結果、社会に傷つき、人が怖くなって安心安全な自宅にこもっているのに、家族からも責められたら、ひきこもりは長期化します。
岩井 長期化の原因は、そこにあったのか。
池上 家族の反応に言葉でうまく表現できず、暴力に向かってしまう人も。責めれば責めるほど、心が離れていくと考えていただいていいと思います。子どもへの理解は親の介護に影響する
畠中 「8050問題」は、親を亡くしたあとに子どもがどう生きていくか、という視点から語られることが多いですが、その前に「親の介護」という課題が待ち受けているんですよね。ケアマネジャーさんやヘルパーさんが自宅に入ってこられないよう、お子さんがドアチェーンをかけてしまい、介護放置状態になるケースも見てきました。いままで守ってくれていた親が、弱ってしまう姿を受け入れられない思いもあるようです。
池上 私が見てきた風景はむしろ逆で、積極的に親の介護をする人が多かった。もともと真面目だったり優しすぎたりするからひきこもっているので、親に迷惑をかけているという思いは強いんですよ。
岩井 親がその優しい気持ちに気づいてあげられればいいんだけど。
池上 おっしゃるとおりで、一番問題なのは、親が子どもの現状を否定し続けてきた場合。そうすると、親子の間に会話も成立しないので、畠中さんが指摘されていた介護放置状態になりかねません。
岩井 でもなんでチェーンをかけるんですかね。ケアマネさんがいるほうが、自分はラクになるのに。
池上 ひきこもらざるをえなかった思いが親の理解を得られずにきた場合、世の中に味方はゼロ。完全に孤立しているわけです。親も敵、まわりも敵だから、辛うじて生き延びてきた生存領域を脅かされ、自分が外に出される脅威を感じて怖くなる。それで鍵をかけたり、大声を出したり、暴れてしまったりするわけです。
岩井 自分に介護が必要になったときのことも考えなくちゃいけない。この長生き時代、親はいったいどれくらいの額を自活できない子どもに残せば安心なんですかね。
畠中 不安のあまり、お金を使わずにきた人も少なくありません。ごく普通のサラリーマン家庭のご夫婦で2億円以上貯めている方も。
池上・岩井 すごい!
畠中 家族がひきこもっていると、思うように旅行や食事を楽しめず、お金が貯まってしまうようです。ただ、現金をそこまで貯めるなら、相続対策をきちんとしないと。
岩井 私が子どもの立場だったら、親がすべてを我慢しているのは、ちょっとキツいかもしれない。
池上 そう思います。ひとりにしてほしい、放っておいてほしいのに、すべてのベクトルが自分に向かっているわけですから。
畠中 私はコロナが落ち着いたら、親御さんを休ませるための海外ツアーを計画するつもりなんです。
池上 従来のひきこもり支援は子どもに向けたものでしたが、すでに家族に向けたものに変わりつつあります。日常を楽しめるようになると、家族の表情が変わる。その変化が、ひきこもる子にもいい転機をもたらすのです。

畠中雅子
ファイナンシャルプランナー
1963年東京都生まれ。マネーライターを経て、現職。「働けない子どものお金を考える会」主宰。著書に『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』など
岩井志麻子
作家
1964年岡山県生まれ。『ぼっけえ、きょうてえ』で日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞。近著は『でえれえ、やっちもねえ』。8月27日公開の映画『遊星王子2021』に出演
池上正樹
ジャーナリスト
1962年神奈川県生まれ。通信社勤務を経て、現職。97年からひきこもり現象を取材、当事者の支援活動も行う。著書に『ルポ「8050問題」』など  

 



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