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アプリコット色の優雅なこの薔薇はドイツ産まれの「ロココ」
波打つ花びらがロココ調を想わせる・・・からだそうですよ。
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さて、昨晩は渡辺えりこさんの「月夜の道化師」という作品の演劇を観てきました。
私は所謂「小劇団」の芝居というのは初めて見たのですが、勝手に持っていた「ちょっと難解」「独特な解釈」「個性的な感性」というイメージが覆された公演でした。
二時間強の芝居は休憩なし。
でも長いとは全然感じなかったです。
むしろ休憩がないので、感情の中断がない分、集中してその世界に漂っていた感じ。
作品の粗筋も何も知らなかったので、最初は登場人物の人間関係や状況がわからず若干戸惑いましたが、必ず後追いの形で台詞の中で解明されるので、時間が経つにつれ違和感はいつの間にかすっかり無くなっていき、登場人物と同じ世界に存在できたような気がします。
作品の内容は、認知症に成り始めた「春さん」という老女を中心に進められます。
あっちの世界とこっちの世界を行ったり来たりする「春さん」にあわせて、生活をしようとしている家族。
「春さん」のその時々の世界の時間に合わせて、その登場人物を演じるわける家族達や介護士さん達。
何しろ冒頭のシーンが、夫(父?)の亡骸にすがって泣く老女の場面から始まり、「・・・そうなんだ」と思って見ていると、その場面で雪を降らしている人が上から落ちて来る。
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あげくにその亡骸がスックと立ちあがり
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シリアスかと思ったら一気にコメディタッチになってしまい、此方の気持ちも右往左往です。
そこに「春さん」の嫁やら、草野球帰りの息子やら、孫やら、年の離れた妹やらが表れ・・・
そのうち、どうやらこの「春さん」の為の茶番劇の中心は、「春さん」の戦争で亡くなった夫の双子の兄弟「青児さん」だと言う事がわかってきます。
何しろ「春さん」は、こちらの世界に戻ってきたかと思うと、どの世界に漂うかわからないので、周りは大忙し。
そんな笑いを誘う場面の中でも、だんだんこの家族の抱える問題が見えてきます。
草野球帰りの息子は失業しており、幼い頃から屈折した気持ちを持って育った事。
プライドばかり高く、実生活では失業している事。
嫁は専業主婦として生きて来た今迄を夫に否定され、離婚寸前だという事。
介護士さんは子供が四人もいるのにも拘わらず、トラブルがあると直ぐ自殺を企て皆の注目を集めようとする甘ったれである事。
妹は昔から青児さんに恋心を抱いていたけれど、「青児さん」は実は「春さん」が昔から大好きだったこと。
そして「青児さん」が持っていた双子の兄(春さんの夫)への愛情と嫉妬。
実は兄を特攻隊を志願させてしまい、結果的に死に追いやった追い目を抱えてずっと生きて来た事もわかってきます。
こんな中に、孫の恋人が突然表れます。
実は彼の祖父の残された日記から、祖父が特攻で亡くなったとばかり思っていた「春さん」の夫であり「青児さん」の双子の兄であった事を告げます。
彼は何と突撃中に行方をくらまし、新しい家庭を持っていたのです。
混乱する家族達。
その中で語られる皆の本心。
・・・・とまあ、笑ったりジ~ンときたりの濃い二時間でした。
面白かったよ、夫。
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食わず嫌いは損するよ~~~
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