私は車いすをゆっくりと押しながら
歩き始めた。
ふっと、冷たい風が肌をなぞった。
「かず、寒くない?」
「ぜんぜん」
かずは、じっと景色を見つめていた。
芝生の色はまだ染まりきっていない。
木々には柔らかな新芽がふき始め
輝いていた。
かずは何を感じ、何を思っていたのだろう。
私はかがみこみ、かずの目を見て話しかけた。
「花見に行けなくて、残念やったね」
「うん」
「ちょっとそのへん回ってみようか」
「うん」
葉っぱがひらひらと風に舞って
何度も顔や首筋を撫でる。
「かず、裏門ぎりぎりまで行ってみようか。
ほとりの桜が見えるかもよ」
「うん!行ってみる!」
私は車いすの向きをくるりと回転させると
裏庭に向かった。
そして坂を一気に駆け上がった。
歩き始めた。
ふっと、冷たい風が肌をなぞった。
「かず、寒くない?」
「ぜんぜん」
かずは、じっと景色を見つめていた。
芝生の色はまだ染まりきっていない。
木々には柔らかな新芽がふき始め
輝いていた。
かずは何を感じ、何を思っていたのだろう。
私はかがみこみ、かずの目を見て話しかけた。
「花見に行けなくて、残念やったね」
「うん」
「ちょっとそのへん回ってみようか」
「うん」
葉っぱがひらひらと風に舞って
何度も顔や首筋を撫でる。
「かず、裏門ぎりぎりまで行ってみようか。
ほとりの桜が見えるかもよ」
「うん!行ってみる!」
私は車いすの向きをくるりと回転させると
裏庭に向かった。
そして坂を一気に駆け上がった。