夏の集いの最後を飾ったのは、アーサー ビナードさん!
日本人以上に日本を愛する詩人とご紹介して間違いないでしょう。
そのお話しは、ユーモアを交え、時に鋭く斬りながら、永田町からの妨害電波もなんのその、私たちに多くの気付きをくださいました。
「紙芝居のはじまり、はじまり〜」と、アーサーさん自身による「ちっちゃいこえ」の実演から始まりました。
たちまち引き込まれ、恐れ、怒り、悲しみ、希望とたくさんの感情が湧き、すっかりその世界へ入り込みました。
それもそのはず、紙芝居には人を巻込む力があるからなのです。
日本人が忘れかけていた「紙芝居」、実は非常に優れたメディアであり、日本の誇るべき文化に値することを、アメリカ人のアーサーさんがその歴史、経緯を交え丁寧に教えてくださいました。
「日本人の私たち、もっとしっかりせーよ!」ですね、そんなことは一言もおっしゃらないどころか、ひたむきに日本の平和、未来のために誠実な思いを注いでくださるのです。
「ちっちゃいこえ」は、丸木俊さん、位里さんが描き上げた壮大な15部の連作「原爆の図」から絵を選択、切り取り構成した紙芝居です。
完成させる過程で、多くの壁に当たる度「原爆の図」と向き合い、悩み探し、知恵と工夫で乗り越えました。
そのために要した7年を、日本のサクラダファミリアにならなくてよかったと笑い飛ばす裏には、計り知れない苦労がおありだったことでしょう。心から称賛と感謝を申し上げます。
完成した紙芝居は、アーサーさんの手から離れ歩きだしました。
さぁ、ここからは、この紙芝居を手渡してもらった私たちの出番です。
家族に、知人に、子ども達に読んでいきましょう。私たちが実演していくことで広げていきましょう。
演じて巻き込んで、聞き手を傍観者から当事者へ、当事者となればしめたもの、共に考えていきましょうよ。
そして、丸木美術館へ「原爆の図」に会いに、体験しに足を運びませんか。ここにも紙芝居と同様、巻込む力があるそうですから。巻き込まれ、感じて知って次の一歩を踏み出したい、そんな勇気をもらった講演会でした。
参加できなかった皆様も、まずはアーサーさんの作品の扉を開けてみてください。
優しく語りかけ、こころ動く作品ばかりです。
講演で紹介された作品は、以下です。
「ちゅちゃいこえ」
「ドームがたり」
「さがしています」
【番外編】もっとアーサーさんをしりたい方へ
◇アーサさんのお人柄
・講演会終了後、休憩を挟んでからサイン会ですとの説明に、アーサーさんは、「僕は休憩いらないよ、すぐサイン会できるよ」と、また、会場の片づけまで、「僕も一緒にやる」とおっしゃっいました。お疲れでしょうに、アーサーさんのお人柄がわかります。
・サイン会は、お一人お一人、丁寧に対応され、しっかり目をみてお話しされます。質問にも誠心誠意お答えしようとするその姿勢、惚れてしまいます!
・懇親会では、原子力のことを熱く語ってくださいました。過去の驚くべき真実!情報操作に騙されてはならないことを痛感しました。もっと知りたくなりました。
◇紙芝居
優れた点のおさらいです。
電気不要、即起動、ソフト(紙媒体)変更なしにつき、昔のものも即再生可能!
抜く効果の重要性も忘れてはなりません。
さあ、皆さん、舞台を揃えて、Let's 紙芝居!
知ってると役立つ「ちっちゃいこえ」クイズ
①細胞の場面のもととなる絵は、なーんだ
②ピカ爆発のもととなる絵は、なーんだ
丸木美術館に探しにい行きたくなります。答え①梅の花 ②着物の柄
◇「ドームがたり」
この作品も、読みがたってくださいました。
動けない主人公の原爆ドーム、どうすれば作品になるか?
そうだ!動く画家に頼めばきっとできる!その確信のもと、スズキコージさんに依頼したそうです。素晴らしく適任です。
ドームの最後の一言「ぼくは、生き物がそばにいるとうれしい。」が平和への祈りに感じました。
あとがきは必見です。アーサーさんの想いを感じてください。
戦争、原爆、政治等のお話しは、重くタブーと扱われることがあります。私たちの国のことなのに…。
アーサーさんは、理不尽に立ち向かい、未来をしっかり見つめていらっしゃる。
世間の情報に惑わされず、自分の頭で考え動いていけばきっと道は開けるというメッセージを受け取ったように思いました。
最後に私だけに留めておくのはもったいない回答を皆さんに共有して終わります。
サイン会で私の番の時に尋ねました。
「なぜ、日本のことをここまで思ってくださるのですか?」
そのお答えは少し考えてサラリと。
「平成2年から日本に暮らしてね、たくさんの返せないほどの恩を受けてきたから、こんなの当たり前だよ。それにね、大勢の大切な人がいるから」
長文にて失礼しました。アーサーさんの魅力を少しでもお伝えできたのなら幸いです。


