絶園のテンペスト 第一幕「魔法使いは、樽の中」

世の中の関節は外れてしまった。
ああ、なんと呪われた因果か、
それを直すために生まれついたとは！
　　　　　　　　　　　　　　※「ハムレット」シェイクスピア　野島秀勝訳　岩波文庫

ハムレット流行ってるん？
ガンガンNETで1話が無料公開されてるので見てみたら、アニメの方が話の展開が衝撃的で印象的で面白かった。
吉野と愛花が内緒で付き合ってたと分かるシーンとか。
漫画は順を追って説明されてる感じで展開が分かりやすかったですね。
しかし人助けしたこと、名乗ったことを「そんなことする人間じゃない」→若い女の子でも？→じゃあするかも…の流れは漫画の方が愛花とダブらせたんだ…というのが分かりやすかった。
アニメでは女の子好きのチャラ男かと思った。

ダブル主人公だとは思いますが実質主人公は滝川吉野でしょうか。
名字かと思ったら名前なのかよ!?というツッコミは置いといて、冒頭を見る限りは特筆すべき特徴が無いように思います。
ただ大人しい高校生のように見えるけど見るからに不良な真広と仲が良いことや、そんな彼の妹と隠れて付き合ってたり、喧嘩に参加するのも吝かではない、という印象から外見通りの人間ではないなと1話が終わる時には印象が変わっていました。
愛花が殺されたことを一種諦めているように感じます。
それでも彼女からのメールをいつも見たりして捨て切れない感情を持て余してる感じ、かな？

そして何の落ち度も無いはずの家族が殺されたことに世の不合理を感じ自ら行動を起こした不破真広。
殺人犯を見つけ出し、それ相応の報いを受けさせることで不合理を正そうとする行動力と思考は感心します。
現実的には信じられない魔法という不合理を使い不合理を無くす…うーん、その理論はおかしい!!
言いたいことはマイナス×マイナスはプラス！的なことだと思うけど。

真広が黒鉄病の鍵を握ると考え接触を図ろうとするエヴァンジェリン山本。
政府の人間ではないということですが、一体何者なのか。
彼女と真広の銃と魔法、体術の戦いは見ものでした。
アニメ第1話で最も力を入れたシーンかもしれないと思う。
他だったら冒頭の葉風の登場と愛花の髪がなびくところかな？
一度は撃たれた銃弾を空中でピタッと止めてみたいものですね！
親しい者にはフロイライン山本と呼ばれてる…お嬢？ってことかな、っていうかドイツ語ですか？

冒頭で樽から登場した鎖部葉風。
鎖部一族史上でも最強らしい彼女は一族の野望の邪魔になると孤島に身一つで置き去りに…まず殺せもしないのに、どうやって樽に押し込んだのか、と。
探してた珍しいものが樽の中にあるんですよ、とか言う感じで騙したのかな？
最強らしく偉そうなのに明るくて可愛く腹の虫を鳴らすシーンがあって、ちょっとお間抜けな感じがするのが良いね。
真広の願いを叶えるため、そして自分は孤島から脱出するために手を組んだ彼女ですが、一族の野望を止めるって言ってましたっけ？
世界の転覆を図ろうと何かを復活させようとしている一族を止められるのは彼女だけというだけで、彼女は野望を止めるなんて宣言してないような気がするんですが…。
単に裏切った左門に対して嫌がらせをしようとか、阻止したら面白そうとか、そんなことで真広の協力しててもおかしくない雰囲気の持ち主だと思った。
ラストで海から何かが出てきて正確な方向を知らせろというのも左門たちの居場所が分かる、と言ってるだけだしね。
しかし真広と良いコンビなんじゃないかと思うので、この推測は外れていると思いたい。
絶大な力を持ってても世界を牛耳るとか考えてなさそうな女の子だったら良いな。


次回「彼女はとてもきれいだった、と少年は言った」