理系母の療育と自閉症児の成長の記録

3歳で自閉症スペクトラムと診断された息子。約3年でDQ57→97。14歳で診断が外れ,高校受験を経て通常学級デビュー。

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(3)

2017-07-19 12:24:40 | 発達障害

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(2)のつづき

こうしてなんとかアプリの力で殴り書きを脱し,字を書くための出発点に立つことはできたのですが,まだ思い通りに鉛筆を動かすにはいたらず,市販のプリント課題もやはりやってくれません。

 

私はモジルートをプリントアウトしたものを練習課題として出しつつも,微細運動を鍛えられるほかの教材を考えていました。

 

そのころ,息子がipadの知育アプリの広告か何かに表示された「めいろ」のアプリをやりたがったので,ipadに入れました。

入り組んだめいろなら何かしらの頭の訓練になるかな〜とは思ったのですが,息子はそれ以外にも,ただ画面の左から右へとまっすぐ進むだけの超単純なものもやりたがります。

息子は4歳前にして200ピースのジグゾーパズルを一人で完成させるほど形の認識に優れていたので,直線や丸しかないめいろは簡単すぎると躊躇しましたが,息子がどうしてもやりたがり,害があるわけでもなさそうなので,しぶしぶipadにインストールしました。

最初に入れたのはキッズめいろ 123みんなの迷路 123です

 

動物や乗り物をゴールまで動かすのが楽しかったのか,息子はめいろアプリを喜び,簡単なものも難しいものも夢中になってやっていました。

 

ここで私は再びひらめき,このめいろアプリもプリントしてやらせたらどうだろうと考えました。

 

すると予想は的中。スタートからゴールまできちんと線をひいてくれます。

やはり,ipadで遊び慣れたものは,プリント課題にしたときにやるべきことがイメージしやすく,ほかのプリントよりもはるかにハードルが低くなるようです

 

ここで,めいろのプリントに慣れてくれればしめたものです。

運筆力を鍛えるための単純なめいろプリントは無料ダウンロードできるものが数多くあるほか,くもんのドリルなどでレベル別の優れた教材がたくさん利用できます。

 

息子はipadのめいろアプリのプリントに慣れたのちは,ほかの一般的なめいろプリントを抵抗なくやってくれるようになりました。4歳4カ月ごろのことです。

 

ここまで来るとホット一息ですが,鉛筆の持ち方など,まだ課題はなくなっていません。対策を考えます。

 

字を書き始めるまで2 鉛筆の持ち方を正す につづく

 


字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(2)

2017-07-19 11:03:26 | 発達障害

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(1)のつづき

 

さて,字を書きたいというモチベーションを持たせることに失敗した一方で,「認識」の課題についても並行して対策を進めていきます。要は字を読めるようにするための訓練です。

 

息子の場合,大きなものも小さなものも形の認識に優れていたほか,飛行機や飛行機のおもちゃに書かれたANAの文字を「アナ」と読めていたので,視覚的な障害はなさそうでした*。

しかしながら,ひらがなや数字など,文字全般には一切興味を示していなかったので,これについてもどうにかして息子の気を引き,字を読めるようにする必要がありました。

 

まずは,お風呂に100円ショップで売っているひらがなと数字のポスターを貼ってみました。

貼ったその日は喜んでいましたが,そこに書かれた絵に反応しただけで,こちらが指差した文字を見てくれず,字を教えることができません。

ここでもやはり,興味の偏りが障害になります。息子がこちらの指示に従うことは難しいので,息子が興味を持てるツールを考えます。

 

そこで,息子の好きなipadに文字の勉強用の知育アプリをいくつか入れてみました(このとき,ほかのゲームアプリや動画などは全部除いて,知育アプリしかできないようにしておきました)。

 

入れたアプリは大別すると(2013年の初代ipadのことだったので,2017年7月現在もあるアプリのみリンクをはっています)

①絵や音声とともにひらがなが表示されるもの(フラッシュカードライト - 動物編 日本語&英語

②表示されたいくつかのひらがなの中から絵に合うものを選び出すもの(FirstWords: Japanese

③文字をなぞるもの(もじルート

④お手本に習って文字をなぞったり模写するもの(久我弘美先生のひらがなもじれんしゅうちょう

 

この中で息子が喜んでやってくれたのは①,②,③タイプのものです。

(息子はipadに入れたアプリを一通りは開いたのですが,④タイプのものは難しかったのかつまらなかったのか,やってくれませんでした)

 

特に,「もじルート」は優れもので,文字の形になった道路や線路を,出発点からゴールを目指して車や自転車など乗り物を走らせるという内容。音声の読み上げもあります。しかも書き順は自動的に表示されるので,迷うこともありません。

 

このアプリがうまいこと息子の心を捉えてくれたので,私はふとひらめいて,このアプリをプリントアウトしたものを息子に鉛筆でなぞらせたらどうかと考えました。

 

私はモジルートのすべての文字についてスクリーンショットを撮り(ipadではパワーキーとホームボタンの同時押し),そのデータをパソコンに移してインデックスシートを印刷し,A4にいくつかの文字が並んだ状態のプリントを用意しました。

 

そのプリントを息子に見せると,息子はすぐに食いついてくれました。

そして,スタートからゴールを目指して,ipadで遊んでいた通りに鉛筆を動かしてくれたのです!脱・殴り書き!!

 

これはいける!と確信した私は,すぐさまトレーシングペーパーを用意し,モジルートのプリントの上に重ね,2枚がずれないようにテープで固定したものを息子に渡しました。

 

息子は同じようにトレーシングペーパーの上から字をなぞります。

 

書き終わったところで私はトレーシングペーパーをはずし,息子が書いたものを息子に見せました。

「ほら,これH(息子)が書いた字だよ〜」

 

息子は自分で字を書けたことに満足そうでした。

その満足感と達成感が正のフィードバックとなって,さらなるモチベーションにつながったと感じられた瞬間でした。先のぬりえの失敗からおよそ1カ月半,4歳3カ月のときのことです。

 

私が息子に書かせるために用意した机や鉛筆,ぬりえは,これらの道具に対する興味を引かせることには使えても,それらを使って何をしたらいいのか,というイメージを持たせるのには不十分だったのですね。ipadのアプリはその部分をうまく補ってくれました。

 

こうしてどうにか字を書くことに対する気持ちのスイッチを入れることができたのですが,これだけでは字は書けません。

息子の字は上記の写真を見てわかる通りふらふらなので,指のコントロール力を鍛える必要があります。ここでもやはりipadのアプリが役立ちました。

 

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(3)つづく

 

 

*学習障害や識字障害のあるお子さんの中には見る能力に問題があり,目のトレーニングが必要な場合もあるそうです。