日本史大戦略 ~日本各地の古代・中世史探訪~

列島各地の遺跡に突如出現する「現地講師」稲用章のブログです。

下総小金中野牧跡(捕込)・中沢貝塚|千葉県鎌ケ谷市 ~小金牧で唯一残る捕えた野馬を選別する施設 【市川の古代遺跡と松戸・鎌ケ谷の小金牧跡探訪⑫<最終回>】

2020-06-01 17:44:30 | 歴史探訪
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 このまま県道を北初富の方へ向けて歩きますよ。

 本日持参した地図にはこの先にある野馬除土手をいくつかプロットしてあるのですが、もう時間も時間ですし、結構疲れてきたので最後に北初富駅周辺を見て終わりにしようと思います。

 他の場所はまた改めて行ってみましょう。

 おっと、この看板は!



 「DAIKEIEN」と書かれているだけじゃ何かわかりませんよね。

 でも地元の若者は知っているのです。

 「大慶園」の存在を。

 簡単に言うと、地元のヤングが集って遊ぶ場所です。

 もう少しかみ砕くと、ゲームセンター、カラオケ、バッティングセンターなどが梨園に囲まれた広大な敷地内に展開しているプレイスポットで、何より凄いのは、オーナーが所有しているというフェラーリやランボルギーニといったスーパーカーが数十台も展示してあるスペースがあることです。

 車好きには堪りませんよ。

 気になった方はWebで調べてみてください。

 私はしばらく行っていないので、久しぶりに車を見に行きたい。

 確か、トヨタスポーツ800も2000GTもありました。

 さて、「くぬぎ山」の交差点に来ました。

 歩道橋に登ります。

 あー、これが故郷の地形だ・・・

 歩いてきた方向を見ます。



 だだっ広い台地(実際にはかなり谷が解析していますが表面上は見えない)が展開し、遠くまで見ても山が見えない。

 見える山と言ったらコンディションが良いときに遠くに小さく見える富士山と筑波山くらいですよ。

 あらま、でも今はスカイツリーが見えるじゃない。



 呪力ズーム!



 本当にスカイツリーってどこからでも見えますね。

 これから進む北初富方面。



 歩道橋を降り、歩行者の姿などまったく見られない県道をテクテクと歩きます。

 そのかわり車の交通量は相変わらず多いですね。

 県内でもこの辺はかなり早い時期に住宅密集地となってしまったため、バイパス道路を作ろうと思っても思うに任せず、昔ながらの狭い道が県道として使われ、そういう道を車が容赦なくビュンビュン走っているのです。

 歩道がないとかは普通です。

 ですから、この辺のドライバーは結構エグイですよ。

 車を運転することに関しては、多摩地域の方が100倍くらい平和です。

 まあ、私も昔のまま松戸に住んでいたら習志野ナンバーの車をこの辺りで走らせていたのでしょう。

 新京成線の北初富駅が近づいてきました。

 つい昨年、高架工事が終わってここにあった踏切はもうありません。



 まだ工事は完全に終わっていないようですね。

 フェンスの向こうにカメラを向けている人は不審者かも知れない。





 高架になった北初富駅。



 なんか、不思議な感じがする。

 というか、この場所は新鎌ケ谷駅に近すぎますよね。

 はい、北初富で探訪する場所は、中野牧の捕込(とっこめ)の跡です。

 あの土手が怪しい。



 入口発見!



 石碑があります。



 千葉県指定史跡かと思ったら・・・

 あらま、国指定史跡に昇格していた!



 「国指定史跡 下総小金中野牧跡(捕込)」です!

 鎌ケ谷市、やりましたね。

 この施設は説明板に書かれている通り、3つの区画に分かれていました。



 まずは捕獲した馬を今の県道側のほう(捕込)に集め選別をするのです。

 そして利用する馬は溜込(ためごめ)の方に追いやり、若くてまだ成長してほしい馬は払込(はらいごめ)の方に移し、そしてこの現在の遺跡の入口から野に返すという流れですね。

 実はここもとても楽しみにしていたのです。

 払込の中に入って見ましょう。

 おーっ!



 土塁に囲まれているよ!

 右手の土塁には切れている部分があり、捕込からあそこを通ってこの中に馬が入ってきたんですね。



 そしてその馬は私が入ってきた方向から出されていく・・・



 さきほどから私はもはや、「土手」ではなく「土塁」と呼んでいますが気にしないでください。



 土塁には登ってはダメとの注意書きがあるので登りませんが、唯一、地元の人が通路として使っているような場所のみ登れます。

 土塁の上から土塁を確認。





 東側は急崖になっているようです。



 結構な比高差がありますよ。

 土塁上から見る払込内。



 しかしこんな面白いものが北初富駅のすぐ近くにあったとは知りませんでした。

 この周辺も子供の頃の行動範囲だったんですけどね。

 面白かった!

 では最後に、中沢貝塚を見て帰るとしましょうか。

 貝殻山公園を指し示す看板があるので行ってみましょう。

 名前からして公園に貝塚があるのかもしれない。

 さきほど比高差を感じた場所を外側から見ます。



 さきほどの土塁に囲まれた空間は何も知らなければ戦国期の砦だと思うかもしれませんね。

 まあ、虎口が戦闘的な構えではないとか、そういう突っ込みは抜きにして。

 貝殻山公園に到着。



 あれ、「貝殻山」かと思っていたら「貝柄山」だった。

 結構、家族連れなどの人がたくさんいますよ。

 公園は細長い谷地状地形の谷底にあり、両サイドは崖です。



 あ、お馬さん!





 足が短く見えますが、これが当時の日本の馬ですよ。



 この池は溺れ谷の痕跡でしょうか。



 ところで、中沢貝塚はどこにあるのかな?

 公園内にはなさそうですね。

 ここはスマホに頼りましょう。

 Google先生の指示に従って向かいます。

 公園から出て住宅街を歩きました。

 おっと、ありました。



 ありました、と言っても説明板以外は何もありませんね。

 ちょっと滅亡しかかっていますが読めます。



 鎌ケ谷市の郷土資料館も行ったことがないので行ってみたいのです。

 ということで、中沢貝塚はこれでオッケー。

 北初富駅へ向かいますよ。

 おや、古墳?



 いや、違いました。

 ここは溜込側ですね。



 やや左手の場所が御照覧場かな?



 土塁が切れている場所がありますが、捕込で選抜された馬はあそこを通ってこちら側に入ってきたのでしょう。





 北初富駅に到着。



 時刻は16時半です。

 朝出発するときは、早めに切り上げようと思っていましたが、結局ガッツリ探訪してしまいました。

 いやー、疲れた・・・

 ※帰宅後、歩行距離を見てみたら20㎞を超えていました。

 せっかくなので、ここから新京成で松戸へ向かおう。

 乗り鉄だ!

 高架になった北初富駅は初めて利用します。



 電車が来ましたよ。



 新京成の線路を見ると、なんでカーブばっかりなのか不思議に思います。

 地点と地点を最短距離で結んでいないんですよね。

 それには設立の経緯が絡んでいます。

 もともとは陸軍の鉄道連隊が演習用として敷設した路線がありました。

 陸軍が線路を敷いた際には、さきほどお話しした通り、下総台地の分水嶺上に敷いたのです。

 ですから、やたらとカーブはありますが、アップダウンはそれほどなく、トンネルは一つも無いし、切通しや河川を渡る橋なども目立つものは無いんですよね。

 子供の頃は何も思っていませんでしたが、今見るととても不思議な路線です。

 戦後になり、それを利用して旅客用途にしようと目論んだ京成と西武がGHQに働きかけ、結果的には京成が権利を手に入れ、京成は支線扱いにせず、新京成という子会社を設立しました。

 今は京成千葉線に乗り入れていますが、私が住んでいたころも京成津田沼では京成線と線路が繋がっており、ポイントひとつで入り込めるなと思っていました。

 今は分かりませんが、私が住んでいたころは新京成と言えば鉄道会社としては珍しく黒字経営で有名な優良企業でした。

 私も就職先として考えたことがあります。

 ところで、この路線を買えなかった西武は、その代わりとして念願の新宿への乗り入れが許可されて、西武新宿駅が開業しました。

 松戸に到着。

 乗ってきた車両を撮影。



 反対側のも撮影。



 ここからは常磐線に乗ります。

 せっかくなので東京駅まで直通のに乗ってみましょう。

 電車が来るまでの間、撮影会。









 品川行きが来たので乗車。

 私がこちらに住んでいたころは常磐線は上野止まりでしたが、いまは東京まで直通するのもありますからさらに便利になりましたね。

 東京駅には松戸から30分くらいで着いてしまいました。

 お、ちょうど横に新幹線がいる。



 ではここからは中央線で帰ります。

 え!?

 人身事故発生!?

 しかも発生したばかりじゃないですか。

 これは当面動きそうもありません。

 でも疲れているので新宿まで迂回して京王線で帰るのは面倒くさいです。

 どうせ今日は急ぎの用事もないので動くまで待機しますか。

 ビール買ってこようっと。

 車内で一人打ち上げ。



 ミックスナッツ、うまー。

 当分の間中央線が動かないというのは皆さん承知しているようなので、誰も乗ってきません。



 いやー、快適だ。

 というわけで今日は生まれて初めて故郷松戸の歴史めぐりをすることができました。

 市川市内の懸案だった遺跡も見れたし、充実した一日でしたよ。

 (了)



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