母さん、
ごめんなさい
16才で先に逝くのは
少し親不孝かもしれませんね
鉛の弾が僕を通過して
僕の目に映るのは
丘を駆け下りてくる兵士たち
地雷に舞い飛ぶ戦友の身体
天使たちのラッパもここには届かない
日曜の昼間
あなたは教会から帰って
僕の好きなスープを作っているかもしれない
間もなく戦争から戻ってくる息子のため
とびきりの笑顔と抱擁とキスを用意して
白くなった意識が
暗闇に閉ざされようとしています
母さん、
ときにはあなたを悲しませたかもしれないけど、
あなたは僕の誇りでした
心からの愛をこの地よりおくります
母さん、
あなたの涙で世界中の子供たちの墓を
洗って下さい
我々の魂が天に召されますように
子守唄を歌って下さい
幼いころのように
枕元のスタンドに照らされた
母さんの顔が浮かびます✨
(頬にキスして、胸を優しくなでる手)
怖い夢にうなされて泣きじゃくる僕を
抱きしめてくれたように
今大地を染めて静かに横たわる僕を
抱いて下さい
幼なじみのあの娘(こ)にも
伝えて下さい
未来を誓った僕たち
戦争を終わらせたら、結婚するはずでした
少し早いかもしれないけど、
うんと幸せになろうと
彼女はあなたのような母になり
そして僕が生まれ変わり、彼女に宿る
今静かになった原っぱには
あなたの涙が降りそそぐ
幸せも不幸ももうここに用はなく、
静寂が包みこむだけ
柔らかなもやが辺りにたちこめる頃には
この報せがあなたのもとに届いてるでしょうか
彼女は僕のために花を摘み、
あなたは教会で祈り続ける
母さん、
奇妙なんです
昨日、将軍が殺されました
立派で勇敢な人でした
皆が泣いていました
そして誰もが怒り、復讐を誓いあうんです
でも僕の心は空っぽでした
涙も怒りもなく、黙っているだけでした
そして、敵の大将も
死ぬとこういう風になるのだろうかと
だとしたら、彼らは憎しみと復讐を
僕らに残して立ち去ったのでしょうか?
ここにあるのは、彼の死んだ身体と
我々の生きてる身体
これだけなのです
なのに、我々を支配するのは
次の戦いへと向かう憎しみだけ
何故彼らの死は平和へと導かないのでしよう
まるで、憎しみあうために
生まれてきたかのように
全ての苦しみはもたらされたかのように
身体を貫かれた瞬間
僕の脳裏を
駆け巡る想い出
そして、真実への扉、
解放でした
全てが僕に語られました
そして僕は再び戻るでしょう
いつか世代を越え、
人々が光を取り戻し、
無邪気に笑いあう時代に✨
レイラ✩✨
この作品は30年ぐらい前に、サイモン&ガーファンクルの「スカボロー・フェア」を聴いてる時に生まれました(*^^*)
故郷の母を残して死んでゆく兵士の悲しみが
あふれてきて、その感覚を言葉にしなければと思い、書いているうちに手紙のような詩になりました。
まるで自分の前世のようなリアルな感情で、とても不思議な気持ちになりました。
この時以來、霊的な詩を書けるようになりました。
あまり頻繁ではありませんが(笑)
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