キーンコーンカーンコーンとチャイムがなる。クラスの出席簿を小脇に抱えながらビッグコンボイは廊下を歩いていた。ここはセイバートロン小学校。教員であるビッグコンボイはこの学校で教鞭を取っていた。ビッグコンボイのクラスは三年一組。この廊下の一番奥のクラスだ。ビッグコンボイが歩いていると後ろからバタバタと騒がしく歩いてくる音が聞こえてきた。
「先生〜!」
ビッグコンボイが振り返るとランドセルをバタバタさせながら一人の児童がビッグコンボイを呼んだ。
「遅刻だぞブレイク」
「え〜でもまだ先生教室に入ってないからセーフだろ?」
ビッグコンボイを見上げてブレイクと呼ばれた児童は口を尖らせる。そんなブレイクの姿にビッグコンボイは溜息をついた。
「早く教室に入って授業の準備をしろ」
「そうなんだけどさ。でもその前に先生に渡したいものがあってさ」
手を後ろに回していたブレイクはその手を前にして持っていたものをビッグコンボイに差し出した。
「はい。これ!」
ブレイクが差し出したものは綺麗にラッピングされた袋だった。
「今日バレンタインだろ?だから先生にって…」
少し頬を赤く染めながらブレイクは照れ隠しなのか鼻の下を擦る。ビッグコンボイは差し出されたそれを黙って眺めていたがひょいとそれを取り上げた。
「学校はお菓子を持ってくるのは禁止だと言っただろ」
袋を見えないように出席簿で隠すとビッグコンボイはくるりとブレイクに背を向けた。
「罰として今日は居残りな」
予想をしていない結末にブレイクはポカンとした顔をしたがすぐに顔を真っ赤にして怒鳴った。
「なんだよそれ!?一生懸命作ったんだぞ!!!」
「手作りだろうが何だろうが禁止と言ったら禁止だ」
「だからって何で居残りなんだよ!!!」
「いいからさっさと教室に入れ」
教室へと歩いていくビッグコンボイを追ってブレイクも教室へと入る。ビッグコンボイが教室に入ると日直の児童が号令をかけて椅子から立ち上がる。
こうして三年一組の騒々しい授業はスタートした。
「ブレイク、お前先生にチョコレート渡したら居残り命じられたんだって?」
授業後、ブレイクは前の席のコラーダに笑いながら話しかけられた。
「何で知ってんだよ?」
「そりゃ教室のすぐ横で渡してりゃわかるだろ。クラスのみんなは全員知ってるぞ」
笑いながらコラーダはブレイクを見た。
「バカだなぁお前。まさかビッグコンボイ先生のこと本気で好きなのか?」
大笑いするコラーダにブレイクはカアア、と顔を真っ赤にさせた。
「うるせぇ!!!」
「お、やんのか?」
殴りかかるブレイクにコラーダが応戦する。毎回恒例になった二人の喧嘩に教室は騒々しくなる。
「先生のこと好きなのか。変な奴」
「うるせえって言ってんだろ!!!」
「もうやめなよ二人とも〜!」
殴り合う二人にスタンピーが仲裁に入る。それでも二人は喧嘩を止めようとしない。結局その後二人は報告に来た児童に連れられたビッグコンボイによって引き離され、げんこつをくらうことになった。
「帰りの挨拶さようなら」
「「「さようなら」」」
日直の挨拶で児童達はぞろぞろと教室から出ていく。ランドセルを背負って帰ろうとするコラーダにスタンピーが声を掛けた。
「こ、コラーダ」
「何だよスタンピー?」
「こ、これ・・・」
ビッグコンボイに見られないように背を向けてスタンピーはそっとコラーダに小さな箱を差し出した。
「何だよそれ?」
「きょ、今日はバレンタインでしょ?だから…こ、コラーダに…」
スタンピーの顔が真っ赤になる。予想だにしていなかったプレゼントにコラーダも顔を赤く染め、スタンピーから目を逸らした。
「ば、バカ。先生に見つかったら没収されるぞ」
「で、でも」
「仕方ねえな。貰ってやるよ」
顔を赤くしたままコラーダはスタンピーから箱をひったくるように取る。スタンピーはぱちくりとコラーダを見たがすぐに嬉しそうに笑って彼の隣に立った。
「ありがとうコラーダ」
「な、何も礼を言われるようなことなんかしてねえよ」
連れ立って二人は教室から出て行く。そんな二人の姿をブレイクはむくれながら眺めていた。
「何だよ。スタンピーもチョコ持って来てたのかよ」
スタンピーだってチョコ持ってきてたのに。あっちは没収されずにうまく相手に渡せて良い雰囲気で一緒に帰って。
「ちぇっ・・・」
思わずブレイクは舌打ちをする。
あの二人が羨ましい。自分だってあんな風に・・・
「ブレイク」
名前を呼ばれてブレイクはハッとする。周りを見回すと教室にはブレイク以外児童はおらず、先程までの騒がしさが嘘のように静まり返っている。ブレイクが声をした方を見ると教壇の前にビッグコンボイが立っていた。
「ビッグコンボイ先生」
ビッグコンボイは教壇から降りてブレイクに近付く。ブレイクはむくれた表情のままビッグコンボイを見た。
「先生。俺一生懸命先生のために作ったんだぜ?それなのに」
「わかってる」
そう言ってビッグコンボイはしゃがんでブレイクと目を合わせた。
「だからお前を残したんだ」
「え?」
キョトンとした顔をしているブレイクにビッグコンボイは笑みを浮かべた。
「食べさせてもらったぞブレイク。とても美味しかった」
「ほんと?」
「ああ」
ビッグコンボイの言葉にブレイクは目を輝かせて机に身体を乗り上げた。
「ほんとに?ほんとに先生食べてくれたの?」
「確かめてみるか?」
「え?」
ブレイクがぽかんと口を開けているとふんりとビッグコンボイの口がブレイクの口に重なった。開いた口からするりとビッグコンボイの舌が入り込み、ブレイクはびくりと身を震わせた。
「ん…っ」
重ねられたビッグコンボイの口から微かにチョコレートの甘みがブレイク舌へと伝えられる。舌を絡めるキスに意識がぼんやりしたブレイクの身体をビッグコンボイが優しく抱きしめた。
「はぁ・・・」
「わかっただろ?」
ブレイクの髪をビッグコンボイは優しく梳かす。柔らかな白銀の髪がビッグコンボイの武骨な手に馴染む。だんだんと意識がはっきりしてきたブレイクはビッグコンボイを見るとぎゅっとその首に抱き着いた。
「嬉しい!ビッグコンボイ先生大好き!!!」
ふわりと子供らしいどこか甘い香りがビッグコンボイの嗅覚を擽る。それがビッグコンボイのスパークの鼓動を上げさせる。ブレイクと顔を合わせてビッグコンボイはにこりと微笑んだ。
「ホワイトデーは期待してろ」
「ほんと?やったぁ!」
再びブレイクは嬉しそうにビッグコンボイに抱き着く。それをビッグコンボイは優しく抱き返した。放課後の秘密の恋。後ろめたいものはとてと多いが甘く手放せないのは事実で。
夕焼けで赤く染まる教師。そこで二人はもう一度キスをした
「先生〜!」
ビッグコンボイが振り返るとランドセルをバタバタさせながら一人の児童がビッグコンボイを呼んだ。
「遅刻だぞブレイク」
「え〜でもまだ先生教室に入ってないからセーフだろ?」
ビッグコンボイを見上げてブレイクと呼ばれた児童は口を尖らせる。そんなブレイクの姿にビッグコンボイは溜息をついた。
「早く教室に入って授業の準備をしろ」
「そうなんだけどさ。でもその前に先生に渡したいものがあってさ」
手を後ろに回していたブレイクはその手を前にして持っていたものをビッグコンボイに差し出した。
「はい。これ!」
ブレイクが差し出したものは綺麗にラッピングされた袋だった。
「今日バレンタインだろ?だから先生にって…」
少し頬を赤く染めながらブレイクは照れ隠しなのか鼻の下を擦る。ビッグコンボイは差し出されたそれを黙って眺めていたがひょいとそれを取り上げた。
「学校はお菓子を持ってくるのは禁止だと言っただろ」
袋を見えないように出席簿で隠すとビッグコンボイはくるりとブレイクに背を向けた。
「罰として今日は居残りな」
予想をしていない結末にブレイクはポカンとした顔をしたがすぐに顔を真っ赤にして怒鳴った。
「なんだよそれ!?一生懸命作ったんだぞ!!!」
「手作りだろうが何だろうが禁止と言ったら禁止だ」
「だからって何で居残りなんだよ!!!」
「いいからさっさと教室に入れ」
教室へと歩いていくビッグコンボイを追ってブレイクも教室へと入る。ビッグコンボイが教室に入ると日直の児童が号令をかけて椅子から立ち上がる。
こうして三年一組の騒々しい授業はスタートした。
「ブレイク、お前先生にチョコレート渡したら居残り命じられたんだって?」
授業後、ブレイクは前の席のコラーダに笑いながら話しかけられた。
「何で知ってんだよ?」
「そりゃ教室のすぐ横で渡してりゃわかるだろ。クラスのみんなは全員知ってるぞ」
笑いながらコラーダはブレイクを見た。
「バカだなぁお前。まさかビッグコンボイ先生のこと本気で好きなのか?」
大笑いするコラーダにブレイクはカアア、と顔を真っ赤にさせた。
「うるせぇ!!!」
「お、やんのか?」
殴りかかるブレイクにコラーダが応戦する。毎回恒例になった二人の喧嘩に教室は騒々しくなる。
「先生のこと好きなのか。変な奴」
「うるせえって言ってんだろ!!!」
「もうやめなよ二人とも〜!」
殴り合う二人にスタンピーが仲裁に入る。それでも二人は喧嘩を止めようとしない。結局その後二人は報告に来た児童に連れられたビッグコンボイによって引き離され、げんこつをくらうことになった。
「帰りの挨拶さようなら」
「「「さようなら」」」
日直の挨拶で児童達はぞろぞろと教室から出ていく。ランドセルを背負って帰ろうとするコラーダにスタンピーが声を掛けた。
「こ、コラーダ」
「何だよスタンピー?」
「こ、これ・・・」
ビッグコンボイに見られないように背を向けてスタンピーはそっとコラーダに小さな箱を差し出した。
「何だよそれ?」
「きょ、今日はバレンタインでしょ?だから…こ、コラーダに…」
スタンピーの顔が真っ赤になる。予想だにしていなかったプレゼントにコラーダも顔を赤く染め、スタンピーから目を逸らした。
「ば、バカ。先生に見つかったら没収されるぞ」
「で、でも」
「仕方ねえな。貰ってやるよ」
顔を赤くしたままコラーダはスタンピーから箱をひったくるように取る。スタンピーはぱちくりとコラーダを見たがすぐに嬉しそうに笑って彼の隣に立った。
「ありがとうコラーダ」
「な、何も礼を言われるようなことなんかしてねえよ」
連れ立って二人は教室から出て行く。そんな二人の姿をブレイクはむくれながら眺めていた。
「何だよ。スタンピーもチョコ持って来てたのかよ」
スタンピーだってチョコ持ってきてたのに。あっちは没収されずにうまく相手に渡せて良い雰囲気で一緒に帰って。
「ちぇっ・・・」
思わずブレイクは舌打ちをする。
あの二人が羨ましい。自分だってあんな風に・・・
「ブレイク」
名前を呼ばれてブレイクはハッとする。周りを見回すと教室にはブレイク以外児童はおらず、先程までの騒がしさが嘘のように静まり返っている。ブレイクが声をした方を見ると教壇の前にビッグコンボイが立っていた。
「ビッグコンボイ先生」
ビッグコンボイは教壇から降りてブレイクに近付く。ブレイクはむくれた表情のままビッグコンボイを見た。
「先生。俺一生懸命先生のために作ったんだぜ?それなのに」
「わかってる」
そう言ってビッグコンボイはしゃがんでブレイクと目を合わせた。
「だからお前を残したんだ」
「え?」
キョトンとした顔をしているブレイクにビッグコンボイは笑みを浮かべた。
「食べさせてもらったぞブレイク。とても美味しかった」
「ほんと?」
「ああ」
ビッグコンボイの言葉にブレイクは目を輝かせて机に身体を乗り上げた。
「ほんとに?ほんとに先生食べてくれたの?」
「確かめてみるか?」
「え?」
ブレイクがぽかんと口を開けているとふんりとビッグコンボイの口がブレイクの口に重なった。開いた口からするりとビッグコンボイの舌が入り込み、ブレイクはびくりと身を震わせた。
「ん…っ」
重ねられたビッグコンボイの口から微かにチョコレートの甘みがブレイク舌へと伝えられる。舌を絡めるキスに意識がぼんやりしたブレイクの身体をビッグコンボイが優しく抱きしめた。
「はぁ・・・」
「わかっただろ?」
ブレイクの髪をビッグコンボイは優しく梳かす。柔らかな白銀の髪がビッグコンボイの武骨な手に馴染む。だんだんと意識がはっきりしてきたブレイクはビッグコンボイを見るとぎゅっとその首に抱き着いた。
「嬉しい!ビッグコンボイ先生大好き!!!」
ふわりと子供らしいどこか甘い香りがビッグコンボイの嗅覚を擽る。それがビッグコンボイのスパークの鼓動を上げさせる。ブレイクと顔を合わせてビッグコンボイはにこりと微笑んだ。
「ホワイトデーは期待してろ」
「ほんと?やったぁ!」
再びブレイクは嬉しそうにビッグコンボイに抱き着く。それをビッグコンボイは優しく抱き返した。放課後の秘密の恋。後ろめたいものはとてと多いが甘く手放せないのは事実で。
夕焼けで赤く染まる教師。そこで二人はもう一度キスをした