刑務所ドラマ「OZ」シーズン6まで見終えて

	Oz The Complete Seasons 1-6 [Import anglais]
	Harold Perrineau,Otto Sanchez,Philip Scozzarella,Terry Kinney
	メーカー情報なし

一年くらい前に「OZ」がFODで配信が始まりますって記事を書きましたが、ようやくFireTVで観れる環境が整ったので視聴を終えました。

「OZ」とは重犯罪者用の最も警備が厳しい「オズワルド刑務所」のこと。
その中に実験的な特別区「エメラルドシティ」がある。通称Mシティでは様々な人種・年齢の犯罪者が集められ、ある程度の自由が認められていて、働くこともできる。病棟や郵便、キッチン、図書室など。
だが問題を起こせば懲罰房に全裸で放り込まれるか、独房送りになる。
他には一般監房、エイズ患者などがいるJ監房、保護監房、警官向け監房、死刑囚監房などがある。
大抵は人種でつるんでいて、黒人ギャングにムスリム、白人至上主義のアーリア系、バイカー、ラティーノギャング、イタリアマフィア、アイリッシュ、クリスチャン、ゲイ、はみ出し者と分かれている。

麻薬取引や殺人などでOZにやってくる囚人たちですが、争いが絶えないので巻き込まれて死亡したり、さらに罪を重ねて終身刑や死刑囚になったり。出所していく囚人もいるけど、出戻りパターンもよくある。
あらゆる囚人たちにフォーカスされて話が進んでいくので、とっても見応えがありました。
最初はこいつ刺されて死んでしまえ！と思える囚人でも、別の側面が見えると同情してしまったり。最後まで救いようがないヤツもいますけどね。
悪いことをすれば全裸で懲罰房に放り込まれるので、脱ぎ率は高いけどがっつりボカシ入りだったのが残念。


▼ここからはネタバレがあります▼

中でも一番のお気に入りはライアン・オライリー（ディーン・ウィンタース）。彼はかなりの策士で、人を騙したり、操るのがお手の物。乳がんになって命を救われたことで女医のグロリア（ローレン・ベレス）に恋をしてしまう。そこで弟のシリルに依頼してグロリアの夫を殺させてしまうんです。もちろん酷くグロリアからは嫌われるんだけど、グロリアをレイプした男を殺したりして徐々に距離が縮まっていく。
弟のシリルは脳に障害があるために力加減が分からないので、暴れて人を殺してしまい死刑囚に。ライアンはなんとか弟を助けようと必死になる姿は心を打たれる。彼のそんな姿にグロリアは惹かれていくんですよね。シリルが処刑される日、ライアンが監房を出ていくときに囚人たちが揃って窓をバンバン叩くシーンはとても泣けました。
実際にもライアンとシリルを演じている2人は兄弟なのでとてもよく似ています。

最も恐ろしいのは白人至上主義のヴァーン・リシンガー（J・K・シモンズ）。ゲイではないと言い張っているけど、男たちをレイプしてはペットにして支配する。トバイアス・ビーチャー（リー・ターゲセン）もその被害者の1人で、彼は元弁護士で大人しい囚人だったのにある時から豹変。シリンガーの顔にウンコしたり凶行に走るw2人の対立はどんどんエスカレートしていって、互いの家族を殺し始めます。ビーチャーは息子を誘拐されて殺され、兄も襲われ、父親まで殺される。シリンガーは息子アンドリューがビーチャーの復讐によって更生されると、薬物を過剰摂取させて殺してしまう。ハンクもビーチャーの依頼で殺されて孤独になりつつも、彼の恋人が孫を設けると優しい一面を見せていました。ビーチャー以外にも若い囚人をペットにしては人生をダメにしていたのでとても恐ろしい人物でした。

クリス・ケラー（クリストファー・メローニ）の魅力は女性だけでなく男性をも虜に。確か結婚は4回くらいしていて、男とも体の関係を持つバイセクシャル。ビーチャーとの関係もくっついたり離れたりなんだけど、愛ゆえに恐ろしいことをしてしまいます。何人OZでも殺したことか。シャバにいた頃はゲイであることを隠していたために関係を持った男を殺していて、ついにそれが発覚して死刑囚に。ビーチャーは彼を助けようと必死になって死刑を取り下げさせるけど、仮釈放になった彼を妬んだのと独占したい思いから彼をはめて刑務所に戻してしまう。更には彼をハメてシリンガーを殺させて、アーリア系を一掃すべく怪しい薬品をOZにばら撒いてしまうんです。それでOZが一時閉鎖になって終わるので恐ろしい愛だった。

ムスリムの指導者、カリーム・サイード（イーモン・ウォーカー）は仲間からだけでなくOZ内でもそのカリスマ性を発揮。暴動を指揮してロックダウンになることもあったけど、囚人たちのために常に戦う人だった。敵対しているシリンガーの弁護を引き受けたり、オマーを立ち直させようとして必死になったり。そんな彼もアデビシを正当防衛で殺してしまってからは悩んでもがいていた。ヒルの回顧録出版のためにOZ内で製本の会社を立ち上げた矢先に殺されてしまったのは大きな衝撃を受けました。

ミゲル・アルバレス（カーク・アセヴェド）が一番成長したのではないかな。看守の目をくりぬいたり、ケンカが絶えず問題ばかり起こして何度も独房入り。長い独房生活で精神を病んだ時もあったし、常に命を狙われて病院送りも多かった。そんな彼が盲導犬の訓練をして、目をくり抜いた看守に犬を与えられた時はこっちも嬉しくなった。どんどん更生していく彼に仮釈放の可能性が見えたのに、委員会の人間の対応には酷く落胆させられた。

囚人たちよりも許せない悪人はデブリン知事（ジェリコ・イヴァネク）！死刑制度を復活させたり、夫婦面会やタバコも禁じたり、高校卒業認定のクラスを排除したりと囚人たちが更生する機会をなくして環境をどんどん悪くしていった。知人であり弱みを握られている市長がOZに送還されて、恩赦を与えろと脅されると殺害を指示。自分の関与が所長のレオ・グリン（アーニー・ハドソン）にバレそうになると、彼まで殺させた。この知事だけは悪事を暴かれてOZ送りになって欲しかった。それだけがこのドラマを見ていて釈然としなかった。


20年も前のドラマなのに全く色褪せない面白さ。
キャストもとても豪華だし、夢中になって2週間くらいで全56話を一気見。
秀作なのにソフト化されえいないのが残念。

FODプレミアムでの「OZ」の配信は2月28日まで！お見逃しなく！→2020年3月まで延長されました！

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	Kirk Acevedo,Ernie Hudson,Terry Kinney,Christopher Meloni,Paul Acocella
	Hbo Home Video

視聴環境：FODプレミアム

©︎2009 シーサイド発