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らいおのblog

日々の出来事をゆるーく綴っていきます

悪魔が来りて笛を吹く

2007-01-05 23:28:57 | 読書
笛と言っても・・・いや、なんでもないです

TVで「悪魔が来りて笛を吹く」の放映がありました。仕事でもしながら、なんて思っていたらとてもそんな片手間に見ることはできませんでした。

『昭和22年、“世紀の犯罪”とまで言われる「天銀堂事件」が起きる。その後、日本発のモンタージュ写真なるものがつくられることになったが、その写真と酷似する子爵・椿英輔氏が自殺したいとして発見される。
しかし、その後子爵の作曲したフルート曲「悪魔が来たりて笛を吹く」の旋律とともに子爵の顔をした怪人が現れる。そして殺人が繰り返される。』

原作は大好きです。
では、今回の映像化はというと、なかなかではないかと思います。なんといっても、犯人の悲しさの告白に結構な時間を割いてくれたこと。探偵ものとしてはある意味はずせない、密室の設定をいともあっさりと切り捨ててしまったのも英断だったんでしょうね。
その犠牲となってか、椿子爵の悲しさや(ネタばれになると困るのではしょります)色々な人間関係の複雑さが描ききれなかったのはしょうが無いところかもしれません。

とにかく、なりたくて悪魔になったのではない悲しき犯人像がいいですね。
オルフェノクとなりながらも人間として生きようとした木場や恒点観測員340号を描いた作品と通じるものがあると思ってます。

いずれにせよ、個人的には古谷金田一の次に稲垣金田一もいいかなと言う感じになってきているので次の作品が何なのか非常に楽しみです。

時の迷路

2006-11-30 22:10:56 | 読書


時の迷路
香川 元太郎作・絵

迷路の本です。と言ってしまうとみもふたも無いのですが、迷路の本です。子供達が自分で迷路を作成するほど迷路にはまるときがあるので、つい買ってしまいました。


「時の」と言うだけあって、恐竜時代から縄文、弥生・・・最後に江戸時代とそれぞれの時代をモチーフにした迷路が用意されています。ただ単に迷路だけだと解いてしまってハイおしまい、なのですが迷路以外に隠し絵があったりクイズがあったり、そしてよく見るとつっこみたくなる絵があったり・・・、大人でもなかなかてこずる内容です。


うちの子には迷路はいいんですけど、まだ隠し絵なんかはちょっと慣れてなくて探すのは難しいみたいです。でも楽しんでやってくれてます。


仮面舞踏会

2006-11-19 22:09:42 | 読書
仮面舞踏会 作:横溝正史

舞台は信州軽井沢。映画スターの鳳千代子の三番目の元夫が死体となって発見される。千代子の一番目、二番目の夫も以前不可解な死に方をしている。四番目の夫は行方不明となり、千代子と交際中の飛鳥氏から金田一耕介に調査の依頼がなされる・・・。

20年近く昔に読んだことがあるはずなのですが、何一つ覚えていませんでした。赤と緑のマッチ棒、不可解な数式、被害者に押しつぶされていた我etc・・・。さまざまな伏線が張り巡らされており、それらが何を意味しているのかはさっぱりわからないのですが、最後の謎解きの場面になり一つ一つの意味が解明されていくと見事に一つの結論に向かって行くんですね。最後の最後に表題の仮面舞踏会の意味が明かされますが、それにさえもいくつかの伏線が張られています。読みながらつい「あぁ」と声を上げてしまいました。

色々な伏線があり、登場人物も多く読むのには少してこずる感じでしたが、骨太の面白い作品だと思います。

悪魔の百唇譜

2006-11-02 23:39:02 | 読書
悪魔の百唇譜  作:横溝正史

昭和35年6月22日 東京都世田谷区成城町に放置された自動車のトランクから女性の死体が発見された。血溜まりにはハートのクイーンのカードが。
同日、世田谷区弦巻町の自動車からも若い男性の死体が発見された。その胸はハートのジャックとともに短刀で貫かれていた。

金田一耕助が活躍するシリーズです。
大昔にこのシリーズは何冊か読んでいたのですが、最近改めて一冊ずつ読み返しています。本作を読んだのは初めてでした。

獄門島や悪魔の手毬歌の様に意味深な見立て殺人があるわけでもなく、八つ墓村や犬神家の一族の様におどろおどろしい因縁が渦巻いているわけでもなく、最後まで淡々と話が進んでいきます。
そのためか読んでいる途中は物足りなく感じていましたが、いざ真犯人が解明されだすと作中にちりばめられていた伏線が、あれも?これも?という感じで一つにまとまっていく様にうならされてしまいました。
最後まで読み終えてみると一種のドキュメンタリーの様で、派手な舞台装置の中の物語より妙にリアリティを感じてしまいました。

ホント、横溝作品には裏切られてばっかりです。

陰摩羅鬼の瑕

2006-10-27 18:00:31 | 読書


文庫版 陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)
作:京極夏彦

やっと、読み終えました。二週間近くかかったかな。

ミステリーですが、膨大な知識によって事件の”謎”を解体していく
京極道を含む魅力的なキャラクター達と、同じく膨大な知識によって
緻密に描かれた、事件を取り巻く世界観が魅力のシリーズの7作目です。

これまでの京極堂シリーズと比べて、非常に軽く読めたような気がします。
何でかな~と考えてみたのですが、思い当たるのは、作中の死生観が
自分の考えと非常に似ていたからかな、という気がします。

「死にきちんと向き合うこと」是即ち「生きることを考えること」という
考えは、僕が持っている考えと同じなんですよね。
そのおかげで京極道と伯爵の話をすんなり理解出来たように思います。
ま、その考えももとはといえば、水木大先生の作品から感銘を受けた
ものなんですけどね。

てな話はまあ置いといて、やっぱり読んでて理屈ぬきに楽しかったです。
木場の出番がもっと欲しかったですが・・・
しばらく別の本を読んでから、分冊文庫版で再度読もうと思ってます。