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映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

みなもと太郎先生の『レ・ミゼラブル』

2021-08-20 23:59:44 | レ・ミゼラブル
昨日「日記」の一部として書いた、みなもと太郎先生による漫画版『レ・ミゼラブル』。やはりこのカテゴリーでも書いておいた方が良いと思い、抜粋して新たにエントリーを立てました。内容は昨日の該当部分とほぼ同一ですが、リンクを貼ったり若干の加筆があります。


漫画家みなもと太郎先生の訃報が伝えられました。





代表作としては絶筆、そして未完となってしまった『風雲児たち』が挙げられますが、自分にとっては子供の頃からの愛読書『レ・ミゼラブル』漫画版を描いてくれた先生です。
自分のツイート、そして他のかたのツイートも貼っておきます。







希望コミックス版は家族や当時のクラスメイトの間でも回し読みされ、比較的最近《復刊ドットコム》経由で出た上下巻まとめての完全版も、もちろん持っています。希望コミックス版は、現在はコミックシーモアその他で電子書籍として購入可能だと思います(そちらも買いました)。

完全版レ・ミゼラブル

コミックシーモアへのリンクも。

レ・ミゼラブル(上)
レ・ミゼラブル(下)


ギャグアレンジはされていますが、基本は原作に忠実な、リスペクトあるコミカライズです。冒頭にはヴィクトル・ユゴー自身の巻頭辞

「地上に無知と悲惨とがあるかぎり、本書のごとき性質の書もおそらく無駄ではないだろう。」

がそのまま掲げられ、下巻では同じくユゴー先生の

「大海より壮大なものは大空である。大空より壮大なのは人の心である。」

が掲げられています。
忠実と言っても、エポニーヌの出番は殆どなく(名前も記されていません)ガヴローシュは登場せず、ジャベール警部が回心と生存の道を選ぶ等の脚色や改変はあります。前二者については、元が「児童向け漫画」だったから、三角関係を描き込んでマリウスが二股男みたいに見えるのを避けるため、また「子供が戦いの中で命を落とす」場面を英雄的なものとして描きたくなかったのではないか、など推察できます。しかし、ジャベールさんが自殺を思いとどまることについては、ジャベール生存ルートの最適解であったと、今も思っています。これについては、後にアニメ版『少女コゼット』(通称アニレミ)に於いてもほぼ同じ構図と展開が使われるなど、リスペクトされていました。
フォロイーさんのツイートをもう一つ。



一方、これは当然ギャグ漫画的脚色だろうと思っていたエピソードが、実は原作に忠実だったと知った時は驚きました。たとえば、マリウスの堅パンをバリバリかじって「おいしいわ」と言うエポニーヌ。そして、バルジャンとフォーシュルヴァンさんによる修道院での「墓場で脱出大作戦」に至っては、かなり細かいところまで原作通り。まあ、あのくだりはそのままヴィジュアル化すれば笑うしかなく、だから多くの映像化作品ではスルーされてしまっているわけですが――

それはともかく、基本となる原作のテーマ、原作の精神(そして時代の精神)を描き出すことに関しては揺るぎなく、だからこそ今に至るまで評価されているのだと思います。
ご冥福を、と言うより、今はただ「ありがとうございました」と申し上げたいです。

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