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映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

映画『グレイテスト・ショーマン』

2018-03-30 22:23:18 | HJ出演作品レビュー

このところダラダラと毎日を過ごしていましたが、今日は久しぶりに映画を観に行きました。
自分の通院や母の見舞い、また家族の休みやら帰省やらとの兼ね合いで時間があっても行けないこともあり(娘も最近は一緒に行ってくれないし…)そんな日は手持ち無沙汰になってしまうのですが、今日は時間が取れました。
公開されたばかりの話題作や前から気になっている作品等、観たい映画がいろいろある中で、どうしてもと思っていた『グレイテスト・ショーマン』二度目の鑑賞となりました。
春休みだからか街は賑やか、映画館も平日ながらけっこうな人出で、『グレイテスト・ショーマン』にも多くのお客さんがはいっていました。公開から一ヶ月以上経っているのにこれだけ人が来ているということは、大ヒットのニュースもリピーターが多いという情報も本当だったんだと実感しました。

自分の初見は2月17日。その時の感想は当ブログのここに記しました。
この時はけっこう厳しいことを書きましたが、その後いろいろ考えたり、他の人のご感想や情報を見たりして、二回目にはまた違った思いを抱くこととなりました。思えば、ツイッターの自分タイムラインでは、なぜか公開前から(観てもいないのに)批判的なツイートが多く、公開後も激怒しバッシングしている人も少なからずいるらしいと聴いて、初見時には自分でも少し身構えてしまっていたのかもしれません。二回目の方がむしろニュートラルな気持ちで観ることができました。

初見時には主な登場人物設定以外あえて情報を入れていなかったため、まずストーリーを追うことが中心となりましたが、そうすると確かに至らぬ部分や脚本の粗などが目につくんですね。
でも、今回はあくまでも「ミュージカル」として観ました。すると──なんと煌めくような傑作ではありませんか!
楽曲の素晴らしさ、ダンスシーン(ペアダンス、群舞とも)の楽しさや迫力、色彩の美しさ等には、初見から目や耳を奪われましたが、二度目を観たことで、この映画が改めて一つの素晴らしいミュージカル作品として眼前に立ち現われたのです。「ミュージカル」としては本当に隙のない作品です。
こんな言い方は偉そうに聞こえるかもしれないけれど、この映画の題材(フリークス・ショー)やその扱いにモヤモヤする人は、各曲のメロディーに耳を傾けるだけでなく、歌詞もちゃんと聴いてほしい。または字幕をよく読んでほしいと思います。答えはすべてその中にあるのです。それが「ミュージカル」です。
サーカスの仲間たち個々の描き込み方が足りないという声も耳にしますが、そこはそれ、舞台ミュージカル鑑賞(レ・ミゼラブルとかミス・サイゴンとかジキル&ハイドとか)で鍛えたアンサンブルの隅々にまで目を凝らす眼力(?)を発揮すれば、激しい群舞の中でも彼らが確かに「そこ」にいるのが見えてきます。それが「ミュージカル」です。
映画見巧者必ずしも良きミュージカル鑑賞者に非ず──と、また偉そうに言ってみます。

この映画、予告では愛と夢に溢れるヒューマンドラマみたいな雰囲気でしたが(確かに広義ではヒューマンドラマなのですが…)よく観れば主人公P.T.バーナムは必ずしも善意の人として描かれているわけではないことが判ります。上昇志向が強く口のうまい成り上りのペテン師。そんな男に善意の篤志家であるかのような先入観を抱いてしまったとするなら、それはまさに、主演ヒュー・ジャックマンのヒュー・ジャックマン力(?)に観客がまんまと騙されてしまったということになります。

これは「愛と善意」の物語ではありません。「何かが(或いは何もかもが)足りない」と思い、自分の居場所を求めた人たちの渇望の物語です。バーナムもフィリップもサーカスの皆もジェニー・リンドも。ジェニーの歌う「Never Enough」は「This Is Me」と対をなす曲だと、二度観て初めて気づきました。バーナムがジェニーとその歌に魅了されたのは、歌手としての力量や人気のためだけでなく、また彼女を利用して上流社会にも受け入れられようとする打算のゆえだけではなく、魂の片割れを見出したと感じたがためです。彼らは互いの「渇望」に惹かれ合ったのだと思います。
いちばん大切で必要なものはもう持っている。足りないものなどない。ずっとそう言い続けてきた妻チャリティの愛だけでは満たされなかったバーナムの渇望と貪欲が悲しいです。
そして「何かが足りない」どころではなく、世間の偏見にさらされ続け、やっと得たはずの居場所もよりによってそれを与えた男の手で奪われかけるレティたちフリークスが、悲しみと屈辱の中からそれでも「これが自分だ」と誇りをもって歌い上げる「This Is Me」。そのシーンを観ながら、今日は涙滂沱でした。

そのほか、オープニングの「The Greatest Show」の歌と群舞、バーナムとフィリップの駆け落ちソング(違)こと「The Other Side」の楽しさ(皆さんおっしゃる通りバーテンダーのナイスアシストっぷりも素晴らしい)、フィリップとアンの空中ラブシーン「Rewite The Stars」の美しさ等々、ミュージカルとしてはとにかく見どころ満載です。こう書きながらもまた観たくなってきました。いつまで上映が続くか判りませんが、自分もすっかりリピート気分です。

書き足りないことや小ネタはまた追い追い書いていきたいと思います。

映画『グレイテスト・ショーマン』オフィシャルサイト

P・T・バーナム|Wikipedia

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