南十字星からアジアQZSS(日)/IGSO(中・印)を眺める

グローカルイースト視点
アジアQZS/IGSO軌道モニタ
高橋冨士信 fj鷹@gmail.com

22.7.6 七夕を前にして補強,夏の星座・冬の星座は光学天文専売,電波天文・衛星測位では無関係

2022年07月06日 | 地球/宇宙
22.7.6 七夕を前にしての補強のブログ記事です.
さて「夏の星座」・「冬の星座」という用語は光学天文専売なんです.電波天文・衛星宇宙測位ではこうした用語は現れません.
以下のURL記事にて歳差PresessionのアニメGIFをご紹介しましたが,


この左の周期26000年の北極星歳差のすりこぎ運動が,なぜ数千年前に福島から南十字星が見えたという説明になるのかの理由が,理解できないとのご意見を聴きましたので,上の右図のように周期26000年の北極星歳差の様子を.追加補強しておきます.(国立天文台の暦Wikiから補強図面をお借りしました.)
現在の北極星位置(こぐま座α星付近)から見ますと,約5千年前(紀元前3千年前)には黄道の北極を中心として,図の左部の方のりゅう座α星に約90度の歳差していたことが分かります.このりゅう座α星の位置を北極星となるように地球を自転させると,福島から南十字星が,ある季節の夜間に正の仰角でしっかり見えたということになるわけです.

(2022/6/26)「なぜ縄文人は、南半球を代表する南十字星を見ることができたのか」
https://blog.goo.ne.jp/qzss/e/863c4d43977e0bf91d80c975064e024b

これは一般の方に「冬の星座」・「夏の星座」という用語・概念が幼年期から染み込んでいるからだと気づきましたので,説明をしておきます.これは古代からの光学天文の長い伝統知識によるものです.たとえば冬の星座といえば巨大なオリオン星雲が南天でよく知られています.

しかしこうした季節による星座の伝統的な知識は,肉眼ないし光学天文での観測常識なんですね.実は電波天文の世界では年中同じ星座の配置が地球の自転により見えています.同じ恒星時であれば年中同じ方位・仰角に「電波星座」や例えばオリオン星雲などが見えています.

ところが電波天文学では昼と夜の区別などはありません.電波天文観測者は24時間フル稼働で観測業務をしています.ところが古代からの肉眼や光学による天文測定は夜間しかできません.ここのギャップに秘密があったわけです.

現在でも、北緯25度付近の沖縄や小笠原(おがさわら)諸島では夜間南中時に南十字星全景が見られますが,5000年前なら、季節を選べば、自転軸の傾きと北極星歳差の角度のベクトル合成により、当時の夜間の南中時ならば南十字星全景が北緯37度の福島でも見えたという結論が得られるわけです。

興味深い点は、公転面に対する地球自転軸の傾き23.5度と、北極星歳差軸の傾き角は、ほぼ同じ角度であることです。
この記事についてブログを書く
« 22.7.6 コロナ第7波東京3803... | トップ | 22.7.7 七夕です.コロナ第7... »

地球/宇宙」カテゴリの最新記事