節税対策:必要経費になるのは、どこまで?
ビジネス 編集部
フリーになると、所得税をいくら払うか自分で計算し、税務署へ申告します。余分な税金は払いたく無~い!節税の第一歩は、必要経費がどこまで認められるのかを、しっかり把握しておくことです。
文章:塚田 祐子(All About「フリーランス」旧ガイド)
必要経費とは?
フリーランスの所得税は、1年間(1月~12月)の総売上から必要経費を差引いた課税対象額に対して、税率を掛けて計算されます。年間総売上-必要経費=利益(←事業所得)
余分な税金は払いたく無いものです。節税の第一歩は、経費をモレなく計上することです。必要経費とは何か、どこまで経費として認められるのかを、しっかりと把握しておきましょう。
必要経費とは?:仕事を行うために必要な費用です。
何が、どこまで、必要経費になるのか
仕事に必要な経費と言うと、まず、事務所経費。家賃、光熱費、通信費等がありますね。次に、文房具、コピー用紙、パソコン用品等の消耗品費。それから、仕事に欠かせない、パソコンや周辺機器、パソコンソフト代。その他、仕事に必要な機材等。営業や取材で交通費も使います。それでは、主な経費から見ていきます。
【事務所経費】
フリーの場合、自宅を事務所にするケースが多いですね。こうした場合、家賃はどこまで経費になるか?
このような、個人で使う部分と、仕事で使う部分とを、キチンと分けるのが難しい経費を、「家事関連費」と呼びます。家事関連費は、仕事で使う割合を計算(経理では按分すると言います)し、業務割合分が経費として認められます。
家賃は、仕事部屋の占有面積によって割合を算出します。家賃の他、住宅ローンを支払っている自宅を事務所にした場合は、その利息のみが経費の対象となり、事業割合分が経費となります。火災保険も同様に、事業割合が経費となります。
家事関連費 | 経費の内容
|
按分 |
家 賃 | ・家賃、家賃の更新料 ・火災保険料 ・住宅ローンの支払利息 |
専有率
|
水道光熱費 | ・電気代、ガス代、水道代 ・灯油代 |
使用率
|
通 信 費 | ・電話料、携帯電話料 ・インターネット接続費 |
使用率
|
■家賃の計算方法(月額)
賃貸: 1ヵ月の賃貸料×使用面積の割合(仕事場の面積÷全体の面積)
※一般的には面積で計算します。税務署に必要経費として認めてもらうためには、「業務に必要である部分を明らかに区分することができる場合」になりますので、仕事専用の部屋を用意するとよいでしょう。
水道光熱費や通信費も、仕事に使う割合を算定します。比率は自分の判断によって決めて構いません。税務署で聞かれた時に、妥当と判断されれば、問題はありません。判断基準は、実態にそくしているかどうかです。
例えば、「携帯電話は仕事用」と決めているなら、全額を経費にすることができます。
【車の経費】
「家事関連費」(個人が使う分と仕事で使う分とが明確に区分できない費用)の中には、自家用車の経費も挙げられます。
営業車として仕事にしか使わなければ、その経費は全額、必要経費となります。自宅事務所の場合と同様に、自家用車を仕事にも使用する場合は、費用の内、使用割合に応じた分が経費として認められます。車の購入費の減価償却費も、業務使用分が経費となります。
「家事関連費」(個人が使う分と仕事で使う分とが明確に区分できない費用)の中には、自家用車の経費も挙げられます。
営業車として仕事にしか使わなければ、その経費は全額、必要経費となります。自宅事務所の場合と同様に、自家用車を仕事にも使用する場合は、費用の内、使用割合に応じた分が経費として認められます。車の購入費の減価償却費も、業務使用分が経費となります。
家事関連費 | 経費の内容 | 按分 |
車の経費 | ・ガソリン代 ・駐車場代 ・修理費 ・自動車税、自動車保険料 ・車の購入費の減価償却費 ※業務使用中の高速代、駐車料金は 全額経費。 |
使用率 |
■車の経費の計算方法
ガソリン代等:ガソリン代等×使用割合
減価償却費:車の減価償却費×使用割合
※使用割合=週又は月のうち何日仕事に使用するか
【什器備品、消耗品】
パソコンや周辺機器、パソコンソフトや消耗品。文房具、コピー用紙。仕事机や椅子、本棚等。仕事に必要な機材や消耗品は、全て経費として認められます。
10万円未満の物品は、全額が一括経費となりますが、10万円以上になると、資産扱いとなるため、耐用年数により、1年分の減価償却費が経費となります。機材や備品の修理費、保守契約料も経費となります。
注平成15年度の税制改正で、少額減価償却資産の適用が変更。30万円未満まで一括経費とすることが可能になりました。詳しくはコチラを参照してください。
【打合せの経費】
取引先の担当者や仕事仲間と、仕事の打合せをしながら居酒屋で一杯飲んだ。これも立派な業務上の経費です。ワリカンにした場合でも、しっかりと領収書をもらってきましょう。領収書には、打合せ相手の名前と、要件をメモ書きしておきます。費用は「接待交際費」となります。
喫茶店で企画のアイディアフラッシュをした、ランチをしながら仕事の打合せをした、こうした時の珈琲代や昼食代も経費になります。この場合には、「打合会議費」という科目で処理します。
【情報収集や資料代】
仕事に必要となる、情報や資料代、技能・知識・ノウハウを得るためのセミナー受講料等も必要経費として認められます。
注)ただし、資格取得の経費は、「一身専属性(資格は個人に帰属する)」のものとなるため、経費になる、ならないの判断が解釈により微妙となります。(→最終的には納税地の税務署へ確認が必要となります。)
・サンプルの購入費、資料代
・新聞や雑誌の定期講読料(※業務に必要な専門誌等。)
・雑誌、書籍代
・セミナー受講料(※業務に直接必要であることが前提です。)
・通信教育費(※業務に直接必要であることが前提です。)
【交通費】
交通費は、領収書がない経費なので、日頃からメモするくせをつけておきたいものです。営業で外回りをした交通費は勿論ですが、フロッピーを買いに新宿まで行った、このような交通費も経費になります。
今年は利益が出たから借金を返済しよう、と思っても、返済金額は経費とならないので、利益から差引くことはできません。経費になるのは、利子だけです。
注)同居及び生計を一つにする親族からの借入金に対する利子は、経費にはなりません。
・所得税、住民税
・健康保険料、国民年金(※所得控除の対象となります。)
・借入金の返済金(※利子は経費となります。)
・罰金(駐車違反の罰金等)
主な必要経費にはどんな費用があるか、どこまで認められるか、だいたいつかんでいただけましたか?
経費をモレなく計上するためには、領収書をもらう事を忘れずに! また、領収書が出ない経費(特に交通費)は、しっかり記録しておくことが大切です。
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■関連記事・リンク集
経理の基礎知識
・コレ必要経費になる?ならない?
・開業前の準備費用は、必要経費?
・これで完璧!「勘定科目一覧表」
・複式簿記をイメージで理解する!
・何をどの帳簿につけたらいいの?
・「経理」に強いと利益が上がる!
パソコンや周辺機器、パソコンソフトや消耗品。文房具、コピー用紙。仕事机や椅子、本棚等。仕事に必要な機材や消耗品は、全て経費として認められます。
10万円未満の物品は、全額が一括経費となりますが、10万円以上になると、資産扱いとなるため、耐用年数により、1年分の減価償却費が経費となります。機材や備品の修理費、保守契約料も経費となります。
注平成15年度の税制改正で、少額減価償却資産の適用が変更。30万円未満まで一括経費とすることが可能になりました。詳しくはコチラを参照してください。
経費科目 | 経 費 内 容
|
消耗品費 | ・10万未満の什器備品 ・文房具、パソコン用品、その他の消耗品 |
減価償却費 | ・10万以上の什器備品 ※注)参照。 (1年の減価償却分が経費となる) |
修 繕 費 |
・パソコン等機材の修理代 ・保守契約料 |
【打合せの経費】
取引先の担当者や仕事仲間と、仕事の打合せをしながら居酒屋で一杯飲んだ。これも立派な業務上の経費です。ワリカンにした場合でも、しっかりと領収書をもらってきましょう。領収書には、打合せ相手の名前と、要件をメモ書きしておきます。費用は「接待交際費」となります。
喫茶店で企画のアイディアフラッシュをした、ランチをしながら仕事の打合せをした、こうした時の珈琲代や昼食代も経費になります。この場合には、「打合会議費」という科目で処理します。
経費科目 | 経 費 内 容 |
接待交際費 | ・取引先担当者や制作スタッフとの飲食代 ・取引先へのお中元・お歳暮等の贈答品代 ・仕事上のおつき合いによる冠婚葬祭の包金 |
打合会議費 | ・打合せに使った喫茶代 |
【情報収集や資料代】
仕事に必要となる、情報や資料代、技能・知識・ノウハウを得るためのセミナー受講料等も必要経費として認められます。
注)ただし、資格取得の経費は、「一身専属性(資格は個人に帰属する)」のものとなるため、経費になる、ならないの判断が解釈により微妙となります。(→最終的には納税地の税務署へ確認が必要となります。)
・サンプルの購入費、資料代
・新聞や雑誌の定期講読料(※業務に必要な専門誌等。)
・雑誌、書籍代
・セミナー受講料(※業務に直接必要であることが前提です。)
・通信教育費(※業務に直接必要であることが前提です。)
【交通費】
交通費は、領収書がない経費なので、日頃からメモするくせをつけておきたいものです。営業で外回りをした交通費は勿論ですが、フロッピーを買いに新宿まで行った、このような交通費も経費になります。
必要経費にならないもの
以下の費用は、必要経費にならないので注意して下さい。事業税(フリーでも売上が上がってくると事業税を支払います)は経費になりますが、所得税や住民税はなりません。今年は利益が出たから借金を返済しよう、と思っても、返済金額は経費とならないので、利益から差引くことはできません。経費になるのは、利子だけです。
注)同居及び生計を一つにする親族からの借入金に対する利子は、経費にはなりません。
・所得税、住民税
・健康保険料、国民年金(※所得控除の対象となります。)
・借入金の返済金(※利子は経費となります。)
・罰金(駐車違反の罰金等)
主な必要経費にはどんな費用があるか、どこまで認められるか、だいたいつかんでいただけましたか?
経費をモレなく計上するためには、領収書をもらう事を忘れずに! また、領収書が出ない経費(特に交通費)は、しっかり記録しておくことが大切です。
「初めての青色申告ガイド」が本になりました!
そこで、経理が苦手な方でも、3日で複式簿記を攻略して、青色申告特別控除65万円を獲得できる「フリーランスのための青色申告ソフト」を開発! 「図解 フリーランスのための超簡単!初めての青色申告」の読者特典として、リリースしました(※ダウンロードサイト)。2006年に出版後、多くの皆さんにご支持いただき、お陰さまで【改定版】が発売となりました。この1冊で、青色申告が確実にクリアできます。是非ご活用ください! ⇒詳しくはコチラ
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・コレ必要経費になる?ならない?
・開業前の準備費用は、必要経費?
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・複式簿記をイメージで理解する!
・何をどの帳簿につけたらいいの?
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