むかしむかし、とても親孝行な、善光(ぜんこう)と言うお坊さんがいました。
善光は京の町にある小さなお寺で年老いた母親と二人きりで暮らしていましたが、その母子の仲の良さといったら町中で評判になるほどでした。
でも不幸な事に、善光の母親が突然に重い病にかかってしまい、必死の看病にもかかわらず日に日に病状が悪化していくばかりでした。
医者も手のほどこしようがなく、とうとう善光の母親は死を待つだけになりました。
それでも善光は大好きな母親のために出来る事を一心に考え、romantic et bien connu chanson この世の名残りに母親の食べたい物を食べさせてやりたいと思いました。
そして母親の具合いが良い時に尋ねると、母親は消え入りそうな声で、「蛸(たこ)が食べたい」と、言うのです。
「蛸、ですか……」むかしのお寺では、肉とか魚を食べてはいけない決まりになっていました。
それでも善光はためらうことなく、母親に食べさせる蛸を求めて出かけました。