まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

翠明荘(旧高谷家別邸)洋館

2020-05-13 22:32:00 | 建物・まちなみ
2019年10月の弘前の続き。

料亭、翠明荘は、元津軽銀行頭取の高谷英城氏の別邸「玄覧居」として1895(明治28)年に建てられた。
和館についてはまたあとで書くことにするが、、1933(昭和8)年から1937(昭和12)年に増改築が行われており
その一環で洋館が建てられたようだ。青森県のサイトによると1934(昭和9)年築となっている。

見るからにライト風の建物。帝国ホテルを模した、明るい色のスクラッチタイルに覆われた瀟洒な外観。


現在は美容院「Vintage premium」の店舗として使用されている。




水平ラインが強調されながらも複雑に入り組んだアシンメトリーなファサード。六角形の窓もあり変化に富んでいる。


レリーフの部分は石材か。


中に入ると、レリーフの入った壁、数々の木彫レリーフが目に入る。


六芒星の形に天井に掘り込まれ、ステンドグラスを通したやわらかな光がふんわりと室内を照らす。
アールヌーボーな葡萄のシャンデリアとの組み合わせもあまり違和感はない。壁のブラケット照明も葡萄でお揃いだな。




洋館の彫刻は地元出身の彫刻家、工藤繁造氏の作品と資料に書かれていた。彼は弘前工業学校の彫刻図画嘱託教師であった。
1900(明治33)年生まれ、1936(昭和11年)に36歳で夭逝しているので、洋館が建てられた昭和初期は
ちょうど活躍していた時代だ。

戸板の木彫レリーフにも動物や鳥や人が描かれている。
ミミズクとヤギと農夫?右側はミミズクと農夫のみ。


裏側は鳩と月桂冠?そして天使。込められた意味や物語がありそう。


葡萄のつるにとまった小鳥の透かし彫りは、旧藤田家別邸和館のリスの透かし彫りに比べると、製作途中かと思わせるほど
荒削りな感じがするが、こちらはリアルを追求するのでなくイラストっぽくメルヘンチックな雰囲気の作風なのだろう。


アーチと木製の柱によって区切られた隣の部屋もまた素敵だな!
こちらの照明も手前の部屋とお揃いだ。これらの照明器具は美容院が入る前からあったものと思われる。


そして奥の窓には、ステンドグラスが!!欄間には幾何学模様、縦長窓の部分にはたわわに実る葡萄がガラスで描かれている。
葡萄モチーフが多いのは、何か意味があるのだろうか。
しかしこのステンドグラスは窓に合わせた長方形ではなく、葡萄より下の部分はガラスがなく、ちょっと違和感のある形。
サッシ窓の開け閉めができるように作って後ではめたものだろうか。


柱の装飾。


床は青森県のサイトによると「ドイツ製タイル」とのことだが、日本製の布目タイルに見えるな。
全面に保護のため半透明のシートが敷かれていて、質感を確かめることができない。




奥の部屋の欄間の透かし彫りは、写真を拡大して見たところ、奥の方はツタのつるにとまる小鳥、手前側はツタにとまるコウモリ!


最後に2階も見学させて頂く。階段の上がり口は半円形に張り出し、半円形の部分は中に照明が仕込まれている。




こちらの柱の装飾もまた幾何学的で面白いデザインだな。


凝灰岩の枠にステンドグラスのガラスをはめた窓。素敵だな~~


二階は広くなく、廊下に面して小さい部屋が2つほどあったが、物置か何かに使っているようだった。
廊下の窓からは翠明荘の前庭を見下ろすことができた。


外の翠明荘側から見た洋館。和風庭園にもしっくりはまるな!


続く。

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