「空中庭園」(角田光代 文芸春秋)を読む。
おもしろかった。すごーくよかった。
ダンチに住む一家族、父、母、娘、息子、祖母、父の愛人、それぞれの視点から、一章ごとが成り立っているつくり。
それぞれの視点から描かれる小説、、って、やっぱり元祖は芥川の『藪の中』なんだけど、各視点から真実を追及しようとした芥川とはまったく違う流れでもある。
なぜかと言えば、それぞれの章で各語り手たちは、好き勝手に自分の現状をぼやいている。
家族がナンダ!家族ってなんだ?、、という疑問をぐるぐる周りながらも、彼らはそれを突き止めようとはしない。
そう。真実を突き止めよう、なんて、そんなウザイこと、誰も考えないわけだ。彼らは、ただ、ぼやくだけ。
まるで、中心がブラックホールで、そこに向かって四方八方から皆が自分語りを叫んでる、て感じなのだ。
なにが真実かなんてどうでもいい。だって、真実って空虚だもん、てところか。
それに、どこか不条理だ。
読みながらなぜか、「ちびまるこちゃん」を想起してしまうのは、”不条理”という共通項のせいだろうか。
それとも、”家族”というものに対する、絶対的崇拝(ちびまるこではそれが現実的であり、本作ではそれが幻想的であるにしろ)を扱っているせいだろうか。。
父の愛人”ミーナ”の章では、登場人物全員が勢ぞろいする、誕生会なるパーティが開かれる。
ミーナは、不倫相手の”父”とその妻の”母”と”娘”、ラブホに行った”息子”とそこで遭遇した”祖母”、に囲まれ誕生日を祝わわれながら、急にそこが文化祭の舞台のような気さえしてくる。
テッィシュの花で飾られた壁を背景に、安物ワインを飲み、作り物の笑顔を浮かべながら、ミーナが”家族”を”演劇”のように感じるこの章は、立体的で(そして劇画的で)とても好きだ。
この章があるだけに、その後、”母”が自分の誕生日に、ひとり部屋にたたずむシーンの、うすら寒さが活きていると思う。
本書を読んでいるときに、偶然にも、角田さんの直木賞受賞という朗報が。。
というわけでしばらくは、このブログも、直木賞&芥川章特集というテーマで読んでいこうと思ってます。
おもしろかった。すごーくよかった。
ダンチに住む一家族、父、母、娘、息子、祖母、父の愛人、それぞれの視点から、一章ごとが成り立っているつくり。
それぞれの視点から描かれる小説、、って、やっぱり元祖は芥川の『藪の中』なんだけど、各視点から真実を追及しようとした芥川とはまったく違う流れでもある。
なぜかと言えば、それぞれの章で各語り手たちは、好き勝手に自分の現状をぼやいている。
家族がナンダ!家族ってなんだ?、、という疑問をぐるぐる周りながらも、彼らはそれを突き止めようとはしない。
そう。真実を突き止めよう、なんて、そんなウザイこと、誰も考えないわけだ。彼らは、ただ、ぼやくだけ。
まるで、中心がブラックホールで、そこに向かって四方八方から皆が自分語りを叫んでる、て感じなのだ。
なにが真実かなんてどうでもいい。だって、真実って空虚だもん、てところか。
それに、どこか不条理だ。
読みながらなぜか、「ちびまるこちゃん」を想起してしまうのは、”不条理”という共通項のせいだろうか。
それとも、”家族”というものに対する、絶対的崇拝(ちびまるこではそれが現実的であり、本作ではそれが幻想的であるにしろ)を扱っているせいだろうか。。
父の愛人”ミーナ”の章では、登場人物全員が勢ぞろいする、誕生会なるパーティが開かれる。
ミーナは、不倫相手の”父”とその妻の”母”と”娘”、ラブホに行った”息子”とそこで遭遇した”祖母”、に囲まれ誕生日を祝わわれながら、急にそこが文化祭の舞台のような気さえしてくる。
テッィシュの花で飾られた壁を背景に、安物ワインを飲み、作り物の笑顔を浮かべながら、ミーナが”家族”を”演劇”のように感じるこの章は、立体的で(そして劇画的で)とても好きだ。
この章があるだけに、その後、”母”が自分の誕生日に、ひとり部屋にたたずむシーンの、うすら寒さが活きていると思う。
本書を読んでいるときに、偶然にも、角田さんの直木賞受賞という朗報が。。
というわけでしばらくは、このブログも、直木賞&芥川章特集というテーマで読んでいこうと思ってます。
阿部和重さんの「インディヴィジュアル・プロジェクション」、以前読んだんだけど、面白かったです。
7年経ってどのように変化したのか、楽しみなので読んでみようかと思ってます。
ちょうどいま「インディヴィジュアル・プロジェクション」を読み終わったところだったんです。
これって、7年前の作品なんですかー。。
あまり時代を感じないですね。背景描写が、実は、細かくないのかもしれませんね。
わたしもこれから、阿部和重作品をどんどん読んでいくつもり!
べにひわさんもまた感想載せてください。(脈絡のない投稿、大歓迎です。)
個人的に「インディヴィジュアル・プロジェクション」はなんとなく、稲中の作者、古谷実のマンガと通じるものがあるような気がします。
この作品、たしかに、すっごく、記号的(そういう言い方でいいのかはわからないが)ですよね!
小説そのものが、暗号みたい。
稲中、すきすき!
でも作者の名前も知らず、他の作品も読んだことなかったです。
稲中と通じるもの…??ナンセンスとか?
稲中の連載後、著者は「僕といっしょ」「ヒミズ」といった作品を連載するんですが、だんだんギャグから作風がシフトしていきます。(「ヒミズ」にいたっては物語が進むにつれ笑えなくなって、読後ちょっとへこみます)
それらの作品と「インディビジュアル~」の雰囲気が重なったような感じがしました。
へこむって、シリアス路線なんでしょうか? まったく見当つきませんが。あの画風だし。。
あー、でも「インディビジュアル~」と重なる雰囲気だし、ちょっとハードボイルド風の、辛い感じなのかな?
TBさせていただきましたのでご報告します。
面白い本でしたよね。
映画も楽しみです。