F & F嫁の “FFree World”

※PCでの閲覧を前提とした構成です。文字サイズは「大」推奨です 

The Masquerade Is Over

2005年11月02日 | Cinema & Musik

F log


Standards,Vol.2

第1回でWho Can I Turn To? について書いてから、昔のCDを聞き直したり
していますが、しばらくの間まったくジャズなど聴かなかったくせに、
一度火がつくとあー懐かしい、ああこんなのもあった、などと大掃除のときの
アルバム状態になっています。

続いて第2回は(I'm Afraid)The Masquerade Is Overです。

Who Can I Turn To?と同様大好きな曲で、つい鼻歌で口ずさむことにおいては双璧です。
ま、いわゆる愛唱歌ってやつですね。
とにかく旋律が美しい。ところが歌詞は・・・


あなたの瞳はもう昔のように輝いていない。
あなたの言葉も色あせて響く、ただのルーティン。
偽りの日々はもう終わった。
道化師のように目に涙を浮かべただ笑うだけ・・・・


といったもろ女性のトーチソング(失恋歌)です。
唄うは「ニューヨークのため息」ヘレン・メリルです。
1955年に録音されたアルバム「Helen Merrill with Strings」はとびきりのバラッドばかり
12曲が収録されてます。なかでもこのマスカレード・イズ・オーヴァーは絶品です。
ハスキーヴォイスが上手くコントロールされていて、大人の魅力全開です。
こういう曲は若い女性には歌い切れませんね。
ブリッジ部分“I guess~”の“guess”の発音がめっちゃカワイイ


演奏はルー・ドナルドソン(as)です。
大好きな曲だけに迷いました。
ブリッジ部分から始まる痛快なキース・ジャレット(P)版も考えたのですが、
あのうなり声がどうしても拒絶反応を引き起こします。林家正蔵師匠いうところの
「キースのうなり声除去フィルター」をどこか発売しないかしら・・・
余談はさておき1958年に録音されたこの「Blues Walk」というアルバムは、アルトサックスの
ワンホーンカルテット+コンガという変則的な編成です。
そのせいか失恋の痛手を嘆く歌が軽快なテンポで走ります。
ファンキーなラテンの雰囲気はコンガのせいですね。
ルーの演奏だけを聴くとトーチソングとは思えません。事実こちらを先に聴かされていたF嫁は、
マスカレード~はノリノリの曲との認識で、ヘレン・メリルの歌にはびっくりしていました。

バラッドの本家たるヘレンの唄とアップテンポでとばすルーのアルトサックスでこの曲を
まとめるはずが、大好きな曲だけに収まりがつきません。
長いのは承知でもうふたつ。






唄はスタン・ケントン楽団出身のアン・リチャーズです。
雑誌のグラビアから借用されたジャケットがセクシーですね。
1961年に録音された「Ann,Man!」は彼女の5枚ほどしかない作品のひとつです。
バーニー・ケッセルのギターでゆったりと唄いだしたと思ったら、いきなりアップテンポで
どかーんとスイング。
そのかっ飛びぶりは爽快ですらあります。もはや失恋の痛手などどこへやらであります。
かと思うと2度目のブリッジでまたまたスローに。ケッセルの伴奏でしっとりと歌い上げます。
が、そのまま終わるわけもなく再びぶっ飛び、脅威のエンディングへ。
バンドシンガーは器用ですね。いやはやヘレンと同じ曲とは思えません。


すっかりアンに毒気を抜かれてしまいましたが、演奏はレッド・ガーランド(P)です。
1957年録音のアルバム「Red Garland Rivisited」からです。
こちらはピアノトリオ+ケニー・バレルのギターという編成ですが、残念ながらこの曲では
バレルの活躍はありません。
そのぶん、しっとりとピアノで歌う王道のバラッド表現です。
ガーランドの歌うような演奏が、美しい曲を際立たせます。
看板のブロックコードで鳴らすハーモニー、シングルトーンの美しさ。
スローテンポで8分以上ある演奏が長く感じられません。
最後、ソロでテーマを奏でる部分はほんとうに叙情的な演奏です。



同じ曲で歌と演奏をそれぞれスローとアップテンポで紹介しました。
良い曲はどんなアレンジでも楽しいものです。
どんどん長くなってますが、先が思いやられますな・・・・・



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