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アセアンの将来

2022-01-24 12:31:01 | 日記

 一般に、中国の失速とともにそれに代わってアセアンが経済的に台頭するという見方があると思う。たとえば長谷川慶太郎は日本は中国から撤退し、代わりに安い人件費でモノを作る場所としてミャンマーを挙げた。しかし昨年からミャンマーはクーデターが起こり混乱している。タイの街並みをみると、発展著しく、もう少しで日本と変わらなくなる印象も受けるが、一方でやはり政変でゴタゴタしていたりもする。昔からフィリピンは米国のバックアップでしっかりした民主主義が根付いているとも言われるが、あまり国としての力がついているとも思われない。80年代には、アメリカがフィリピンは民主主義のショウケースだと言ったのに対し、石原慎太郎は、アメリカはとんでもない勘違いをしている、中身が空っぽのショウケースだと批判した。

 ベトナムについても、あれだけ戦争で国がゴタゴタしていても、国民は勤勉で教育を重視する伝統があり、手先が器用で、もし経済的に離陸すれば既に先行している隣国のタイなどは既に追い抜いたも同様、みたいな声が昔からあった。近年は日本ともいろんなレベルで交流がすすみ、日本に留学する人も増え、コンビニの店員などでもベトナム人が増えた。ベトナムの将来は明るいのか?

 ベトナムはしかし一方で、日本で問題を起こしつつあるようで、日本人のヤクザ組織が暴対法などで絶滅の方向に向かっているのに対し、外国勢力の組織がそれに代わり、たとえばベトナム人の暴力団組織なども既に一部で問題視されているという。

 ある国が発展する時、何が重要か?何があれば発展するか?ということに関しては昔から色々言われてきた。教育と、発展の原資となるカネ、なんだかこれだけあれば経済的発展なんて起こるだろうとか。昔はそれに加えて、ウェーバーが言った、資本主義の精神を支えるプロテスタンティズムの倫理だなんて言われたけれど、日本が、非キリスト教国であるにも関わらず経済発展したので、きっと仏教などがその代わりとして機能してるのか?なんて言われて世界的に議論になったこともあるが最近ではそういうことも言わない。しかしイラクとかアフガニスタンが、アメリカのバックアップを受けているにも関わらず、全然発展しない。フィリピンで機能しなかったのと同じで。昨年、バイデン大統領はアフガニスタンを見捨てた。

 僕はつい先ほど、ベトナム人民軍から日本の自衛隊に留学しているベトナム人がパスポートを第三者に使わせて、それがけっきょく詐欺グループへの携帯電話の提供に悪評され、逮捕されたというニュースを聞いた。彼が特別な人なのかどうか知らないが、なんだか今まで聞いてきたベトナム人の評判に鑑み、決して特別なケースではないんじゃないかという印象を持つ。つまり、ベトナムの評判は、頭がよくて教育熱心で手先が器用で勤勉で、と良いものが非常に多いにも関わらず、今まで経済発展の軌道に乗らなかったのは、単にアメリカと対立していて経済制裁を受け続けてきたから、というだけではないのではないか。それは、人々が、その社会の発展、幸せのために働く、という公共的な心を持っているかどうか、ということが、カネとか教育とか勤勉というもの以上に大事ではないか。

 コンゴという国というか地域は、地面を掘れば金、銀、ダイヤモンドなどが出る。掘れば出てくるから豊かになってもおかしくないのに、あのあたりは世界最貧の地域である。彼らはそれを掘って、自分たちが豊かになるのに使うのではなく、それで外国から地雷とか武器を買い、近隣の対立する人たちを殺傷するために使っている。お互いにそうしているから、カネができたらできたぶんだけそういうことに使うから、これではいつまでたっても豊かにはなれない。

 聞けば、ミャンマーでもアフガニスタンでも、国内で、中央政府の統治が及んでいないような地帯があるという。これでは国内的な一体感は生まれてこない。ミャンマーでは、あのアウン・サン・スー・チーですら、国内のロヒンギャ族に対して排他的な措置をした。あれだけの人でも、国内の統一という視野がない。これは、もし安定した国の発展のために、国内の心情的統一が前提になると考えるなら、絶望的状況と言わざるを得ない。同じことは、怖ろしく多様なインドネシアなどにも言えるし、地域の希望の星のようなベトナムについても同様かもしれない。比較的小ぶりで国内的な一体感が強そうにみえるマレーシアでもプミプトラ政策という、国の一体感のためには遠心的な方向性の政策をしている。

 アセアンは多様性があり、それは強みでもあるが、しかし国の一体感という観点から、好ましくない結果を生んでいるのではないか。アセアンでこれからうまくいく場所としてはシンガポールなど、非常に小規模で一体性を作りやすい地域に限られるのではないか?という気もしてくる。あのあたりは地続きなのでこのての多様性は不可避だとしたら、台湾という地域の重要性がますます目立ってくる。特に中国でこれから起こるだろう不安定や混乱を思う時、日本がこの近隣地域で、少しでも安定要因を作っておくことは極めて重要だと思われる。今は津波は中国国内でうねっているだけだが、それが日本に押し寄せる日が、数年後ぐらいに来るのではないか。


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