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NPO法人POSSE(ポッセ) blog

シンポジウムの簡単な報告

 昨日9月2日、POSSEのシンポジウムが成功裏に行われた。参加者からは、内容も充実しており、「時間が早く過ぎたように感じた」などと、好評をいただいた。
 前半ではまず竹信三恵子さんが、非正規雇用が企業のニーズとして作り出されているという点を指摘された。曰く、「非正規はおいしすぎるのだ」と。非正規雇用を、企業にとっておいしくないような働き方にしなければならない。また、国の官僚と企業がともに「フリーターがもっといたほうがいい」と考えている、ということを具体的な取材経験から語られていた点は、印象的だった。

 前半二番目に登場した萱野稔人さんは、労働市場や金融の流動性が増大する中での、「権力」の変化について指摘された。民営化や規制緩和が進み、一見すると国家や官僚の、権力の力は弱まっているように見える。だが、実は社会の流動性が増大することは、法のグレーゾーンを増大させ、その部分に対する裁量は逆に拡大している。つまり、流動性の増大は権力を強めているのだ。しかも、民営化自体が新しい利権となり、天下りの数は「激増」しているという。一方でフリーターは、そうした流動化した社会の中で底辺に置かれ、利益の分配にはあずかれない、という構図にあることが示された。

 前半部の最後に木下武男さんは、これまでの運動の限界と、これからつくるべき若い世代の労働運動が目指すべきあり方について、指摘された。これからの運動は「指令・動員」型であってはならないこと、自らの意思に基づいて集まる運動でなければならないことを、力強い言葉でお話された。新しい運動を構築していける可能性を若者はもっており、現に世界では新しい実践が始まっているのだ。

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 後半部のパネルディスカッションでは、3000人アンケートを題材に、会場からの意見を交えて議論が行われた。まず実態面では、驚くほどの企業の法律違反という事実が示され、それについてNPO労働相談センターの菅野存さんが、具体的な事例から説明を加えられた。

 また議論の初期から、そうした状況に対してどのように対抗するべきなのか、これまでの運動はどのような点に問題があったのか、が議論に登り、白熱した。特に後藤和智君の意見が印象的だった。旧来の運動は、労働運動であるにもかかわらず「若者バッシング」に与している。その原因は彼らがある種の「原理」を持っており、それに従わない若者を、「怠惰になった」「やる気がなくなった」と規定しているからなのだ。つまり、前半部で木下さんが指摘されたような「指令・動員」型の運動を拒否する若者が、労働運動からもバッシングされるという事態を生み出しているというのだ。

 また園良太さんからは、自身の経験を交えて、就職活動や労働で若者が自分のことで精一杯になっていること、本当は社会の問題であることも、他人と協力し合って対処することができなくなっていることが指摘された。つまり、今の若者はばらばらになっているために、企業に対抗できないのだ。

 次に労基法の知識、「悩み」の内容や、それへの「対処」のデータをめぐって議論が進行した。アンケートからは、労基法の知識がある人とそうでない人で、残業代を受け取っているか、などの「結果」についての偏差がみられなかった。つまり、法律の知識が現実の法律違反を是正することにはつながっていないのだ。この点について、会場の中から重要な意見があった。

 発言されたのは派遣労働者の方。法律を知っていても現実に反映されないという点についての議論について、現実の派遣労働者の立場から発言された。実際の労働現場は法律違反を指摘するころではない、皆生活がかかっていて、いつ首を切られるか分からない中で働いている。実感のこもった意見だった。これに対し、司会がPOSSEとして今後できること、すべきことについて発言した。やはり、派遣労働者がそのような状況におかれているのは、皆ばらばらにされているからだ。若者が集まって社会に意見を発信できるような「場」を作っていくことが必要だ。もちろん簡単なことではないが、それを実現していくために努力していくしかない。彼の発言は議論に緊張感をもたらし、会場全体の意識を喚起してくれた。

 パネルディスカッションは最後に、木下さんがフリーターと呼ばれる労働者が新しい運動をつくっていける可能性を示され、幕を閉じた。

*****************

 多くの論点がだされ、論じたりないところもあったことと思う。近日中にシンポジウムの内容はHPにアップできるだろう。参加された方もされなかった方も、このブログ上にぜひとも意見を書き込み、継続して議論をできたら、と思う。

(文責・事務局)

コメント一覧

田舎人
返事ありがとうございます
る―あさん返事ありがとうございます。

今後、日本は、三角形のピラミッドより酷い

ひょうたん型の、構造になる可能性も、すてきれ

ません。



ひょうたんの上と、下で分かれて、

上は上で、おかしな天下り膨張してます。



ひょうたん型になるのも、国会で通過する法案に

若者の意見が、集約されてない事が多いからです





今の苦しい環境の若者は、法律が改悪されれば

もっと、苦しい目にあいます。



東京都と、田舎の都市の、介護保険料や国保なんて倍ぐらい負担が違う場合もありますよ。



でも、問答無用に、高齢者の数から負担が変動

して、払えなかったり、滞納すると、罵倒される

事もあります。



私も、公務員の方には、良い人が多数いると

思いたいですが、介護保険料の全国平均は

月々3千円から4千円に上がり、今後6千円に上がると言う予測も出てきています。





今の若者には、多くの高齢者の面倒+高級の官僚の給料+天下り費用+海外のODA+今後、中国

などからのエリート留学生の費用+と、どんどん

負担や責任ばかりが増えています。



何で、今の日本が、100カ国以上の国にODA

を、上げているんでしょうか。

10カ国じゃなくて、100以上です。



外務省は、人員予算と、大使館の数と、ODA

の増額を求めています。



私は、最近、太平洋戦争の戦記とかを、インター

ネットや、図書館の本で読むんですが、



インパール作戦で、多くの若者が死んだように

世の中がおかしいときは、若者が多く犠牲に

なるのは、世の中の常なのか、もしれません。



太平洋戦争中に特攻機させられた若者も、

フリーターで、劣悪な環境で、苦しんでいる人も

時代の大きな流れを受けている意味では同じ

だと思うんです。



人間の運命や、不況のときの採用、不採用なんて

ほんの些細な分かれ道で、決まる事もあります。



テレビの心無い司会者の一部には、あんなフリーターみたいな奴らと、罵倒する人もいますが、

その方達は、高給の給料を得ながら、同時に年金も、もらっています。



私は、基礎訴年金は、セーフティで、最低保証と

して、年収が、年金無しでも700万以上ある

高齢者の方には、辞退して欲しいと思います。



2階部分の厚生年金部分があるから、その方達

は、厚生年金だけでも、生活できるはずです。



もう、超高齢化社会では、基礎年金で、お金持ちの高齢者を、若者が面倒見るなんて不可能です。



基礎年金の役割と、厚生年金の役割は、分離

すべきだと思います。



調べて見ると、国民年金も、18年ぐらい前は

月々、8千円以下でした。



八千円が、1万6千円になるのに、給料が増えてない人は、痛みでしかありません。



お金持ちの高齢者が、貧乏になられたときは、

助けると言う制度しか、もう、無理です。











やぎ
ひとつ提案です
たかさん。

POSSEのひとつの可能性として提案します。

それは行政との連携です。



シンポでは労働基準監督署がなかなか申告を受理してくれない話題が出ていました。

ここは国の機関ですよね。



でも自治体の機関に注目してほしいのです。

国と違って暖かい機関があります。

東京都には労働条件相談センターがあるように、

神奈川県にも、いくつか県政総合センターに労働課という、主に労働相談を行っている機関があります。



しかし相談だけでなく、初心者のための労働法のセミナーも行っていますし、POSSEと連携していろいろな仕掛けをしていくことも考えています。



よろしければお電話を。

046-823-0210で労働課を指名してください。

POSSEの方と名乗っていただいて、「やぎ」ではじまる人と呼び出していただければわかりますよ。



るーあ
>田舎人さん



 そうですねー、いま40歳からだから遠い将来のことのように考えてたけど、20歳からの徴収を検討しているんですよね。



 生存権の問題として、賃金や労働条件だけでなく、生活保護や介護保険の問題なども考えていく必要がありますね。
ポコ
シンポジウム、お疲れ様でした。

私は木下さんのお話がとてもとても印象に残っています。

ズバリ、若者は「つるむ」必要がある、と。

つるむ、なんて言葉、普段はポジティブに使用しないですよね。むしろネガティブなもの(危なそう、アウトローっぽいなど)として使われる気がするので、新鮮でした。

おおいにつるんでいきましょう 笑)



私も、若者の意見を代表\する政党なり、機関なりは必要だと思います。



がんばろう! posse!
田舎人
介護保険も大問題
現在、40歳以上から徴収されている介護保険料を、厚生労働省は。20歳以上から徴収するように検討しているのも疑問です。

 20歳からが無理なら、30歳からとかで、

どんどん自分勝手に思考しています。



 介護保険料は、市町村ごとに違うので、3千や

6千など、月で倍も違う事は珍しくありません。



国民年金保険料だけでも、値上がり続いて辛いのに、介護保険料を、若者が払えるわけがありません。



介護保険料を払えないと、非国民とか、ろくでなしと叫ぶ、役人や、与党の政治家がいるので、腹が立ちます。



C型肝炎で、薬害を蔓延させて、天下りで利権ずくめの役所に、介護保険法を改悪して欲しくありません。



介護保険料は、死後でも、掛け捨て保険に入っていれば、多少後納出来るはずです。



相続税のように、本人の死後だって、ある程度は

払えるはずです。



若者に、負担を押し付けて、介護や年金を維持しようとするのは、平均的な痛みの平等ではないです。



公務員と中小民間で、年金格差があるのも、おかしいです。

 職域年金も、利権じゃないでしょうか。



厚生年金基金に加入してない会社も多いです。



90歳や100歳の高齢者が、御自分で年金を

使えずに、家族がかわりに消費している例も

多くききます。

 いったい、年金保険料って何なのか疑問です。



僕の妹は、結婚しているので、三号保険です。

自分で年金保険料も払っていないので、

月々13000円ぐらいの年金保険料を払えない

男や、払うのに苦労している男はくずと、平気で

言い放っています。



サラリーマンの奥さんは、三号保険で、

年金保険料は0円なんて、誰が決めたのか、

非常に不平等です。

せめて、月々千円でも負担してくれていれば、

年金制度も、こんなに改悪されずに、すんだと

思うのです。



自営業の奥さんは、年金保険料の請求が来ます。

立場で違うのは、疑問です。



男女逆転した、専業主夫、夫が家事の場合も、

三号保険です。 国民年金保険料が0です。



僕は、野党の言う、最低保証年金制度にして、

誰もが、消費税で、払うほうが平等だと思うのです。



田舎人
バーチャル省庁・政党を検討してください
私は、田舎に住んでいるものです。

影ながら応援します。



バーチャル省庁とか

バーチャル政党を、ホームページで作って

政策募集とか、公約を作って行けば、若者の

意見が集約されるんじゃないでしょうか?



僕も、法律知識が未熟です。



法がおかしい⇒ならば⇒法改正を訴える⇒そのためには、自分で改正案を考える⇒世の中に発信

する⇒ そこまで、やらないと、どんどん弱肉

強食に法改正されて行く気がします。



フリターの人だって、詳しい分野はあります。

バーチャル政党やバーチャル政党として、

野党のように、影の内閣の気分で考えたほうが

意見が、法として進化して行くと思います。



是非、問題解決のために、法案募集もしてみてください。



危険運転致死罪も、一般の人の力が原動力で

つくられたものです。

へたれ
やっぱいろいろやってみることじゃない?
萱野さんの話が印象に残りました。



非合法で遂行されていた領域だから法が届くようになったってむちゃくちゃは続く、という。



結局力と力のぶつかり合いですよね。



だから知恵があったって、それだけじゃあだめ。力でぶつかんなきゃ。



そのときにポッセみたいにつるんでいることが大きな力になるわけですよね。



それは法を遵守させるだけでなくて、法そのものを変えていけるような潜勢力をもっているはずだと思います。



ちなみに僕の職場、白いつなぎなんですよね~
たか
若者が不当に酷使されないような知識というか知恵を、posseでも提供していきたいですね。



なんかいい方法ないでしょうか。サイトをもっと充実させるとかかなあ…。
るーあ
 ほんとうに面白いシンポだったね。あれだけ本音のトークができたイベントもすくないのでは。



 とはいえ、今回はあくまでも「始動」。これを糧に議論を深めると同時に、さらに広げていきたいよね。
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