
古今和歌集 0753
くももなく なぎたるあさの われなれや いとはれてのみ よをばへぬらむ雲もなく なぎたる朝の われなれや いとはれてのみ 世をば経ぬらむ 紀友則 この身は

古今和歌集 0715
せみのこゑ きけばかなしな なつごろも うすくやひとの ならむとおもへば蝉の声 聞けばかなしな 夏衣 薄くや人の ならむと思へば...

古今和歌集 0684
はるがすみ たなびくやまの さくらばな みれどもあかぬ きみにもあるかな春霞 たなびく山の 桜花 見れどもあかぬ 君にもあるかな...

古今和歌集 0668
わがこひを しのびかねては あしひきの やまたちばなの いろにいでぬべしわが恋を しのびかねては あしひきの 山橘の 色に出でぬべし...

古今和歌集 0667
したにのみ こふればくるし たまのをの たえてみだれむ ひとなとがめそ下にのみ 恋ふれば苦し 玉の緒の 絶えて乱れむ 人なとがめそ...

古今和歌集 0661
くれなゐの いろにはいでじ かくれぬの したにかよひて こひはしぬとも紅の 色には出でじ 隠れ沼の 下にかよひて 恋ひは死ぬとも...

古今和歌集 0615
いのちやは なんぞはつゆの あだものを あふにしかへば をしからなくに命やは 何ぞは露の あだものを あふにしかへば 惜しからなくに...

古今和歌集 0607
ことにいでて いはぬばかりぞ みなせがは したにかよひて こひしきものを言に出でて 言はぬばかりぞ 水無瀬川 下にかよひて 恋しきものを...

古今和歌集 0596
としをへて きえぬおもひは ありながら よるのたもとは なほこほりけり年をへて 消えぬ思ひは ありながら 夜の袂は なほこほりけり...

古今和歌集 0595
しきたへの まくらのしたに うみはあれど ひとをみるめは おひずぞありけるしきたへの 枕の下に 海はあれど 人をみるめは おひずぞありける...

古今和歌集 0594
あづまぢの さやのなかやま なかなかに なにしかひとを おもひそめけむ東路の 小夜の中山 なかなかに なにしか人を 思ひそめけむ...