ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 怒りの日 (1943)

2021年08月25日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」

ワンショット、ワンショットに確かな意志があるので一気に引き込まれ画面から目が離せなくなる。多様されるカメラの横移動は、屋内シーンではどこまでいっても“息づまり”に支配された迷宮のような閉塞感をかもし、逆に屋外の逢瀬シーンでは色彩を感じるほど生と性の“息吹き”に満ちた開放感に満たされる。

タナトスからエロス、そしてタナトスへ。カメラワークによって生み出されたマクロな感情の起伏をカール・テオドール・ドライヤーは、アンネ(リスベト・モービン)の瞳の”翳り”と“輝き”の往還というミクロへと集約する。


【あらすじ】
女たちが魔女狩りの恐怖に怯える15世紀のノルウェーの小さな村。アブサロン牧師(トーキル・ローセ)は司祭代理として、拷問まがいの魔女裁判を行う判事団の一員を務めている。妻を亡くし初老の域に至るアブサロンだが、自分の息子より若いアンネ(リスベト・モービン)を後妻に迎えていた。しかし、若いアンネは夫との生活に愛を感じず、世間体を気にするアブサロンの母親からも邪険にされ、鬱々とした日々を過ごしていた。そんな折、遊学に出ていた息子マーティン(プレベン・レアドーフ・リュエ)が帰郷し、若い二人は自然と愛し合うようになるが・・・。一方、アンネの実母は魔女だったという告発がアブサロン牧師の耳に届く。(白黒/98分)

(8月22日/シネマヴェーラ渋谷)


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