
本音を吐き出せない教師雪子(山下リオ)にマイペースを崩さな上司(占部房子)は言う。自分で決めたことを黙々と実行し続けるほど心地良いことなない、と。100%周囲と折り合いをつけることなど所詮不可能で互いに7割位で譲り合うのが“良し”なのだろう。
登場するキャラクターが物語のための「作りもの」っぽくなくて活き活きしているのは草場尚也監督の肩ひじ張らない演出のたまものだろ。なかでも不登校児童役の滋賀練斗と、その父親役の池田良が見せる“氷解の笑顔”が素晴らしい。池田は名バイプレーヤーとして出演作では地味な役どころでも必ず印象を残す役者さんだ。滋賀練斗君は東京ピアノコンクールという大会でジュニアピアノ奨学賞を受賞した小学三年生だそうだ。
(2025年2月27日/ユーロスペース)
★★★★
【あらすじ】
29歳の小学校教師・吉村雪子(山下リオ)。細かな気配りができる性格だが、日々の自分の言動に自信が持てずにいた。相談相手は少しとっつき難い学年主任の大迫先生(占部房子)、今風女子の石井先生(樋口日奈)、良き家庭人でもある谷川先生(石田たくみ)たち。学生時代からの恋人で他校で教師をしている堀田(渡辺大知)にもアドバイスをもらう。今、一番の気がかりは不登校の坂下類(滋賀練斗)と上手くコミュニケーションできていないこと。そんな雪子は趣味のラップ仲間たちには本音を口にできると思いっていたが・・。PFFアワード受賞監督草場尚也の初劇場作。(98分)