やぁ、楽し映画でした。現役世代から相手にされなくなったシニカルなニューヨーカーの成れの果てウォレス・ショーンの懲りない意固地さが、なんか可愛らしいじゃないですか。アレンほどではないですが理屈ばかりこねてきた私ですが、本人はマイペースでめげてないようだし、こんな爺さんになるのも悪くないかもと思いました。
本作も前作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』同様に、アレンの毒気もなければ理屈ぽっさも皆無で実に素直な独白。やっはり、これが近年の心境なのでしょうか。この潔い諦観ぶり、嫌いじゃないです。前作同様と言えばエル・ファニングとセレナ・ゴメスに続き、今回の徹底したエレナ・アナヤのミニスカート姿へのこだわり、嫌いじゃないです。
(2月1日/MOVIX橋本)
★★★★
【あらすじ】
かつて大学で映画を教えていた熟年ニューヨーカーのモート(ウォレス・ショーン)は映画広報の仕事をする妻スー(ジーナ・ガーション)に付き合い映画祭が開催されるサン・セバスチャンを訪れる。クラシカルな哲学的映画を敬愛する彼は、社会問題を安易にエンタメ化する今の商業主義映画を毛嫌いしているが、スーは取材を口実に注目を集める売れっ子監督フィリップ(ルイ・ガレル)にべったり。妻の浮気を疑うモートは歴代の名作映画を彷彿とさせる奇妙な夢をみるようになり体調もすぐれない。そこで訪れた医院の女医ジョー(エレナ・アナヤ)に夢中になってしまう。自身の老境を重ねたようなウディ・アレンのロマンティックコメディ。(92分)