
無批判に自身のルーツであるアメリカに憧れる混血青年たちの単純さに、日米安保を過信する安易さを重ねて“行き場のなさ”を揶揄する底意地の悪さもさることながら、やりたい放題のアバンギャルド演出に和田嘉訓監督の才気が溢れ、とてもプログラムピクチャーとは思えないアナーキーな前衛ぶりはATG以上。
初監督作である本作や『銭ゲバ』、『脱出』を見ると、やはり和田嘉訓という人は、ただの「ドリフターズ映画」監督だったのではないことがよく分かる。
ヌーベルバーグへの傾倒だけでは飽き足りず、雑なパロディで『新学期 操行ゼロ』やら『ウエストサイド物語』にもオマージュを捧げつつ、どこまで本気で笑いを取るつもりなのか、ギャグにならないギャグに託して散りばめられた宗教権威への反発は凄まじく、暗喩化されているとはいえ“尼僧の逆さ刷り”など唖然。首都高を疾走する自作自動車「バッファーロー」にはナンバープレートが付いていないようように見えるのだが、当時はあんな撮影が可能だったのだろうか。
ラストショットの原点回帰には神代辰巳監督の『アフリカの光』が重なった。
(2月21日/シネマヴェーラ渋谷)
★★★★
初監督作である本作や『銭ゲバ』、『脱出』を見ると、やはり和田嘉訓という人は、ただの「ドリフターズ映画」監督だったのではないことがよく分かる。
ヌーベルバーグへの傾倒だけでは飽き足りず、雑なパロディで『新学期 操行ゼロ』やら『ウエストサイド物語』にもオマージュを捧げつつ、どこまで本気で笑いを取るつもりなのか、ギャグにならないギャグに託して散りばめられた宗教権威への反発は凄まじく、暗喩化されているとはいえ“尼僧の逆さ刷り”など唖然。首都高を疾走する自作自動車「バッファーロー」にはナンバープレートが付いていないようように見えるのだが、当時はあんな撮影が可能だったのだろうか。
ラストショットの原点回帰には神代辰巳監督の『アフリカの光』が重なった。
(2月21日/シネマヴェーラ渋谷)
★★★★