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ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 彼女と彼 (1963)

2017年07月14日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
漠たる幸福の拒絶と無産への回帰願望。大陸からの引揚者だという直子(左幸子)は、無意識のうちに“定住”に抗う女なのだ。転がるように豊かさを目指して猛進する60年代。そんな時代の「総意」に、彼女が正統かつ対等に抗う手段が無意識の「善意」だったのだ。

それは、あの戦争に対する総括なき発展への抵抗でもある。

長野重一のカメラと土本典昭の編集がドラマとして構造を担保して、羽仁進が不得手な“虚構としての物語”の強度を補強して、良い意味で一般映画の範ちゅうに留まっている。

(7月9日/シネマヴェーラ渋谷)

★★★★

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