病院の作業療法室 見学のススメ
患者さんから、「どこの病院が良いリハビリをしていますか?」と訊かれることがよくあります。
大きな総合病院や大学付属病院が良いリハビリを受けられると思っている患者さんが多いのです。
私に「ココの病院よりマシなリハビリを受けられる良い病院がないかね」と言われているように感じます。残念ですが、私の病院がその患者さんにとって一番良いリハビリをしているとは自信を持って断言できません。
もし、私が患者の一人だとしたら、作業療法士の私は患者である私により良い作業療法を受けるには、
「いろんな病院の作業療法室の見学をしてみたら」
と助言します。
作業療法室の見学から案外良いリハビリを受けられるかどうか判ります。
作業療法室の判定の基準
その1.室で生活ができるようになっているか
作業療法ではその人応じた生活のリハビリを行ないます。家と変わらない位のキッチンや洗面、洗濯設備があり実際に調理や洗濯などできるようになっているか。
小さい流し台がポツンと置いてあるだけ、キッチンはあるけどお茶碗、箸、調味料、お米などがなく実際に作くっていない。患者さんが横になるマット、椅子と机だけ置いた室では生活に則したリハビリを受けるのは困難です。
その2.訓練道具、自助具の種類は多いか、作業療法士自ら作った訓練道具がいっぱいあるか
訓練道具はよく医療機器メーカーでありますが、患者さん一人ひとり身体機能が異なります。どうしても既成のものではうまく合わないこともあります。
その人に応じて訓練道具、自助具を作っていくのです。その為に道具がいっぱいあるので室はガラクタの山のようになり、看護部門から「きたない」など陰口をたたかれます。
その3.その人に合った手作業(手工芸)ができるか
人は単に手足を伸ばしたり曲げたりだけで終わりません、動作ではなく行為があります。
作業療法は行為の訓練でもあります。物を作る行為は身体機能や精神機能の改善を図ることができるのです。木工業の職業を持つ男性の患者さんには、木工作業を提供できれば良いですね。
その4.室の雰囲気は明るいか
訓練室は病室の一つと感じず、家の中に居る様な雰囲気になっていることも大事です。
手の機能向上を目的とした運動訓練をするところでないからです。家に帰りたいと思わせないといけませんから。
以上考えてみれば、究極の良いリハビリ室とは病院のリハビリ室でなく自宅、職場を含め公園、駅、ショッピングセンターなど地域全体なんでしょうか。