今回は装具(スプリント)がその人の手に合っていることの重要度について書いてみます。
デュプイトラン拘縮(手のひらの中の腱膜がだんだん分厚くなったり縮んだりして皮膚や指が引っ張られる疾患)
の男性患者さんの術後に作成した第2関節を伸ばす手伝いをするダイナミックスプリントを使ってお話します。
(この場合指をまっすぐに引っ張ることにより、また皮膚が縮んでいくのを防ぐ目的)
この方は両手の小指が曲がっていき、パーをしても小指が曲がった状態のため仕事に支障をきたしてきたため手術をすることになりました。
半年前に別の病院で左手を、今回こちらの病院で右手の手術を行いました。
左手用の伸ばす装具 右手用の装具
左手用の装具は半年前のものなので、今の手には合っていません。
半年前だからってそんなに手の大きさは変わらないんじゃないの、と思うかもしれませんね。
いえ、手術後は手全体がひどく腫れるので、普段の状態よりはとても大きくなっているんです。
右手用の装具は手術後すぐに作った時点の写真なので、手にフィットしています。
分かりやすいように部分的に見ていきましょう。
よく見ると隙間ができています。
隙間があるということは、鉛筆に大きさの合わないキャップをつけているようなもので、鉛筆より大きいとゴトゴトしますよね。
その状態が手や指に起きて一部分が圧迫されて痛くなってきます。
足に合わない靴を履いて、靴擦れがおきるようなものです。
大きさが手に合っていないと装具の効果も薄くなります。
装具下部(手首側)がワイヤーに引っ張られて浮き上がるために、支点となる指の押さえ部に圧がかかりすぎてひどく痛くなります。
写真左側 カブトムシの角みたいな部分
もう1点、指を引っ張るワイヤーの角度もおかしくなっています。
斜め上方向に引っ張っています
指の垂直方向に引っ張ることで、指に負担なく効果的に持ち上げることができます。
微妙に修正
最初の写真では術後すぐで包帯を巻いていたので、留め部はマジックテープにし、包帯の厚さの変化にやや対応できるようにしました。
最終的に包帯が外れ、手の腫れが引いてからは隙間の空いた部分にスポンジを入れ、マジックテープをやや伸縮性のある布に変えてよりフィットするように修正しました。
このようにして装具はその人の手に合わせて修正していくことで持続的に効果を上げることができます。
この患者さんは左手の病院は調子が良く終了したので装具はもう必要ないから修正することもないし、痛いからつけていない、ということでした。
痛いとつけるのが苦痛になってきますし、つけてもらえなければそもそも装具の意味がありません。
その都度手に合わせていくことで正しい効果が得られるよ、というお話でした。
さぁ、みなさんも今つけている装具をチェックしてみてね!
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いつもこのブログで勉強させてもらっています。
これからも更新がんばってください。
ハンドセラピーに興味があるんですね!珍しい。
目標が定まっていること自体、自分の力になりやすいですよね。
勉強中の方にも見ていただけて嬉しいです(^-^)
指は複雑で難しいですが、是非がんばってくださいね!