二度寝して目覚めた田舎の空はまっさお
今回の帰省には難病でほとんど外出をしていなかった父を
私の息子が山に連れて行く、という二つ目の予定がありました。
このための下見をするために先月息子が帰省しようと新幹線を待っている時間。
まさにその時に祖母が亡くなったという不思議な偶然がありました。
息子はそれを一人でやってのけるつもりでいたらしいですが
健康な人ならともかく、歩行も全くできずお腹からチューブを繋げている父に何かあったら大変ですし
車いすから車への乗り下りなど、全く経験がありません。
しかも登山となると一人ではとても無理な事を理解し
私も喜んで協力することを約束していました。
本当ならおじいちゃんを背負って登山したかったようですが
父の身体への負担を考えるとそれは不可能でしたので
車いすでギリギリまでいける場所を先月下見していたのです。
そこは息子が幼い頃、父によく連れて行ってもらった思い出の山です。
前日法要の後で訪ねた時の父はとても不安になっていました。
出来れば母にも付き添ってほしいと申し出てきたので、母にも同行を頼みました。
長年連れ添った相手にしか言えなかったり頼めなかったりすることもあるのでしょう。
天気にも味方された息子は、良いイメージしか持たずに
私と母を車に乗せて、父の待つ病院へと車を走らせました。
この後の事は、息子のブログを読んでください。
http://world-jumper-kenta.at.webry.info/201310/article_14.html
私は父と母の娘として、そして息子の母としてのはざ間で
様々な想いでこの時間を過ごしました。
山頂までいけなかった息子が、きっと涙をにじませて見上げていたであろう木々のざわめきが聞こえました。
風の音…こんな風の音を前に聞いたのがいつだったか記憶にないほど
懐かしい風の音でした。
木々も一緒に泣いているような、低い風の音。
駐車場での時間の流れは、穏やかでいつもの倍くらい濃く長く感じました。
暖かい日差しの差し込む車内で
食欲だけは旺盛な父は、母の炊いたやわらかめのおにぎりを食べ
大好きなおまんじゅうを口の周りをあんこだらけにしてほおばっていました。
人のためにと思ってする事を、自己満足かもしれないと思う事は
とても辛い事だろうと思います。
世の中には多かれ少なかれそのような事があります。
人は人から何かしてもらうより、してあげたことの方に満足や喜びを感じるものなのかも知れません。
病気になってからほとんど表情がなく
笑う顔を見たことのなかった父が、カメラに向かってできる限りの笑顔を見せてくれました。
それが作り笑顔なのかどうか、私にはわかりませんでしたが
その笑顔が息子への最高のプレゼントだということははっきりわかりました。
その笑顔で息子の気持が吹っ切れたように思えたから。。
そして、別れ際の父の言葉を息子のブログで初めて知った私は
その日我慢していた涙をこの時初めて流しました。
「今日は本当にお世話になった。今回は楽しい事と辛い事があったけど次回も楽しみにしてるよ」
父の笑顔は本物だったのだと思い、そして次回を楽しみにしているという前向きな言葉が父の口から出たことに
とても感動しました。
このような事を書くと、息子自慢をしているように思われるかもしれませんから
この事は私の言葉で記事にしようと思いましたが
一人の若者の、まだまだ未熟な部分とまっすぐな心を
オバサンになってしまった私にはうまく伝えられないかも知れないと思い
このような記事にしてしまった事をお詫びします。
今回の帰省もとても意義深いものとなりました。
始まりの日が 終わりました
長くなりますので、また明日に続きます。はい、続きがあるのです
今日もご訪問くださり、最後までそして息子のブログまで飛んで読んでくださって
ありがとうございます。
感謝をこめて
つる姫