The Penelopes / Vaudeville Park Records News

The PenelopesとVaudeville Park Recordsに関するニュースをお届けします。

The Penelopes watanabe インタビュー Part 2

2019-02-24 19:59:43 | Weblog

 

米Cloudberry Recordsのサイトに掲載されたThe Penelopes watanabeのインタビューのPart2です。
原文はこちらです。

 

 

- 3年の沈黙の後、また素晴らしいアルバム"Eternal Spring"で戻って来た。ここで君はエル・グラフィックにアートワークを担当してもらってるよね。そしてそれがメチャクチャカッコいいと来た! 君はエルレコードのデザインの大ファンだったの? 音楽は? 君のお気に入りのエルの作品は何なのかな?

 

"Eternal Spring"を聴いて下さってると知って凄く嬉しいですね。というのも、めったに褒められてるのを見ないもので(特に日本では)。この作品と"Summerdew Avenue"は、全くもって無視されてしまった不遇の作品なのです。エル・グラフィックがこんなに素晴らしいアートワークを用意してくれたにもかかわらず、逆境に遭って海底深く沈んでしまったことをとっても残念に思っています。今でも凄く悲しくなるのでこの二作品はしらふでは聴けないぐらいです。

偉大なるマイク・オールウェイ氏が私にコンタクトを取って来たときは、これは夢だと思ったものですよ。同名の別人か、あるいは彼の名を騙る誰かかと。エルレコードは、全ての作品をコレクションするようなファン、という程ではなかったですが、スウィンギング・ロンドンの60年代の鮮やかなイメージに溢れたスタイリッシュなアートワークや音楽には注目していましたし、何より彼は「渋谷系の父」でしたから。好きな作品は沢山ありましたよ。一番好きだったのはやっぱりコンピレーションの"London Pavilion Vol.1"、それにLouis Phillippeの"You Mary You"や"Guess I'm Dumb"、Bidの"Reach For Your Gun"のようなよく出来たポップシングルでした。

XTCのThe Dukes Of Stratosphearもそうでしたが、80年代に60年代文化への熱狂を全面に出したところが、私に当時のNew Wave的なものからある意味で抜け出すきっかけをくれたんですよね。ハタチそこそこの若者にとって、それは衝撃的でした。

 


- 君の最後のアルバムは2006年の"Summerdew Avenue"だよね。それが最後にならないことを願っているんだけど。これは難しい質問かも知れないけど、最初のアルバムとこの作品を比べてみて、バンドの進化というのはわかる? 君の音楽はこの年月の間に大きく変わったと思う?

 

もちろんこれが最後のアルバムではないですよ。実際その後の10年のあいだに"Sweet Amazer"や"Spellbound"のようなミニアルバムを出し続けて来ましたしね。生きている限り曲を書くし、出し続けることを約束しますよ。ソングライティングという意味では、自分の作品はある程度進化し、洗練されて来たと思います... だって30年書いて来たんですから! 経済的理由から自宅録音を進めて行かざるを得なくなったので、録音のクオリティーはずいぶん落ちて、その後あまり進歩がなかったと思いますが、それを乗り越えるぐらいのアイデアで楽曲の質を上げるための努力はして来たつもりです。バンドとしてのアンサンブルのようなものを追い求める、ということは出来なかったけれど、全てを追い求めるのは、二兎を追う者は・・・で無理だとわかっていたから、ソングライティングにとにかく焦点を絞ったんですよね。
ただ、これはやっぱり聴いた人が決めることなのでしょうけれど。

 

 

- で、それから、詳しくはわからないんだけれど、YouTubeで2015年にリリースされた"Spellbound"というミニアルバムを見つけたんだ。あまり情報が見つからなかったんだけれど、それはどこかで入手できるのかな?
それともデジタルオンリー? そこにはどんな曲が入ってるのかな?


はい、それが私たちペネロープスによる最新リリースです。8曲入りのミニアルバムで2015年の11月20日にオンライン限定でリリースされました。以前の作品と違って、私が書いた8曲のうち、4曲で今回は女性リードシンガー3人を起用しています。もちろん今でもiTunesミュージックストア、アマゾンMP3、モーラ、それにレコチョクで発売中です。収録曲は以下の通りです。

01 ザ・ペネロープス - ヒア・カムズ・ザ・ライト
02 ナナ・イシイ&ザ・ペネロープス - シャングリ・ラ・グリーン
03 スプレンディドヴィル - アイ・オブ・ア・ニードル
04 マリリン・ロー&ザ・ペネロープス - ファンダメンタル・シング
05 ザ・ペネロープス - オール・ザット・グリッターズ
06 ザ・ペネロープス - ハロー・ニュー・ワールド
07 スプレンディドヴィル - バック・イン・タイム
08 ザ・ペネロープス - キャリー・オン

それぞれのスタイルや好みに合わせて、違ったタイプの曲やシンガーを配したんですね - 60年代のモータウン/ガールグループ(ナナ・イシイ)、70年代のメインストリームポップ (マリリン・ロー)、そして80年代のニューウェイヴ/パワーポップ(スプレンディドヴィル、私とマーシュ・ブランチのコラボ)という風に。残り4曲は私が歌ってます。まさにペネロープスの本質が詰まった作品群だと思いますよ。

 


- 凄くたくさんのレーベルやコンピに君たちが登場してるんだけど、そのなかで、風変わりで興味深いと思ったのが"The First Triangle"。あれはAuto Guideの作品なのかな?

 

Auto Guideは90年代初めに設立された東京のインディー・レーベルで、その後どうなったのかは残念ながらわからないんですけれど、最初の作品として出したのが"The First Triangle"だったと思います。3つのバンドが2曲ずつ持ち寄って、我々からは"Except Her Eyes"と"Tiny Tree House"という曲を提供したと思います。ワクワクするような何かが起ろうとしている、そんな時代でしたね。

 


- また君は米国音楽とクッキー・シーンといった2つのとても良い日本の雑誌にも提供してたよね。これの2つの雑誌は日本のシーンにとってどれくらい重要だと思う? 君がコラボしたかったなという日本の音楽誌は他にあった?


草の根で先頭に立って動いた偉大なふたつの雑誌、というところでしょうね。結局似たような方向性でこのふたつを超えるクオリティの雑誌はこのシーンでは出なかったですからね。商業的に大成功したとか、大きなビルを建てたとか、そういうのではなくて、ある意味損な役回り - 超クールなことをやるアマチュア、と言う感じだったけれど、日本の音楽文化のあるシーンの基礎の部分を築いたのは間違いないと思いますよ。

 


- そしてこれらの「歌やレコード」の質問の締めくくりとして、もし全てのペネロープスのカタログからお気に入りの曲を仮に選ぶとしたら、それは何になる? そしてそれは何故?


一般的に、作っている側は、最新の曲ほど満足しているし好きなものなんですよ。最近の自分がまさに表現したいことを反映している訳ですから。私に関して言えば、2015年のアルバム"Spellbound"からの"All That Glitters"、"Carry On"がとても気に入っています。2013年の"Sweet Amazer"、2012年の"Honeymoon Is Over"も好きですが、ミックスが気に入らないので、次の作品でリミックスしたものを出すつもりです。それ以前だと、"Eternal Spring"からの"Love Is"、"Summerdew Avenue"からの"1983"ですね。最初の5枚のアルバムの曲は反省することが多過ぎるんですよ。もっと時間が経ったら懐かしく聴こえるのかも知れないですけれど。

 


- なにがしかの理由でうまくいかなかったけれど他のどこかのレーベルが君の音楽に関心をもってた、なんてことはあったの? 大きなレーベルとかで。

メジャーレーベルの人がライブを見に来た、とか、著名な音楽ライターがDJのラジオ番組で取り上げて下さった、とか、誰々さんに"Eternal Spring"からのある曲が褒められた、というようなちょっとしたエピソードはいくつかありますよ。でも、見た目や演奏、私の下手な反応などでうまく行かなかったんでしょうね。

 


- ギグについてはどう? たくさんプレイした? 君の街から一番遠い所でプレイしたのはどこ?


全く多くはないですよ。プレイしたところで一番遠い所は東京ですね。2回プレイしました。それ以外は京都、大阪ばかりです。リズム・ファンタシー(私が2枚のミニアルバムを録音しプロデュースした)のギタリストとしては、滋賀でもプレイしたことがありますよ。

 


- 覚えてるなかで一番良かったギグは? 何かエピソードはある?

 

一番良かったのは10年ぐらい前の、同じような音楽が好きな人たちが主催して行なわれたイヴェントでの演奏ですね。ひとつは「ネオ・アコ/ギターポップ・ナイト」(こういうタイトルだったとは思いませんが) というギターポップのイヴェント。確かThe Pale Fountainsの曲をカヴァーしました。それに大阪のレコード店の15周年の記念パーティーでの演奏。夜中の12時頃に演奏したと思うんですけど、誰も酔っぱらって何かを投げ込むなんてこともなく、温かい雰囲気で良かった。みんなが笑顔の中で演奏するほど気分のいいものはないですね。

 


- 最悪だったギグは?


最初の頃の、全く音楽的にも好みじゃない、繋がりがないバンドが4つ、5つ出て、客の表情は明らかにこちらに興味がなくて・・・そういうのは楽しめなかったですね。私は色んな音楽に好奇心を示す方ですが、いかにも型にはまった姿勢だったり、いかにもプレイヤーが演奏力を見せたいだけで全然魅力がないような楽曲だったりする、典型的なJロック候補生のような人達とプレイするのは苦痛でしたよ。何故みんなわざわざ落とし穴にはまって行こうとするのかなぁと、考えるだけで演奏にも集中出来なかったです。

 


- これからペネロープスで予定している作品は何?  まもなく出るであろう新しい録音やリリース作品はあるの?


半分新曲、半分は2012年からの過去の曲のリミックスのアルバムを出すことを計画しています。"Pacific Amplifier"というタイトルです。その後に、全曲新曲のアルバムを出します。また、1987年から1992年の、1stアルバム以前の楽曲をリメイクした曲を集めてアルバムにして出す、というのも進めています。この3つが現在進めている計画です。

 

- ペネロープスとコラボして来た人達についてはどう? 彼らは他のバンドで活動してたりした?


前作"Spellbound"で参加したそれぞれの女性シンガーは、またそれぞれの活動をして来ていました。マリリン・ローはRhythm Fantasyのシンガーでもあり、またライブや録音を久しぶりに復活させる予定です。Splendidvilleで2曲コラボしたMarsh Branchは、彼女のソロユニットで精力的に頑張っています。また、イシイ・ナナさんもソロシンガーとしてライブ活動をしています。それ以前だと、"Inner Light"で参加してくれたマスイ・カオルさんは1990年代から活動して来たBlueberry, Very Blueのシンガーだったのですが、近年また復活されていますし、"Summerdew Avenue"で参加したマーク・リチャードソンさんはAge Of Jetsのシンガーとして今も活動しているはずです。

 


- ラジオやメディアからの注目は多く得た?


全体としてはかなり控えめだったと思いますよ、実際のところ。90年代前半の最初の2枚は配給がメジャーレーベルに匹敵するレベルでしたから、雑誌にかなり載る機会をもらえましたし、ラジオ番組に読んで頂いたりもしました。でも90年代後半以降、急激に減りましたね。特に自分でレーベルを起こしてからは、リリースを知ってもらうことが大きな課題になり、悪戦苦闘のうちに20年経ってしまったと言う感じです。その20年は、メディアの中でのインディーレーベルに対する扱いも大きく変わって行った時期でもありましたし。それが、30代以下の世代にペネロープスが殆ど知られていない主な理由のひとつでもあると思いますね。

 


- ファンジンについてはどう?

90年代に関する限りでは、色々なファンジンに載せてもらえましたよ。2000年代ぐらいからはインターネットが主流になり、最初はネットジンにもレビューを載せてもらったこともあります。でも、純粋に誠実なポップミュージックを継続して取り上げ続け、長続きしたものネットジンはホントに少なかったですね。

 

 

- 音楽以外に、持ってる趣味はある?


音楽が大好きですからね・・・。でも、音楽を完全に抜きにした趣味となると、プロ野球 - 特に阪神タイガース- 、野鳥、貝殻、宇宙、絵本、パウル・クレーの作品とか・・・それらに関することについて調べたり、場合によっては集めたりするのが好きですね。

 


- 今年(2018年)のワールドカップの日本チームのことはどう思ってる? あなたの国のどこか応援してるチームはある?


サッカーについては、2002年のワールドカップまでは割と真剣に追っかけてたんですけど、今はもう、全く関心が無いんですよ。申し訳ないです。世界のことを夢見るには、世界は狭くなり過ぎたんでしょうかね。選手が上手くなってるのはわかるんですけど、味がしないといいますかね。

 


- 振り返ってみて、バンドにとっての最大のハイライトは何だったと言える?

実は個人的にはミュージジャンとしてのハイライトはまだ来ていない、まだまだ昇り調子だと思っているんです。でも、何かある種のシーンの一部に所属していた時代を自分で振り返ってみれば、1993年から1994年の頃の録音やライヴが必ず浮かんで来る・・・出来に何一つ満足は出来ないけれど、あの頃がたぶんThe Penelopesの活動の中でもっとも若々しく、輝ける瞬間だったと、今なら言えますね。もうあんな瞬間は二度と来ないのでしょうね。

 

 

- 僕は東京も日本も行ったことがないんだ。だから、ちょっとしたアドバイスをしてもらってもいいかな?
どういう場所が絶対訪れるべきスポットかな? 君が大好きだったり、僕が試すべきな伝統的な食べ物や飲み物とか、あるかな?


東京にそんなによく行く訳ではないので、あまり自信を持ってお薦めすることは出来ないのですが、古い寺院などの建物や、伝統的な文化を楽しめる場所は行くべきでしょうね。特に音楽が大好きなら、新宿は訪れるべきだと思いますよ。東京は変化が激しいですが、一方でいくつかの下町や郊外にはあまり変わらない部分もあると思うので、特に試すべきなのは,そういう場所ですね。どうか楽しんで下さいね!

 

 



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