街を歩くと大小様々な音が聞こえてくる。
目を閉じて耳を澄ませてみると、なるほど世の中にはこんなに音であふれていたのかと驚くばかりだ。
風の音、木々の音、車の音、人の音、機械の音。
ほんのちょっとした音楽が室内の雰囲気を決定付けるように、街中の雑音にも空間の質を変えてしまうくらいの力を持つ音がある。
その一つが「拡声器」による音ではないかという気がする。
ある日ふと目にした、いや、耳にした集 . . . 本文を読む
その日も朝から写真機ぶら下げて散歩していた。
このところすっかりツーリスティックになってしまったスルタンアフメット地区であるが、
電車の線路を海側に越えた住宅地は観光客もほとんど来なくて、古き良き木造住宅街を残している。
未だ人通りもあまり無く、野良猫が時折道を横切るだけで実に静かなものである。
裏道を入り込み、適度な光に照らされた建物を撮ろうとファインダーをのぞき込んだ。
その時すぐ近く . . . 本文を読む
普段の散歩ルートに古本屋さんと中古レコード屋さんは欠かせない。
だからイスタンブールに行った時も、自然と足がそのような店を求めてしまう。
そこで今回もそんな雰囲気の店を求めて新市街の方へ歩いていった。
10年前に訪れた時も、何軒かの中古レコード屋を回ってはトルコ歌謡のSP盤を買い求めた。
これらの店は新市街のイスティクラール通りの裏道にある。
新市街とはいってもその界隈は随分歴史が古く、新旧 . . . 本文を読む
イスタンブール新市街のある通りをあるいていたら楽器の音が聞こえて来た。
地面に置かれた琴を台形にしたような弦楽器。
そこにしゃがみ込んで演奏する男の姿。
金属的な音色。イスラミックな旋律。
小川のように静々と通りに流れる。
この通りでは度々路上演奏の様子を目にすることがあった。
エレキ・サズ、ジプシー・ヴァイオリン。
様々な楽器による演奏が行われていたけれども、大抵は何人か観客がいたもの . . . 本文を読む