「 あの川は山から落ちて、海へと注いでおる。
人は自分の行きつくところをできるものなら知りたいと思う。
だがな、一度ふり返り、向きなおって、源までさかのぼり、
それを自分の中にとりこまなくては、人は自分の行きつくところを
知ることはできんのじゃ。
川にもてあそばれ、その流れにたゆとう棒切れになりたくなかったら、
人は自ら川にならねばならぬ。
その源から流れ下って海に到達するまで、そのすべてを自分のものとせぬばならぬ。
ゲドよ、そなたはゴントへもどってきた。わしのところへもどってきた。
さあ、きっぱりと向きなおって、その源と、その前にあるものを探すのじゃ。
そこにこそ、力となるものが発見できようぞ。」
『影との戦い ゲド戦記』 ル・グウィン 作
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自分の力を過信して、影を世に放ってしまい、
その正体がよく分からない影に追われ、不安を抱えたまま生活するゲド。
どうしたらよいか迷っているゲドへの 師であるオジオンの言葉。
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20代の頃、読みました。
これもまた読み返したくなったので、図書館から借りてきました。