我が家から車でちょっと走ると日本一の長さと言われるビーチがある、吹上浜だ。
夏は海がめが産卵に上ってくる、大昔はこの海がめの卵を採って近在の村に売り歩く人も
いたそうだが、今ではもちろんそんな人はいない。北朝鮮による拉致事件の場所でもある。
離岸流が発生しやすいビーチなので遊泳は禁止されているが対応力のある人やサーファは
海を楽しんでいる、オイラもたまーにキス釣りに行ったときなどはちょいと泳ぐこともあるし
せがれは海の子だから平気で泳ぐ、離岸流は沖に出る流れなのでこの流れに押されたらまず
浜へは帰れない、川を遡るようなものだからね。落ち着いて横に泳げばすぐに抜け出すことができる。
だから対応力って書いたのだけど、毎年ひとりかふたりは溺れてしまう。
東風の日などは海がベタナギだから浜から4,5mも先では泳いでいるアジなども見れるくらいの
透明度なのだ。浜から数キロ沖でも30mくらいの水深、海底には漁礁が入っているから魚も多い。
「明日からお盆だけど釣り、行きませんか二人で」ナベちゃんから電話。「行く、行く」「じゃ、港に5時で」
ひさしぶりだ、盆前だから漁師の船も少ない、海もベタナギ、快調に沖へ走る、気分最高。
釣開始、イサキの良い型が釣れる、入れ食いではないが順調に釣れる、型が良いので
10匹ほど釣ったらシイラを狙おう、しかし小型のアジが釣れない、べた底で狙ったら15cmくらいの
アジが釣れた、なんとか5,6匹釣りたいがイサキが掛かる、ときどきでかい何かがヒットして
ハリが伸びたり仕掛けがちぎられたり「大きなタイでしょうねぇ」。
なんとか4匹の小あじ確保、ナベちゃんには小あじが来ない、きっとイサキだけ狙っていたんだろう。
シイラの仕掛けに小あじを掛けて泳がせ釣り開始、船から20mくらい沖で流す。ナベちゃんが
「シイラ用のワイヤ持ってませんか」「あるよ、イシダイ仕掛けのワイヤ付なら」「それください、ついでに小あじも」
「いいや、貸してあげる、ナベちゃんにつれたら半分オレのもの、オレが釣ったら俺のもの」
ナベちゃんも船の後ろから仕掛けを入れた、餌は海に落ちたが浮きはまだ空中って状態でシイラが
船の下からひったくったのでナベちゃんも一瞬、状況を理解できず「ありゃーなんだ」リールがジージー。
海面に飛び出たので「でかいぞー」、ほかの仕掛けを全部巻き上げ、ナベちゃんとシイラの格闘を眺める。
ギャフであげるか聞いたら、「いや網でもいいでしょう」「そうかぁ、ギャフも準備しようか、どこにある?」
船のキャビンにあるギャフは真っ赤にさび付いてる、「これじゃ刺さらんぞ」
「しばらく遊ばして良い感じの写真をとろう」「早くすくってください」「いいやまだ待て、もっと良い写真を」
泳いでいるシイラの美しさよって言いながら。

ナベちゃんも限界、「はやくすくって」って言うから頭から網に入れたら一発でバキっと。
「言ったろ、網がもたないって」ギャフで引っ掛けようとするがなにせ錆びたギャフ、
「ちゃんと研いどけよ刺さらんじゃないかー」「もー何でももいいから引っ張りあげてぇー重いからもうだめ」
素手でハリスをつかんであげるのはとても危険だ、重いし暴れるからね、このやり方で手に深手のキズを
負った人を知ってる、幾針か縫うほどの傷、港に帰るまで苦しそうだった。
オイラは手袋をしていたのでヨイショっていいながらぶりあげた。
吊り上げたのもオレ、針もオレの、餌もね、だから半分俺のもの、約束どおりにね。
釣った本人の写真は撮らず、いかにも俺が釣ったって感じで「写真とってくれよ。」
「まだ釣ってくださいよ」「いや2匹はいらん、クーラーに入らん半分こしよや」
ふたたびイサキ釣り開始、なんてことだ船の下にシイラが隠れてる、けっこう良い型のイサキを
船の下で待ってひったくっていく、とても危ない状況「やめた、暑いし帰るべし」11時には終了した。
基本的にイサキ釣りは手釣りだから、シイラが掛かるととてもあぶない。
家へ帰って道具を洗ってビール、夜はイサキの刺身で焼酎・・たのしむべし。
こんなすばらしいものが近くで釣れる、幸せだ