もう過ぎた話だが去年の12月23日(まだひとつき過ぎていないけど)、一番若いメスのビーグルを連れて裏山に行った。
イノシシが猛進してきた日からこの仔だけは山に入れていなかった、11月にもこの仔だけ山に連れて行ったときも夕方になっても
家に戻ってこなかったので(実際、3日目にもどってきた)山の深い仔だと思ってはいた、山が深いってことは要するに遊び好きだってこと。
12月23日も午前10時ころに山に入れた、上に駆け上がっていく姿がちらっと見えたがそれから先は足元に来ない、2時間くらいあちこち
回ったけど鈴音も聞こえない、「またか」って思ったが的中した、夕方になっても帰ってこない、夜の天気予報ではしばらくは雨が降るという
予報はなかったので「まぁこの間のこともあるし、明日は帰ってくるかも、天気も続きそうだし」。
3日目が暮れた、「ちょっとまずいぞ、路を外したか」、翌朝早く山に親犬だけつれて入った、ウサギでも見つけて追跡させれば声を
聞きつけて出てくる可能性はある、しかし、肝心のウサギがいない、イノシシがそこらじゅう掘り返しているからウサギも追い散らされる、
とりあえず山裾を東側と西側を歩き回って人間の匂い付けして山から降りた、車で北側の林道を走ったが見当たらない、
山掃除している親父にも聞いたがこの2,3日犬は見かけないと言う、「まだ山にいるんだ」どうしょうもない。
5日経ち、6日めにもう一度山裾を歩き回って匂い付け、7日目も帰ってこない、こりゃあもうだめか、
家内からもう一度山を見てきてって言われたので「毎日行ってもしょうがないんだよ」「怪我して近くまで来ているかも知れないがねぇ」
まぁ行くだけ行くか、8日目も帰らない、明日は大晦日、天気も下り坂、寒波が下りてきているから食っていなければ山ではもたんぞ。
9日目、強風、スゲー寒い、1月1日には家内の親戚が集まる正月会が毎年ある、イノシシとシカとシカのレバーを燻製にしてって
家内にオーダーされていたので寒い中、燻製開始、午前10時ころから夕方4時まで燻した。
日暮れになって一段と寒くなった、もう終わりにしようって思っていたら家内が「お父さん、犬が離れてるよ」
「離してないよー」一瞬えーっと思って走っていったら「モカが帰ってきたー」。
ガリガリだったが怪我もない、ダニをたくさんくっつけて猫の餌を食ってる、たまたまシカ肉を犬用に煮ていたので
そのスープをドッグフードにかけて食べさせた、一度に沢山やると良くないだろうからね、それとシカ肉はすごく元気がでるからね。
9日間もこんな小さな体でよくがんばったものだ、なんだか大人のような顔つきになった・・ような気がした。
大晦日の晩、美味しいお酒が飲めたのはいうまでもない。
結局、燻製の時、強風が吹いて、肉の燻される良い匂いが裏山中に広がった、その匂いの元を
たどってきたとしか思えないんだ。