石鎚界隈にやってくるといつも気にかかり、
目で追いカメラに収めてきた尾根がある。
八丁坂から、あるいは土小屋から二ノ鎖方面へ向かう時も、
その特徴的な岩峰群を望むことができる。
「いつか行ってみよう」と思い続けていた計画を
ようやく実行に移した。
石鎚北面トラバースから見える尾根上部
御塔谷上部からの前衛峰
尾根の基部は十字路。
H=1300mあたりから自然林が広がる。
松やヒノキの大木、背が高くて端正な枝ぶりのブナも多かった。
急登に愚痴をこぼさず高度を稼ぐと、とつぜん視界が広がる。
前衛峰の肩に出たようだ。
石鎚北面、深く刻まれたルンゼが印象的。
ラッペル15m
降り立つと、目指す岩峰群が近くなってきた。
ケモノ道を使わせてもらって3峰取付点へ。
3峰1P目、剝がれそうであまり信用できない岩肌。
慎重に足を置いてゆく。
露出感あり、余裕あるところで振り返る。
周囲の山々が新鮮なアングルで展望できるのは、ヤブ尾根の特典だ。
石鎚北壁からコールが聞こえてくる。
こちらも負けじと大声で「解除!」
3ピッチで3峰(小剣)ピーク着。
3峰ピークから見る2峰、
ハシゴを架けたいくらい近いがラッペルするしかない。
2峰(大剣)は1ピッチでピーク着。
2峰から見る3峰
本峰へ今日3回目のラッペル、
懸垂支点はハーケンで。
降りてみると、
左手小テラスに大鎖が架かっていた。
ここから本峰へは踏み跡があり、登山道もすぐだった。
登山道手前には、2基の石標が建っていた。
三十六王子社の三十番大剣王子と三十一番小剣王子が祀られているようだ。
秋晴れのすがすがしい一日を、
森の大木やブナに感嘆しアルパインを楽しみ、
満ち足りた山行になった。
短くはあるが、味わいのある尾根であることに間違いない。
しかし知る限りにおいてこの尾根は名無しなので、
ぜひ命名しておきたくなった。
「前社森尾根」では少し位置ずれがあるし、
「剣山尾根」は平凡。
「大剣尾根」では徳島の谷と混同される恐れがある。
長くて語呂もよくないが、
三十六王子社由来の「大剣小剣尾根」に決めた。
もしすでにつけられた尾根名が判明すれば速やかに訂正だ。
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