変にしてはおかしな英語と日本語の解体珍書

変にしてはおかしな英語と日本語、訳語、訳文を解剖・解体、ついでに英語の語法・文法なども解説しちゃう蕪呂倶

日本人の名前のローマ字表記

2009年02月03日 | Weblog
毎日英語でご飯を食べている実務家でも、この事実を知っている人はあまりいない:

国語審議会の2000/12/08 答申より:
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日本人の姓名をローマ字で表記するときに,本来の形式を逆転して「名-姓」の順とする慣習は,明治の欧化主義の時代に定着したものであり,欧米の人名の形式に合わせたものである。現在でもこの慣習は広く行われており,国内の英字新聞や英語の教科書も,日本人名を「名-姓」順に表記しているものが多い。ただし,「姓-名」順を採用しているものも見られ,また,一般的には「名-姓」順とし,歴史上の人物や文学者などに限って「姓-名」順で表記している場合もある。欧米の報道機関等では,日本人自身の慣習を反映して「名-姓」順で表記することが一般的である。
 [中略]
日本人の姓名については,ローマ字表記においても「姓-名」の順(例えば Yamada Haruo)とすることが望ましい。なお,従来の慣習に基づく誤解を防ぐために,姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo),姓と名の間にコンマを打つ(Yamada, Haruo)などの方法で,「姓-名」の構造を示すことも考えられよう。 今後,官公庁や報道機関等において,日本人の姓名をローマ字で表記する場合,並びに学校教育における英語等の指導においても,以上の趣旨が生かされることを希望する。
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上記答申にもとづき、現在ではパスポートなどの公式文書では"YAMADA, Haruo"のように「姓-名」の順に表記するようになっております。

ただし、従来からの慣習である「名-姓」順の表記を一挙に「姓-名」の順に変えることは事実上不可能であり、義務教育段階では両方の表記が認められており、教科書などでもまだ統一されていないようです。

なお、"YAMADA, Haruo"のように書けば"YAMADA"が"FAMILY NAME"であることが外国人にも一応認識されます(ただしこのルールを知らない人には無理)が、会話ではどちらが「性」だか「名」だかわかりませんので、"YAMADA is my family name."などと付け加える必要があることは言うまでもありません。

難易度 vs 難度

2008年06月10日 | Weblog
Googleで検索してみますと:
 難易度  約 5,740,000 件
 難度   約 4,990,000 件

妙なことに「難度」よりも「難易度」の方が幅を利かせているようですが、正しくは「難度」ですね。

類似例:
「高度」 とは言うが 「高低度」 とは言わない
「温度」 とは言うが 「温冷度」 とは言わない
「速度」 とは言うが 「速遅度」 とは言わない
「硬度」 とは言うが 「硬軟度」 とは言わない
「強度」 とは言うが 「強弱度」 とは言わない
「濃度」 とは言うが 「濃淡度」 とは言わない
「深度」 とは言うが 「深浅度」 とは言わない
「密度」 とは言うが 「粗密度」 とは言わない

「難易度」とは少し違いますが「製薬メーカー」とか「一週間の間」とか、変にしてはおかしな日本語がごくフツーに使われていますね。

International Red Cross

2008年03月16日 | Weblog
"International Red Cross"は文字どおり「国際赤十字」と訳す人が大半だろうと思いますが、実際にはこのような名称の団体は存在せず、以下のいずれかの意味で用いられますので要注意:

1. 赤十字国際委員会、各国の赤十字社と赤新月社、国際赤十字・赤新月社連盟の総称
2. International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies
  国際赤十字・赤新月社連盟(一般に「国際赤十字」と略して呼ばれることが多い)
3. International Committee of the Red Cross
  赤十字国際委員会
4. League of Red Cross Societies (この意味での用例は稀)
  赤十字社連盟(「国際赤十字・赤新月社連盟」の元となった組織)
5. League of Red Cross and Red Crescent Societies(この意味での用例は稀)
  赤十字・赤新月社連盟(「赤十字社連盟」の後身で「国際赤十字・赤新月社連盟」の前身)

手元にある英和辞典等には次のような訳語や解説が記されています:

新英和中辞典(第6版)
IRC
《略》 International Red Cross 国際赤十字社
COMMENT: 「国際赤十字社」という団体は存在しないのでこの訳語は不適切。

ランダムハウス英和大辞典(第2版)
International Red Cross
国際赤十字: 各国赤十字社、赤十字国際委員会、赤十字社連盟から成る
COMMENT: 「各国赤十字社、赤十字国際委員会、赤十字社連盟から成る」団体が存在すると誤解されるおそれあり。とくに「赤十字社連盟」は現在の「国際赤十字・赤新月社連盟」の元となった団体の名称と紛らわしいので不適切。「国際赤十字連盟」であれば許容範囲内。

知恵蔵(出版年不明)
【国際赤十字(IRC)】 International Red Cross
非政府間機構たる赤十字国際委員会、各国赤十字社、赤十字社連盟の総称。最高議決機関を赤十字国際会議と呼び、その常設委員会がジュネーブにある。
COMMENT: 「赤十字社連盟」は不適切。

リーダーズ+プラス(出版年不明)
国際赤十字 《赤十字国際連盟, 赤十字社連盟, 各国赤十字社の総称; 略 IRC》.
COMMENT: この解説は完璧なる間違い。

"International Red Cross"は「各国の赤十字社」の意味でも使われると書いてある辞書やインターネット上の記事などがありますが、「各国の赤十字社」が単独で"International Red Cross"と呼ばれることはあり得ないので誤記と考えて差し支えないものと思われます。

なお、上記で「各国の赤十字社」とあるものは厳密には「各国の赤十字社および赤新月社」としなければなりません。

ちなみに「国際赤十字」の歴史を簡単に記しますと以下のようになります:
1919年  赤十字社連盟(the League of Red Cross Societies)の創立
1983年  赤十字・赤新月社連盟(the League of Red Cross and Red Crescent Societies)に名称変更
1991年  国際赤十字・赤新月社連盟(the International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies)に名称変更、現在に至る

「国際赤十字」と「赤十字国際会議」に関する解説で内容が適切と思われる例を以下にご紹介させて頂きます:
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国際赤十字
国際赤十字とは,各国赤十字社(・赤新月社),赤十字・赤新月社連盟および赤十字国際委員会の総称。
【赤十字国際会議】国際赤十字の代表にジュネーヴ諸条約締結国政府の代表を加えた会議で,赤十字の最高議決機関。原則として4年ごとに開催。最初の会議は1867年パリで,1934年(第15回の会議)は東京で開かれた。戦後の赤十字国際会議のおもな決議事項は,平和宣言(第17・19・22回),血液事業の推進(第17・19・22・23回),原水爆の排撃(第17回),離散家族の再会・帰国の自由(第18~20回),赤十字基本原則(第20・23回),武力紛争に適用される法規および慣習の再確認と発展(第21・22回),赤十字災害救援活動の原則および規則の制定(第21・22・23回),国際人道法の知識の普及(第22・23回)など。なお,赤十字3機関による代表者会議,赤十字・赤新月社連盟総会が合わせて開催されることになっている。また赤十字国際会議は,国際赤十字常置委員会を設けている。これは,赤十字国際会議が開催されていない期間における,赤十字国際委員会と赤十字・赤新月社連盟の努力の整合・調和の確保,国際赤十字の規約の解釈・運用についての審査裁定を行う。
http://www.tabiken.com/history/doc/G/G172R200.HTM
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法律文書とPLAIN ENGLISH

2008年03月04日 | Weblog
JUDGE: The charge here is theft of frozen chickens. Are you the defendant?
DEFENDANT: No, sir, I'm the guy who stole the chickens.
http://www.languageandlaw.org/LEGALLANG/CORRECT.HTM

Original:
"utility users' (city) tax"--a tax imposed upon all utility users in a city, other than gas or electric corporations, using gas that is delivered through mains or pipelines, the tax imposed is on the charges made for such gas.
Revision:
"utility users' (city) tax"--a tax charged by some cities for gas used by customers. These cities require us to collect this utility users' tax for them. (Gray, 1986)
http://www.ericdigests.org/pre-926/english.htm

ORIGINAL
COMPOUND INTEREST
It is agreed that in case default shall be made in payment of any sum to become due for interest at any time appointed for payment thereof as aforesaid, compound interest shall be payable and the sum in arrears for interest from time to time, as well after a before maturity, shall bear interest at the Charge Rate, and in case the interest and compound interest are not paid on the next interest payment date after the date of default a rest shall be made, and compound interest at the rate aforesaid shall be payable on the aggregate amount then due, as well after as before maturity, and so on from time to time, and all such interest and compound interest shall be a charge upon the Charged Premises.
REVISED
INTEREST OWING ON LATE PAYMENTS
If a regular mortgage payment is late, we calculate the extra interest you owe for being late every day, using the annual interest rate of your mortgage. You pay interest on both the principal and the interest portion of the payment that is late. When we receive a payment, we will deduct the interest charges for the late payment and the interest owing on the principal amount first, before any part of the payment is applied to reducing the principal amount. We may also decide to apply the late payment to other amounts you may owe, for example, property taxes.
http://www.cba.ca/en/content/general/040929-Plain%20Language%20Mortgage%20Document-leaj(1).pdf

和文の場合でも似たようなものですが、契約書や特許明細書など英文の法律文書には古臭い用語や表現が多用され、さらには複雑で難解な文体で書かれているため、native English speakerでも専門家でないと意味がなかなか理解できないケースが多々あり、用語や表現の解釈をめぐって裁判沙汰になることも珍しくないようです。あまり(または「ほとんど」)意味のない古臭い慣習という点では、日本で近年になってやっと不要とされるようになってきた三文判の使用と似ております。

法律文書でもいろいろあり、専門家が理解できさえすればそれでOKという類いの文書はともかくとして、一般大衆を対象とする賃貸契約書や保険契約書などでは、意味が理解できない文書はそれこそ意味がなく、また経済のグローバル化や移民の増大などにともなって、そもそも英語の読み書きにも不自由するような人が増えた結果、このような人々を対象とする文書はできるだけ平易な用語や表現で書かなければならないことになって参ります。

このようなことを考慮して、機械類の取扱説明書などはかなり早くからPLAIN ENGLISHで書かれるようになっておりますが、法律文書の場合はすべてが一般大衆を対象としたものとは限らないせいか、はたまた法律業界には「お客様」という観念が欠落しているせいか、法律分野においても1970年代(一説によると1960年代)になってPLAIN ENGLISHの導入が提唱されるようになったにも関わらず、現在でも古めかしい用語や表現をふんだんに使用した法律文書が大多数というのが実状と言わざるを得ないようです。

しかしながら法律分野におけるPLAIN ENGLISHの導入は少しずつではあるものの着実に進展しており、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなどでは、少なくとも一般大衆を対象とする法律文書や契約書などはPLAIN ENGLISHで書くことが法的に義務付けられるようになってきており、このような傾向はとくにオーストラリアにおいて顕著であるようです。

さて、インターネット上で法律英語に関する和文の記述を探してみますと、下記のように興味深いものがいくつか見つかります:

今では時代遅れながら結構よく見かける記述の例:
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英文契約書には、法律英語独特の表現が用いられる。たとえば、助動詞のshallが「~しなければならない」という義務、mayが「~できる」という権利を表し、mustやcanは使わないということは「常識」であるが、契約書に慣れていない人は戸惑うこともあるかもしれない。
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%9F%E8%B7%B5-%E8%8B%B1%E6%96%87%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8%E3%81%AE%E8%AA%AD%E3%81%BF%E6%96%B9%E3%83%BB%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9-%E5%90%89%E5%B7%9D-%E9%81%94%E5%A4%AB/dp/4502904201
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"shall"と"must"の使い分けに関する次のような見解は法律家の間でも異論が多く、広く受け入れられているわけではない:
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英文契約書で「義務」「強制」を示すのは、mustではなく、shallである。英文契約書でmustが使われるのは、「義務」ではなく「資格要件」を表す場合に使う。
A medical doctor must be a person who graduated from a mdical school and passed the medical examination.
http://alcom.alc.co.jp/communities/106/entries/show/3798
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「使用するのがベスト」という表現はともかくとして、法律英語の趨勢という観点からは正しい記述:
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契約書の辞書(契約書WEB別館)
「義務」を示す時は"will"を使用せず、"shall"もしくは"must"を使用するのがベストです。
http://contradic.exblog.jp/675415/
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以下、法律文書で多用される古臭ふんぷんたる用語や表現のうち代表的なものをいくつかご紹介させて頂きます:

SHALL
法律文書においては法的拘束力をともなう義務については長らくSHALLが使われてきましたが、そもそも日常生活でSHALLを使用することはほとんどなく、"Let's go. Shall we?"などの意味で使われるにすぎませんので、SHALLはやめてすべてMUSTにする傾向が強まっています。

SAID
一般の法律文書はもちろんのこと、特許明細書などでもSAIDが長らく使われて来ましたが、この言葉の使用によって何か特別な意味が付け加わるようなことは一切ありませんので、定冠詞のTHEなどに変えようではないかということが特許業界でも広く言われるようになって来ております。

WHEREIN
これなども日常生活ではまったく使わない言葉であり、"in which"で代用してなんら問題はありません。

その他にどのような古臭い用語が使われているかご存じでない方は次の文などをご参照ください:
Obscurity, longwindedness and convoluted language were helped along by legal scriveners [代書人] who were paid by the word. It was they who padded their pay by using said, aforesaid, herein, hereof, hereinafter, hereunder, hereinbefore, aforesaid, wherein, whereon, whereas, therein, thereon, therefore and the like, ad nauseam. Even now there seems to be a concern that if a document, an agreement or a decision is not long enough, clients or the parties will not feel they got their moneys worth.
http://www.davidelliott.ca/papers/wipl.htm

Electric Signature

2008年02月25日 | Weblog
経済産業省のサイトでは、次のページで同省所管の法律のタイトルの英訳を示していますが、なんとも驚くほどの数の誤記がちりばめられています。
http://www.meti.go.jp/english/information/data/laws.html

今回はとりあえず数例を挙げて皆様の注意を喚起させて頂く次第であります:

電子署名及び認証業務に関する法律
Act on Electric Signatures and Certification Services
コメント: "Electric Signatures"では「電気署名」となってしまいますね。

半導体集積回路の回路配置に関する法律
Act on the Circuit Layout of a Semiconductor Integrated Circuits
コメント: "a"は不要。なお、インターネット上にはこの法律に相当する外国の法律のタイトルも含めて次のような英訳例が存在しますが、なるべく短く表現する方が本場の英語に近くなるようです:
Act concerning the Circuit Layout of Semiconductor Integrated Circuits
Act concerning the Circuit Layout of a Semiconductor Integrated Circuit
Act on the Circuit Layout of Semiconductor Integrated Circuits
Law concerning the Circuit Layout of Semiconductor Integrated Circuits
Protection Act of the Circuit Layout of Semiconductor Integrated Circuits
Semiconductor Chip Protection Act
Semiconductor Mask Protection Act

Law vs Act

2007年10月12日 | Weblog
「法律」という意味での"Act"と"Law"の使い分けはnative English speakerでも知っている人は少ないようですが、"Act"とは、たとえば米国の場合、上下両院を通過した法案(Bill)に大統領が署名した時点で、または大統領が拒否権を行使し、両院で3分の2以上の多数で再可決した時点でこの法案は正式に法律として成立し、"Act"と呼ばれることになります。すなわち、"Act"は固有名詞としての法律の名称に使われることになります。

それでは"Law"はどのような場合に使われるかと言いますと、固有名詞としての法律の名称ではなく、「~に関する法律」のように法律の内容を一般的または説明的に表現する場合とか、外国の法律で公式の英訳が存在しない場合などに使われます。

日本の法律の名称には従来公式の英訳は存在していませんでしたので"Law"が使われて来ましたが、最近になって公式訳を設定しようという動きが出て来ており、今後は日本の法律の名称でも"Act"が使われることとなりました。

ただし専門的には「法案(Bill)は下院または上院のいずれかを通過した段階で法律(Act)と呼んで差し支えない」そうです:
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Act
Legislation that has passed both Houses of Congress and approved by
the President, or passed over his veto, thus becoming law. Also used
technically for a bill that has been passed by one House of Congress.
http://bensguide.gpo.gov/9-12/glossary.html
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国際棒材協会

2007年09月01日 | Weblog
国際棒材協会  International Bar Association (IBA)
IMO略語集
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00036/contents/0040.htm

「国際棒材協会」は極めてユニークな誤訳で、ユーモアのセンスすら感じられますね。

"International Bar Association"とは:
The world's leading global organisation of legal practitioners, bar associations and law societies. 18000 members exchange information relating to all international aspects of law.
http://www.ibanet.org/

パンツは履物?

2007年07月20日 | Weblog
「履物」と言いますと靴とか下駄とかサンダルの類いに決まってますが、「パンツを履く」とか「ズボンを履く」とか言ったり書いたりしますから、パンツやズボン、スカートの類いも「履物」なんでしょうか?

そんな阿呆なことはありませんね。

実はパンツやズボン、スカート等は「穿く」と書くのが正しいそうですが、こんなことを知ってる人はあまりおりませんね。

暇つぶしにGoogleで検索してみました:

パンツを履く|ズボンを履く|パンツを履い|ズボンを履い|パンツを履き|ズボンを履き|パンツを履こ|ズボンを履こ  約 211,000 件

パンツを穿く|ズボンを穿く|パンツを穿い|ズボンを穿い|パンツを穿き|ズボンを穿き|パンツを穿こ|ズボンを穿こ  約 28,900 件

"欠神発作" vs "欠伸発作"

2007年07月11日 | Weblog
"欠伸発作" の検索結果 約 303 件
"欠神発作" の検索結果 約 985 件

言うまでもなく「欠伸」とは「あくび」のことですが、一方「欠神」とは「ごく短時間失神状態に陥る」ことを意味する医学用語で、癲癇の症状の一つということになるようです:

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欠神発作とは突然意識がくもり、動きが止まり、突然もとに戻る発作です。だいたい5~20秒くらいの持続時間です。

欠神発作とは、主に子供の発作で、簡単に言えばただ数秒間ボーっとしている病気です。 そして、その数秒間は意識がありません.

欠神発作とは、突然意識が失われ、すばやく元に戻るものを言う。 すばやく戻るとはいえ意識が失われた時には、倒れても意識がないため身をかばうことができない。
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医学専門のサイトでも"欠神"を"欠伸"と誤記しているケースがかなり見られますので要注意。

心療内科

2007年06月25日 | Weblog
日本心療内科学会
Japanese Society of Psychosomatic Internal Medicine
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspim/FrontPage.html

「心療内科」を上記のように"psychosomatic internal medicine"としている例が結構見られますが、"internal"は不要で"psychosomatic medicine"だけで「心療内科」の意味となります。

Googleで検索してみますと:
"psychosomatic internal medicine"      約 308 件
"psychosomatic medicine"       約 1,310,000 件

上記約308件をザッと調べてみましたが、すべて日本のサイトでの用例のようでした。



独立行政法人製品評価技術基盤機構

2007年03月23日 | Weblog
独立行政法人製品評価技術基盤機構
用語・略語集
http://www.safe.nite.go.jp/management/term/SearchTerm

上記サイトの略語集をチェックしてみましたところ、一々指摘するのも面倒なほど多数の誤字・誤記があることに気付きました。

公的機関がこのような杜撰な辞書データを公開するのはかなり問題ではないでしょうか。

抗精神薬 vs 向精神薬

2007年01月15日 | Weblog
「抗精神薬」は「向精神薬」か「抗精神病薬」の間違いであり、「抗精神病薬」は「向精神薬」に属するもので「強力精神安定剤」とも呼ばれる。

正しい表記の例:
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"向精神薬"   約 355,000 件
"抗精神病薬"  約 162,000 件
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誤った表記の例:
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"抗精神薬"        約 22,900 件
"向精神病薬"       約 637 件
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"向精神薬"と"抗精神薬"が共起するケース:
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"向精神薬" "抗精神薬"  約 547 件
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解説:
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「抗精神薬」というのは「向精神薬」か「抗精神病薬」の間違いですね
http://homepage3.nifty.com/kazano/diary0102b.html

よくある間違いとして、「抗精神薬」という記載を色々なところで見かけますが、「抗精神薬」というものは存在しません。「向精神薬」または「抗精神病薬」の誤りでしょう。
http://www.so-net.ne.jp/vivre/kokoro/psyqa0496tropic.html

向精神薬とは中枢神経系、すなわち脳に作用して、とくに精神機能になんらかの影響を及ぼす薬物の総称である。
抗精神病薬は強力精神安定剤とも呼ばれる薬剤で、意識水準の低下をきたさず、情動を沈静させ、周囲への関心を低下させる特徴をもつ。とくに精神分裂病の幻覚妄想状態の治療に役立つ。また、躁病や躁状態の治療にも有効で、精神運動興奮の抑制に効果をもつ。
「精神医学辞典」(弘文堂から)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail.php?queId=6291537

【向精神薬】
中枢神経系に作用し、精神機能に影響を及ぼす薬剤の総称。抗精神病薬・抗不安薬・抗鬱薬などの精神治療薬のほか、覚醒剤・幻覚剤なども含む。麻薬及び向精神薬取締法の対象となる。
http://www.fukuushi.com/cgi-bin/filesafe/tfsafe.cgi/psychiatry_materials_0412.pdf
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英国情報部?

2007年01月02日 | Weblog
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プログレッシブ英和中辞典第4版
BIS  British Information Service 英国情報部
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http://dic.livedoor.com/psearch?key=bis

「英国情報部」と言いますと、まるでイギリスの諜報機関のような印象を受けますが、"British Information Service(s)"は実際には「(在外英国大使館)広報サービス部門」とでも訳すべきもので、英国の諜報機関には"British Intelligence Services (BIS)"というのが別に存在します。

なお、この場合は"Service"と単数形で書くのは誤りで、"Services"と複数形で書くのが正しいようです。

"British Information Service(s)"についての解説または記事:
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British Information Services (BIS), located in New York City, is a British Government Office which provides information about the UK and its policies to the USA on behalf of the British Embassy in Washington.
http://www.babinc.org/news/pdf/BIS_Career.pdf

The British Information Service is the information service of the British embassy and provides comprehensive information on Britain through its website.
http://members.cox.net/bwcwichita/British%20Information.htm

Britain in the USA lists official sources available via the British Information Service to assist genealogical resesearchers in North America. Includes fact sheets and lots of useful addresses.
http://www.rampantscotland.com/genealogy.htm

Date: Thu, 20 Jan 2000 09:26:58 -0800 (PST)
From: Rosy Brewer <rosy_brewer@yahoo.com>
To: OMI Yukiko <omi@star.kyoto-su.ac.jp>, STUMPERS-L@cuis.edu
Subject: Re: ?Value of British 1 pound or 50 pounds in 1830's
I had this same question long ago and was able to get a really good chart from the British Information Service. Unfortunately I don't have their particulars here but you should be able to find them on the web.
Good luck - Rosy
http://72.14.203.104/search?q=cache:I2khDIbwLCYJ:listserv.dom.edu/cgi-bin/wa.exe%3FA2%3Dind0001%26L%3Dstumpers-l%26T%3D0%26P%3D95669+%22British+Information+Service%22+&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=15&ie=UTF-8&inlang=ja
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"VDT syndrome"は和製英語

2006年12月26日 | Weblog
"VDT syndrome"という表現は実は日本だけではなく韓国や台湾を含めて複数の非英語圏の国々で使用されていますので和製英語と呼ぶのは適切ではありませんが、他に適当な呼び方も思い付きませんので和製英語という見出しを付けさせて頂きました。

"VDT syndrome"という表現は世界的に見てもあまり広く使われているとは言えません:
 "VDT syndrome"  約 1,200 件

とくに日本のサイトと日本関連の記事、それに台湾と韓国のサイトとこの両国関連の記事を除外しますとわずか約466件しか残らず、しかもその大部分が日本、韓国、台湾以外の非英語圏のサイトでの用例であることがわかります:
 "VDT syndrome" -site:jp -japan -japanese -kr -korea -korean -tw -taiwan -taiwanese  約 466 件

さらにまた、米英などの英語圏のサイトに限定しますとヒット件数は激減します:
 "VDT syndrome" site:us  約 5 件
 "VDT syndrome" site:uk    0件
 "VDT syndrome" site:ca  約 15 件
 "VDT syndrome" site:au    0件

次に政府機関や大学のサイトに限定してみますとこんな具合です:
 "VDT syndrome" site:gov  1 件
 "VDT syndrome" site:edu  約 9 件

ちなみに"video (or visual) display terminal syndrome"では約308件ヒットしますが、やはり日本などの非英語圏のサイトがずらりと並びます。

それでは英語圏の国々では"VDT syndrome"の代わりにどのような表現を使用しているのかと言いますと、たとえば下記のような様々な言葉が使われています:

computer related injuries
computer related illness
computer related disease(s)
computer related disorder(s)
computer related eyestrain
computer related pain
computer related symptom(s)
computer related musculoskeletal disorder(s)
computer related vision problem(s)
computer related ailments
computer related maladies
computer related discomfort
computer related woes
computer related complaints
computer related symptoms

なお、"repetitive stress injury (RSI)"も"VDT syndrome"と同じような意味でよく使われますが、RSIには「テニス肘」なども含まれますので厳密には"VDT syndrome"と同義とは言えません:

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Definition: Repetitive Stress Injury is a syndrome that affects bones, muscles, tendons, nerves and other anatomical features. It develops when a minute injury occurs repeatedly from over or misappropriate use of a body part.
Causes can include poor posture, repetitive motion and trauma.
Also Known As: Repetitive Stress Disorders, Repetitive Strain Injuries or Disorders, Repetitive Motion Injuries or Disorders, Cumulative Trauma Disorders, Overuse Syndromes, Musculoskeletal Disorders
Examples: Tennis Elbow is a common repetitive stress injury.
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http://ergonomics.about.com/od/glossary/g/rsi.htm

"Judge Indictment Committee"は和製英語

2006年12月14日 | Weblog
「裁判官訴追委員会 (Judge Indictment Committee)」は著名な和英辞典にも記載されており、"Judge Indictment Committee"は日本政府公認の訳語として採用されているようですが、英語圏では使われない和製英語であると断定して差し支えないものと思われます:

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『プログレッシブ和英中辞典』:
裁判官訴追委員会|the Judge Indictment Committee
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?index=01632300&p=%B4%F7&dname=2na&dtype=1&stype=2&pagenum=11

日本国政府用語一覧
裁判官訴追委員会 Judge Indictment Committee
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%94%BF%E5%BA%9C%E7%94%A8%E8%AA%9E%E4%B8%80%E8%A6%A7
------------------------------

アメリカ等では「裁判官訴追委員会」と「その他の訴追委員会」を区別せず、ともに"impeachment committee"と称しています。
  impeachment committee  約 94,700 件

日本政府公認(?)の訳語である"judge(s) indictment committee"をGoogleで検索しますと下記のように約51件ヒットしますが、調べてみますとすべて日本のサイトまたは日本関連の記事で使われたものであることがわかります:
 "judge|judges indictment committee"  約 51 件

また、"indictment committee"という言葉そのものがあまり使われない表現であることもわかります:
  "indictment committee"  約 149 件

さらにまた、公職にある人物を「訴追する」とか「弾劾する」という意味では"indict"は使われずもっぱら"impeach"が用いられますので、意味が似ているというだけで互換性があると安易に考えるわけにはいきません。

ところで日本の「裁判官訴追委員会」は常設の国家機関ですが、アメリカなどでは常設ではなく、クリントンやニクソンの弾劾で知られるように必要に応じて臨時に設けられるものであり、裁判官の訴追の場合も同様です。

したがって日本の「裁判官訴追委員会」に対応する英語は存在しないことになりますが、しいて言えば"indictment committee"ではなく"impeachment committee"を使用し、これに"judge"や"justice"を付けて"judge impeachment committee"または"justice impeachment committee"とすれば本物の英語に近くなります。