かなり昔の諸星大二郎のマンガです。
この人のマンガは面白くて好きですが、多作の人で、読んでいないマンガの方が多いと思っています。
とくに有名な孫悟空の話は長すぎて手が出せません。
偶然単行本を読んでとても面白かった、ということが結構あります。
この人の作品もそうです。
一番印象に残ったのが「生命の木」です。
聖書にある、エデンの園の知恵の実を食べたアダムとイブの話に対して、生命の実を食べた人類の子孫の話です。
聖書に二つが記されていて、じゃあ生命の実を食べたら、どうなるんだろうと思ったことがあります。
知恵の実の子孫にはイエス・キリストという福音がもたらされた。
それでは生命の実の子孫には?
ということがカギになるミステリ、伝奇ものです。
どこが一番印象的かというと、絵でした。
この作者の絵はどろどろっとした、流動的な独特の絵ですが、その絵の気味悪さがクライマックスで悪夢のような効果を出します。
しばらく食欲をなくしたくらいです。
この作者は伝奇もの以外、サラリーマンを主人公にした不思議な話もあります。
どれも悪夢のような話で、ディックとちょっと似ているかもしれません。
ディックほど派手な色彩感覚はないのですが。
すべてが墨絵のようなモノクロの感覚です。
不思議な話が多くて、大好きな作家です。