ヴァイオリニスト河村典子のブログ
偶然の成り行きからスイスに居ついてン十年
日本との行き来の中で出会う人々、思う事々
音職人 ~スイス・日本往復日記~
追悼 ー「やるしかないわ!」
私の大切な友人、千歳の山崎量子さんが12月30日にコロナ罹患のため亡くなられた、と
年明けの三日にお嬢さんのまりさん(ヤマザキマリさん)からメールを頂きました。
悲しい、寂しい・・・、胸が痛くなるこの感情を言葉に出来るかわかりません。
が、次々に心によみがえってくる思い出の情景をやっぱり、掛け替えのない出逢いへの感謝を込めて書き留めておきたいと思います。
亡き父の友人、千歳の事業家 故M氏が20年ほど前に「千歳で音楽のことならこの人!」と引き合わせてくださったのが山崎量子さんとの最初の出会いでした。
初対面の私に、「知り合いにたくさんもらっちゃったから」と量子さんはずっしりと立派な夕張メロンを二個もくれました。確か東京へ戻る直前で楽器もスーツケースもあったけど、宅急便で送ったりせずに大きなメロン二個、東京に持ち帰ったと思います。
気取りのまったくない量子さんとのやりとりはスピード感満載で、すぐにコンサートや子供たちのレッスン、ワークショップなど、次々とアイデアが実行に移されていきました。
札幌、根室や十勝、小樽、など彼女自身が演奏や指導を通して培った北海道中に広がるご縁を惜しみなく提供してくれるだけでなく
年に数回の滞在は、いつもお家に泊めてくださって、裏表のない素顔と普段着の交流が深まったのでした。
ですので今、次々とよみがえってくる思い出の情景は、一緒に実現した音楽的な場面ばかりでなく
いつも朝ゆっくりめの私に、「のりこさーーん!」とちょっとハスキーで元気な呼び声に始まり
キッチンの窓から差し込む朝の光、窓際に陣取る猫のマコちゃん、窓の外には季節によってツタの緑や、もみじの紅色、積もった雪・・・。
朝刊の(たいてい政治欄の)記事に対する厳しい論評にひとしきり花が咲き
生い立ちや家族、時代、国境を越えた冒険物語、音楽を通しての私と重なる交友関係、
共有できる時代感覚もあれば、20歳年が離れていますので、私の知らない戦争中の実体験、
など、おしゃべりは尽きず・・・。
その間、愛犬ピエラと猫のマコちゃんへ語り掛け、賛辞「かわいいねー‼」連発、
それに応えるピエラの尻尾のパタパタ音・・・。
レッスン時の生徒さんへの大きな掛け声や、レッスン室へ自由に出入りするピエラ。
子供たちも先生の覇気と情熱に圧倒されつつ、それぞれの個性で、叱咤激励と鼓舞を受け止めている・・。
みんな子供らしくて可愛かった。
2017年に40周年を祝った音楽教室千歳ミュージケットの定期コンサートには、何度参加させて戴いたことだったか・・・。
また季節感を大事にする量子さん、
桃の節句には、由緒ありそうな何段ものお雛様が飾られ、食卓には普段使いではないお皿が並べられました。
思い出の光景は、いつも色、音、動き、香り、笑顔 に彩られていました。
声、おしゃべり、しぐさ、口癖、表情・・、何もかも懐かしい。
本音で語る飾り気のない言葉、本気で物事に取り組む姿勢、
見聞するすべての事柄への子供のような感動力、
そして人との関係を何よりも大切にする限りないやさしさ。
エピソードはそれこそ数えきれないくらいあるけれど
一番の印象は、力強い声と言葉で
「やるしかないわ!」。
初めてであった頃の量子さんの年頃になった私です。
2019年に、入所していた施設を訪ねて以降、コロナ禍にも阻まれて会うことはかなわなかった、
「のりこさ~~ん」の元気な声ももう聞けないけれど
私もまだまだ精進しようと思います。
掛け替えのない出逢いに心から感謝しています。ありがとうございました。
2014年夏。千歳ドッグサミット?
ピエラの朝の散歩に同行。ご近所のワンちゃんたちが集まりにぎやかに。
立っている白いシャツ姿の量子さんとピエラ。私もよそのワンちゃんの飼い主みたいな顔してますね。
下はヤマザキマリさんの1月3日の Twitter から
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