こんな夢を見た
新年を迎えたばかりの1月1日午前1時。
初詣に向かうために僕は家を出る。
気温は氷点下-10で、積もった雪を踏みしめると雪が鳴く。
カウントダウンを見ながら酒を飲んでいて、いい具合に酔った僕の耳には心地よく聞こえる。
地元の神社に新年早々集まると言う決まり事ができたのは、中学三年の時で、
それ以来、中学時代のクラスメイト達の、懐かしい顔を見るために出かけていく。
そんな行事も、5年、10年、20年と時を重ねると、集まりも悪くなるのは当たり前のことで、
20年目の去年なんかは、とうとう誰とも合うことはなかった。
だから今年は中学時代の制服を着て出かける事にした。
メタボリックなお腹周りは、中学時代のズボンは履けなかったので似たようなグレーのスラックスを履いた。
ワイシャツは何とでもなり、その上に着る紺のブレザーは前のボタンを留めなかった。
首も太くなったのか、当時の青いネクタイは長さが足りない気がしたけれど、何とか結べた。
神社に着くと、初詣客で賑わっていた。
知った顔はいないかと、うろうろ歩いていると僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
見ると中学時代に仲の良かった加藤君が手を振っていた。
僕と同じようにただのオッサンになっていて、そして中学の制服を着ていた。
横には同じように制服を着た委員長をしていた山田さんや、ムードメイカーだった杉田君、そして当時好きだった田中さんもいた。
「ひさしぶりだなぁ」
僕は近づいて行って話しかける。
みんな元気なようだった。
「じゃ、走るか」
突然、杉田君がそう言った。
「え?なんで走るの?」
僕は聞いた。
「長寿を願って願掛けみたいな。よくあるじゃん。お祭りとかで」
「……いや、俺、けっこう飲んでるからパス……」
「なんだ、仕方ないなぁ」
そう言うと、一同は移動を始めて、祭殿の中に入り、お払いをしてもらっていた。
僕は祭殿の中に入らず、遠くからその様子を眺めている。
お払いが終わると、走るためにスタート地点に移動すると、観衆の中、スタートの合図と共にどこかに向かって全速力で走り抜けていった。
僕はそれを見て、まだ明け切らない夜の道を一人で帰ることにした。
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