おさる日和

日々の出来事。
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対話篇

2005年08月05日 10時51分10秒 | この本読んだよ
映画化された「フライ,ダディ,フライ」の原作者、金城一紀さんの作品。
「GO」も以前に読んだことがあるので、これで金城さんの作品は全部
読んだのかな…?。たぶん。
この本には「恋愛小説」「永遠の円環」「花」という3つのストーリーが収録
されています。私は、最後の「花」という話がとても好きです。

仕事中に倒れ、いつ爆発するかわかならい爆弾(静脈瘤という病気なのですが)
を頭の中に抱えていると診断された青年と、別れた妻を忘れるために思い出を
全部捨て、仕事に打ち込んできた老弁護士の記憶をたどる旅の話です。

青年は、いつ爆発するかわからない、つまりいつ死ぬかわからない病気を
抱えて生きていくか。記憶障害になる危険もある手術を受けるかの選択を
せまられ悩んでいる時に、ある老弁護士と車で鹿児島まで行く仕事を頼まれ、
ます。

老弁護士は、25年をかけて冤罪事件の再審で被告の無罪を勝ち取った時、
鹿児島のホスピスから別れた妻が自分に遺品を残して亡くなったと連絡を
受けます。でも、彼は思い出を捨て、妻の顔さえ思え出せない状態。

そんなふたりが、老弁護士の記憶をたどりつつ鹿児島へ向かいます。

人にとっての「記憶」って何だろうと考えさせられます。
みんな「忘れたい記憶」ってあると思うんですが…。

青年は最後にこう考えます。
「いまの僕に、後悔することなど、何ひとつとしてない。
 ただ慈しむべき記憶だけがある。
 徒競走のスタートで転んだことも、バレンタインデーにふられたことも
 沖縄で溺れかけたことも、あれもこれも、すべてがいとおしい。
 それらを抱えて、来るべき冬を迎えよう」
ちょっと、読んでいて鳥肌がたちました。

ゾンビーズシリーズのようなアップテンポなストーリーでは
なかったけど、とてもいいお話でした

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1 コメント

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しみるねぇ (ゆっきぃ)
2005-08-06 13:20:19
「それらを抱えて、来るべき冬を迎えよう」

このくだりが、心にしみるねぇ

言葉ってすごい。
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