唐招提寺の南大門にたどり着いた私たちは、拝観料を支払って境内に入りました。
門を入るとすぐ左に世界遺産登録の記念碑があります。
それにしても奈良に来て世界遺産登録の記念碑をいくつ見たことか。京都と並び文化遺産だらけの県ですなー奈良は。
砂利道の参道の向こうには金堂がでーんと待ち構えています。
この金堂さん、つい最近平成の大改修を終えたばかりとは思えず、何事も無かったかのようにここに佇んでいます。
この中にあの国宝の三尊像が納められているのです。
早速金堂の中に入ってみました。
真ん中にご本尊の盧舎那仏坐像、でかいです。全ての人の苦しみを癒してくれるような優しい姿です。
右手に薬師如来立像、左手に十一面千手観音立像、いずれも優しさの中に厳かな雰囲気があります。
そう、薬師寺の三尊の優美さとは少し違います。
このお寺自体が薬師寺とは全く雰囲気が違い、色鮮やかさは全くありません。
全てが自然のままの姿なのでしょうか。
ただ、金堂の8本のエンタシスの柱がシルクロードを渡ってきた建築様式であることをうかがわせます。
何かお寺全体が鑑真和上の仏教に対する姿勢や、人間性を表現しているような気がします。
金堂内は薄暗くて大きな三尊像が目に付きますが、この他にも国宝の仏像があります。
持国天、増長天、広目天、多聞天の四天王立像、梵天、帝釈天立像です。
興福寺の国宝館並みのラインアップです。ただし、ここの国宝は上野では見られません。
そうこうしている内に午後一時を回ってしまい、あまり時間も無くなってしまいました。
仕方なく金堂を出て、講堂、礼堂の前を通り過ぎ、鑑真和上坐像が祀られているという御影堂を見てみたくて、そちらのほうへ急ぎました。
ところが、御影堂の前に来ると、門に柵がしてあって中に入ることができません。
全く知らずにいったのですが、この御影堂は六月六日の開山忌舎利会の前後三日間しか公開されないそうです。
仕方なく門から中の雰囲気だけを感じて立ち去ることにしました。
地蔵堂、中興堂の前を通り、西堂跡の前を通って再び金堂の脇に出てきました。
金堂の脇に右に入る道があったので、そちらのほうへ行くと、蓮がたくさん生えている長方形の池の向こう側に
塀の中が広場になっているような場所を見つけました。
中を見ると、石の舞台のような構造物がセンターにあるピラミッドが低くなったようなものがあるだけでした。
そしてすぐに分かりました。ここが鑑真さんが僧侶に戒律を説いた戒壇なんだ。
遥か天平時代の風景がそのままここにあるのです。
さてそろそろここを出ないと夕方になってしまう。と思いながら金堂を後にして、唐招提寺を出ました。
つづく