かねてから一度見てみたかった薬師寺の五重塔(ではなく、三重塔でした。)を、やっと拝めるときがやって来ました。
折りしも平城遷都1300年祭で大賑わいの最中にです。
毎年JR東海ツアーズの「1day***」を利用して、京都や奈良を忙しく日帰りで歩き回りますが、今年は奈良をじっくり見たくて、
大奮発して1泊2日で回ることにしました。
最近、京都よりも奈良を多く訪れるようになったのは年のせいもありますが、奈良の空気がゆったりと落ち着いているからです。
さて、近鉄の西ノ京で下車。改札を出て階段を上り外に出ると、もうそこは薬師寺の入り口になります。
案内板にしたがってくねくねと歩道を歩いていったのですが、何かガイドブックに載っていた雰囲気と違う気がしてなりません。
まあ、その内にあの朱色と白の長い塀とその向こうに三重塔の見える風景に出会うことであろう。
と思いつつ足を進めていくと、何やら目の前に小さな門が見えました。
この門の前には「薬師寺 拝観時間・・・」と書かれている看板があり、やはりここで間違いないなと思いながら門の中に入りました。
門を過ぎるとすぐ左手に拝観料の徴収所があり、ここで拝観料を支払いながら窓口の女性に聞いてみました。
「あのー、 休ヶ岡八幡宮へはどう行ったらいいのでしょうか?」
実は来る前にガイドブックで、薬師寺に参拝する前に休ヶ岡八幡宮にお参りしましょう。というくだりを見たので、とっさにそう聞いてしまったのです。
窓口の人は「ここを左にずーと行くと、門があるのでそこを出たらすぐですよ」
言われたとおり左に向かうと、すぐに突き当たってしまい、左へ入る道があって入り口のテントの中のおじさんが入場券を切って「はい。こちらです。」というのです。
何か腑に落ちない気分のままこのわき道に入っていくと、途中で連れがいきなり、「券がなくなった。」と言い出しました。
"券"とは、拝観料を払ったときに何か特別公開のものがあって、500円で見られるというので迷った挙句に券を購入したのです。
仕方なく紫色の実のなる草が茂る道端を探し回りましたが何処にも落ちていません。
「もう時間がもったいないからいいよ。」と、私。
「待つてるからおとーさんだけ見てきてよ。」と、連れ。
「いいよ、いいよ」と、多少いらつきながら先へ進むことにしました。
少し進むと左側に建物があり、特別公開らしき催しの看板が出ています。
「これか」と思いながらよく見ると、全く人の気配がしません。
内容も分からず券を買うのも馬鹿ですが、何を展示しているのだろう? と逆に興味がわきました。
と、この道がここで右方向に折れていてどっちへ言ったらいいのか分からなくなり、くねくねと曲がっているうちに先程テントのあった場所の裏手に出てしまいました。
たぶんここを左に行けば"門"にたどり着くであろう、と根拠のない憶測をめぐらせながら足を進めると、何か鬱蒼と木の生い茂る場所に入ってしまいました。
「不覚にも迷ってしまったか。」と思いつつ左手を見ると、木々の隙間から白と朱色の建物が見え隠れしています。
迷わず木を分け入ってそちらの方向に進むと、少し広い場所に出て、建物の前で3人のバスガイドさんのような方々が休憩しているのが見えました。
建物に近づくと、中に団体さんがいて、お坊さんから法話を聞いている最中でした。
ここで、普通の人ならチャンスとばかりにこの3人の人に"門"への行きかたを聞くのでしょうが、
何を思ったか、そのままふらふらとこの場を離れてしまいました。
少し歩いて行くとかなり広い場所に出て、お寺らしき建物が増えてきました。
まだ朝の10時頃なのでいまどきの朝日の位置が低く、建物が何なのか逆光になってよく分かりませんでしたが、近づくにつれ、三重塔らしき建物が見えてくるようになりました。
「あれー これ薬師寺の境内じゃないか?」
その通りです。我々は裏から薬師寺の白鳳伽藍に入ってしまったのです。
本来は休ヶ岡八幡宮から南門を通り、中門を抜けてこの伽藍に入る筈だったのです。
そうすればガイドブックに載っている風景に出会えたはずなのですが、逆から入ってしまったので何処を歩いているのかさっぱり分かりませんでした。
それにしてもこの広さ、来る前にはここまで広いとは思わず、10分位歩けば休ヶ岡八幡宮へ行けるだろうと踏んでいましたが、ここまで40分位かかってしまい、もう休ヶ岡八幡宮へ行ってまた戻ってくる時間がなくなりました。
そこで予定を変更して、このまま伽藍の中を見学することにしました。
つづく