ひよこは逆流性食道炎だ。

ツイッターの時間だ。
今日はヒヨコが泣いて帰って来た。
会社で、上司に仕事を頼んだら、イチランを奢れといわれたのだそうだ。イチランというのは、ラーメン店だ。美味しいらしい。
部下に奢れと言うなんて上司の風上にもおけぬ、けしからん！と私は言った。

するとヒヨコはピヨピヨピヨピヨと喋り始めたので、聞いてみると、上司は冗談を言っただけなのであって、上司に腹を立てているのではないらしい。イチランが食べたくて泣いているのだ。

ヒヨコは三年前の夏、海でピヨピヨ泳いでいる内に逆流性食道炎になった。それから、ずっと大好きなイチランが食べられないのだ。

一度だけ我慢できずに食べに行った事があるが、お腹が痛いと言って帰ってきた。当たり前だ。

逆流性食道炎は脂肪と糖を同時に消化出来ないのだ。

おいしいものは脂肪と糖で出来ている。
残念だ。

こんな事ならイチランなんかと出会わなければ良かった。イチランに出逢った5年前までラーメンの美味しさなんて知らなかったのに！と嘆いている。ヒヨコは時々、こうして食べ物の事で悲しむ。

だが、私には正直よくわからん。
風船のシャチだからな！なにも食べないのだ。
ヒヨコは、ラーメンやパスタや寿司の代わりに肉団子や焼き鳥を食べて体重を維持しているのだから問題ない。

だが知らなかった方が良かったなんて事は無い。知らないよりは知っている方がいい。思い出せるからだ。
記憶は宝だ。

そう言ってやったら、ますます泣いている。おいしい味を思い出したのだろう。
ふん。

イチランが食べられないのなら、イップウドウを食べればいいのだ。
と言ってやった。冗談だ。

ヒヨコはひとしきりさえずったあと、泣きながら出て行った。
ばかめ。
ざまあみろだ。
せいせいしたぞ。

ウンベラータが新しい葉っぱを出している。
素晴らしい。


この、細い枝は、葉っぱ工場なのだ。毎日、細かな細胞を生産し、組み合わせ、新しい葉っぱを作っている。見事だ。

黄色くなって落ちる葉もある。計画的だ。


ヒヨコも古い胃は排泄して、新しい胃を生やせばいいのだ。プログラムの修正が必要だ。

ヒヨコが帰ってきた。
機嫌が治ったようだ。どうやら、コンビニへ行く途中に、FIATが居たらしい。ヒヨコはFIATがお気に入りだ。見ると幸運が訪れると言う。根拠は説明できぬようだ。

コンビニでは、担々春雨を買ったようだ。逆流性食道炎患者のために開発されたラーメンだ。
良かったな。

そんな訳で我々はこれからテレビで、ドリフトを観るのだ。
ヒヨコが観ようと言ったのだ。
私はドリフトが、好きだ。
ヒヨコは怖がりなので、凍った湖の上をドリフトしている映像が好きだ。ずっと笑っている。