上のタイトルは、ある本の英語の書名なのですが、日本語の正式書名は、「書く英語・実用編」 です。この本は、1963年に初版が英友社から出版され、1978年に第1次の改訂版が、2005年には、第2次改訂版が出版されました。
「How to Write English Vol. 1」 は、「書く英語・基礎編」 として、1962年に初版、1978年に第1次改訂版、2001年に第2次改訂版が出版されました。この 「書く英語・基礎編」 は、中学3年生修了程度の英語の知識があれば、正しい英文が一通り書けるようになるまで指導する上、設問が日常語なので、英会話書としても使えるので大変評判がよく、ご存知の方もおられるかもしれません。
さて今日は、「How to Write English Vol. 2」 こと 「書く英語・実用編」 に焦点を当てます。
「書く英語・基礎編」 は、第2次改訂に2年半掛かりましたが、「書く英語・実用編」 は、第2次改訂に何と4年近く掛かりました。「基礎編」 も 「実用編」 も私が改訂ならびに編集責任者でしたが、この 「実用編」 は、ビジネスマンとして一年の半分を海外で活躍しておられた方から全面的協力を得ていながら、これだけの月日が掛かりました。
「実用編」 は、原著者である松本亨先生に言わせると、英語を正しく書くために必要な基本的な規則と、英語で言う style を中心にしています。style とは、文章を書くときに守るべき決まりみたいなものです。日本語で言えば、用字用語の基準と言えるでしょう。
私のアメリカ生活が長くなるにつれ、仕事でも私生活でも、日常的に英文を書くことが当然のこととなりました。職業としてのアート・ディレクターの仕事は、広告コピーを視覚的に訴えるグラフィック処理が主体ですから、コピーライターのように常に文章を書くことはありませんでした。しかし私的には、手紙や社交文を書く必要に迫られるようになりました。私は、大学院に留学はしても、油絵が専攻で、通常のアメリカの学校教育を経験していませんから、長文の英文を書くのには、かなり苦労しました。このことから、文章を上手に正しく書くための参考書を、アメリカでいろいろ買い求めました。
「書く英語・実用編」(第2次改訂版)は、松本先生が約40年前に書かれた原著を土台に、今の時代にふさわしい内容に改訂作業を進めることにしましたが、私がかつて英文を書くのに苦労した経験も加味しました。
それは何かと言うと、先ほど述べた style です。英文の style は、大学生や院生がレポートや論文を書くとき、さらには、編集者やコピーライターや作家が文章を書いたり校正したりするときに必要な知識なのです。
「そんなの私には関係な~い」 などと言わないでください。英語が上達し、私的にも仕事上でも文章を書く機会が増えるにつれ、まず、ほとんどの人が多かれ少なかれ style を意識せざるを得なくなります。例えば、大文字で書く場合は?句読点の使い方は?などなど、専門家でも苦労します。
アメリカでは、The Chicago Manual of Style (University of Chicago Press)、The Gregg Reference Manual (McGraw-Hill/Irwin) が、最も有名な参考書でしょう。しかし、前者は、基本的には専門家向けと言えます。
そこで、私は、日本の一般の英語学習者が必要としている範囲で、style に関しては、松本先生の原著以上に、できるだけ詳細に解説を施すことにしました。そうすることによって、大いに本書を活用していただけるものと期待したからです。
さて、第2次改訂版を出版して以来、すでに2年の歳月がたちましたが、私にとって大変残念なことは、読者からの反応が一つもないことです。「基礎編」 は、うれしいほどたくさんの読者からご感想やご意見をいただき、大いに参考になりましたが、「実用編」 は、皆無なのです。
このブロッグを読んでいただいている方で、本書をお持ちの方は、良くも悪くも、ぜひご感想、ご意見をお聞かせください。もしお持ちでない方は、書店やAmazon の中身検索をご覧になって、ご意見をお寄せください。ぜひ、お願いします。
「書く英語・実用編」カバー装丁写真