動物の「雄と雌」="male and female" は、人間に当てはめれば 「男と女」、英語では "man and woman"でしょう。動物では he や she を使うときもあります。例えば、赤ちゃんが生まれたときなど、雄か雌のどちらかを聞かれて答えるのに、 "It's a he."(雄だよ) とか"It's a she."(雌だよ) と言って答えます。
さて、なぜこのような表題を選んだかというと、現在進行中のアメリカの大統領候補指名予備選挙を意識してです。民主党では、どうも、Senator Obama氏が民主党候補にほぼ決まったようですが、Senator Clinton氏にとっては全く予期しなかった結果でしょう。彼女の敗因は、油断があったと分析するマスメディアもあります。
私にとっても意外で残念です。以前にも述べたように、私個人は、Clinton氏を支持していたからです。理由は、アメリカ社会にとって、女性の大統領を持つことは良い結果をもたらすと思うからです。先日、あるニュースによると、世界で女性が政治にかかわっている国の順位では、アメリカは以外にも30何位で、日本は90何位ということを知りました。上位を占めるのは圧倒的に Scandinavia(北欧)諸国です。
以上の結果からも分かるように、アメリカは、私の経験から言っても、以外に男性上位の国です。男つまり雄は、本能から来るのでしょう、闘争的です。世界中で戦争を取り仕切っているアメリカは、ある意味で Macho Society(男社会) です。映画のWestern movies(西部劇)をご存じでしょうか。近年下火になりましたが、かつて、Hollywood の映画産業は、cowboy hat をかぶり腰に拳銃を吊った cowboy を主役にした映画をたくさん生みだしてきました。私が中・高生のころ、本当にわくわくして映画館に通いました。
アメリカに住んでいたころは、テレビ映画の日本でもおなじみの "Rawhide" をよく見ていました。この映画によって、Clint Eastwoodさんがスターになりました。これらの映画を見ても分かるように、アメリカ人は男性優位の社会を好みます。また、アメリカは「銃社会」と一般に言われますが、その通りで、多くの家庭で銃を所持しています。短銃やライフル銃など複数の銃を所有している家庭もあります。私も、ニューヨーク郊外在住のそれぞれ異なった友人宅で、短銃とライフル銃を撃たせてもらったことがありますが、何と屋敷の中でです。それだけ屋敷の周りが広いわけですが、私は長年アメリカに住んでいたにもかかわらず、自分で銃を所有する気にはなれませんでした。
アメリカ人は、しばしば 「自分の身は自分で守るのは当然の権利」 と言っていますが、事実は、アメリカの強大な武器産業を支援しているのではないか、と勘ぐりたくなります。アメリカが仕掛ける戦争の中身は、所有する武器や弾薬の在庫減らしや新兵器の試用である、と言う人もいます。
いずれにしても、人間の雄は、闘争本能からか、性懲りもなく人間同士戦い続けています。また、『国家の品格』に戻って恐縮ですが、藤原氏は、「『戦争をなくす手段』になる」という項で、「美しい情緒は『戦争をなくす手段』になるということです」 とおっしゃっていますが、「ずいぶんナイーブなことを言っておられるなぁ…」 というのが私の偽らない感想です。藤原氏の言う 「美しい情緒」 は、前回、私の言った、「情操教育」に通じると思いますが、雄の闘争本能を抑制することのたやすくないことは歴史が証明しています。
人間は、the most vicious animal on earth (地球上最も獰猛な生物)であると言われています。人間の雄は、武器を所有して以来、間違いなく最も危険な生き物になったと言えるでしょう。かつては、大戦があることで雄は多数淘汰されてきましたが、大量破壊兵器の出現によって大規模な戦争が不可能になり、雄は減らなくなりました。雌も減らなければ、生殖本能から人口が増えます。
今、地球環境の維持から、CO2の削減が叫ばれていますが、本当は、CO2の削減より人間の削減なのでしょうが、そんな事を言う政治家や実業家はいません。政治家は選挙民の支持を失い落選し、実業家は金もうけができなくなるからです。地球上から人類を絶滅まではいかないまでも大幅に減らすことで、地球を元に返せば、現在地球が抱えている数々の問題は解決するのですけれどね…。では、どうやって人間を減らすかって?ここで言うのは、さし控えましょう。
Senator Hillary Clinton氏が大統領選挙で敗退することによって、アメリカは、女性大統領が就任する千載一遇の機会を失することになるでしょう。かつて、アメリカでアメリカ人と同様の生活を送り、アメリカ社会の深層を知り、経験し、アメリカを愛した(今でも)私にとって、アメリカがいつまでも「闘争的な男性(雄)優位の社会」を維持することは、歓迎できません。しかも、Clinton氏は、先日、焦りからか失言をするなど、ますます女性大統領の誕生が遠くなりつつあるようです。
ついでですが、現大統領の Bush氏は、アメリカの Munition Industries(軍需産業)と Oil Industries(石油産業)の後押しで大統領になったようなものです。典型的な Male Dominated Industries(男性が支配する産業)です。 ニューヨークで9/11事件が勃発したことから、彼は大統領を2期務めることになり、イラク戦争を仕掛ける格好の口実を見つけました。その結果、戦争の泥沼から抜け出せなくなったのはご承知の通りです。