アメリカでは優れた TV Movies(連続テレビドラマ)が、これまで多数世界に送り出されています。これらの中には、日本で大ヒットしたものがあることはご存じでしょう。
もちろん内容にもよりますが、吹き替えされていない生の英語は、英語に興味のある皆さんにとって格好の英語教材になるので、私なりに紹介してみようというのが、今回のブロッグの趣旨です。
また、ほとんどのTV Moviesは、videoやDVDに収録され市販されているので、購入すれば繰り返し視聴することができ、以前述べた、日本に蔓延している「幼児英語」から脱却する道が開けます。
最近では、前回紹介したSex and the City があり、NHKの地上波では、Desperate Housewives (悩める人妻たち)、Full House(フルハウス)などがありますが、後者は、ほのぼのとしたcomedyで、NHK教育テレビの定番のようになっています。
過去の作品で、日本で人気のあったドラマは、数ある中で古いものではI Love Lucy(アイ・ラブ・ルーシー)、上述のFull House、Bewitched(奥さまは魔女)、Mission: Impossible(スパイ大作戦)などでしょうか。
アメリカではあまり話題になりませんでしたが、日本で大ヒットしたものに、Ben Casey (ベン・ケーシー)があるでしょう。当時、私はアメリカにいたので、日本で放映されていることも大変な視聴率を稼いでいたことも知りませんでした。帰国後、再放送?を見て正義感あふれる医師の姿に日本人が感動したのだろうと納得、納得。
Medical drama(医療関係のドラマ)では、近年日本で放映されたテレビドラマで、Chicago Hope というのがありました。架空の Chicago Hope Hospital を中心としたドラマですが、私が推薦する理由は、Cast(出演者)全員のspeech(せりふ)がしっかりしているからです。かつて、俳優志望者必修のspeechの訓練を受けたのでしょう、発音がきれいで、英語教材としてまた医療用語を覚えるのに恰好なドラマです。
また、日本で見る映画の大半はNew YorkやLA(Los Angeles)を撮影現場にしたものですが、このドラマは、日本人になじみの薄いアメリカ中西部の大都市Chicagoが背景になっていることも推奨する理由です。ただ残念ながら、videoしか市販されていないようです。
日本人は、やたらに新しいものを追い求める傾向があるので、私がこれから紹介するTV Moviesは、「古い」ということで、皆さんに歓迎されないでしょうが数点選びました。
まず、前述のI Love LucyI(1951~1957)です。腹を抱えて笑って肩をほぐしながら英語に親しむのに最適でしょう。ユーモアの精神を理解することも英語には必要ですから。主演の Lucille Ball を、一度、他の映画で、彼女がdressed up with a serious look(まじめな表情で正装した)を見たことがあります。ファッションモデルと見まがうほど魅力的でした。実の夫だった Ricardo Arnaz のスペイン語なまりの英語に慣れるのもいい経験です。
次は、Family Ties(ファミリータイズ)(1982~1989) で、Michael Fox主演の家族愛の物語です。Family Tiesは「家族の絆」という意味ですが、なぜ日本語の題名にしなかったのでしょうか?Michael Foxは、映画 Back to the Future でもよく知られていますが、後にParkinson's Disease(パーキンソン病)を発症したことから、自ら、パーキンソン病の研究と助成をする団体を設立しました。
Family Tiesは、Michael Foxと両親、妹二人(後に弟が生まれる)の五人家族を中心に生じる話題を描いたcomedyです。アメリカの中流家庭の生活が描かれているので、話される英語はごく平均的で、学ぶ教材として適材です。
これまで、『英語と日本人 なぜ英語ができない』に書いた、学ぶ外国語の生活環境や文化を、日本で体験することは容易でないだけに、それを補うには、Family Tiesのようなドラマで、アメリカ生活の一端を肌で感じ取ることも大切です。ちまたにあふれる「幼児英語」の教材にお金を使うよりずっと効果があるはずです。
Michael Foxと共演する同世代(teen-ager)の男子も女子も、その芸達者には感心するばかりです。日本の若手俳優も、最近は演技力がついてきたので安心して見れるようになりましたが、かの国において、若くしかも優秀な俳優の層の厚さには驚かずにいられません。ドラマを見ながら、登場人物になったつもりで英語を話すときの表現力を養ってみたらどうでしょう。
余談ですが、Michaelは後に、彼のgirlfriend役で共演したことがある女性と結婚し、四人の子供をもうけています。
最後は、Murphy Brown(マーフィー・ブラウン)(1988~1998)です。Candice Bergen主演で、Washington D.C.にある架空のテレビ局 FYC が舞台になっています。Candice Bergenが演じる人気キャスター Murphy Brownと同僚四人が繰り広げるcomedyで、内容は秀逸です。
それは、Emmy Award(エミー賞)のcomedy部門で、Candice BergenはOutstanding Lead Actress(主演女優)を5回受賞し、番組も、Outstanding Comedy Seriesの作品賞を2回受賞していることからも分かるでしょう。
いずれにしても、このドラマは、アメリカの首都 Washington D.C.が舞台になっていることが救いです。『英語と日本人 なぜ英語ができない』でも、先にも述べたように、多くの日本人は、東京一極集中主義に毒されて、New Yorkがアメリカの中心と勘違いしているようで、少しは頭の切り替えに役立つのでは…と思います。
物語は、テレビ局のみが舞台になっているのではなく、会話も多種多様で、どこまで英語が理解できるか挑戦してみてください。ただ、売れ行きが不振だったということで、DVDになっているのは最初のシーズンだけのようで残念です。
しばらく多忙だったために、間が空きすぎてしまいました。次回は、「がんもどき」ならぬ「英語もどき」についてです