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雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

その99続書庫の片隅から

2020-06-14 12:17:19 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 世間一般の、西村京太郎に対するイメージは、江戸川乱歩賞受賞作家としての華々しいデビューなのだろうか。だとしたら、講談社版から列挙すべきだったかな。まあ、いいや。
 続きましては、その講談社篇をどうぞ。

 <西村京太郎>文庫・講談社篇

 「天使の傷痕」「悪への招待」「名探偵に乾杯」「七人の証人」「太陽と砂」「南紀殺人ルート」「青函特急殺人ルート」「十津川警部C11を追う」「尾道・倉敷殺人ルート」「諏訪・安曇野殺人ルート」「十津川警部千曲川に犯人を追う」「山陰路殺人事件」「十津川警部愛と死の伝説(上)」「十津川警部 帰郷・会津若松」「新版 名探偵なんか怖くない」「十津川警部 箱根バイパスの罠」「ある朝 海に」「おれたちはブルースしか歌わない」

 上記のうち「名探偵に乾杯」および「新版 名探偵なんか怖くない」の2冊にだけは、触れておこう。西村京太郎の<名探偵>シリーズのもう二冊「名探偵が多すぎる」も「名探偵も楽じゃない」も捜したのだけれども見つからなかったのだけれども、読んではいるから、お許しあれ。
 結論から先に云うと、わたくしは、この作品群には否定てきな立場だ。
 先人の創りだした、誰もが知る名探偵たちを、オブラートに包まず、よくもまあ、登場させたな、と作者(西村京太郎)と出版社の判断に今でも疑問を持つ。
 西村京太郎は、十津川省三や左文字進を、後人から弄ばれて、果たして嬉しいと感じるのだろうか。 
 
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その98書庫の片隅から

2020-06-14 11:11:10 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 「ステイホーム」と云うのだってさ。
 やらなければならないことは、たくさんあるのだけれど、暑いしそれになにより面倒臭いので、ひと月まえぐらいから、書庫をかきまわしている。
 配偶者からの言葉では「本を右から左へ動かしているだけ」。
 おっしゃるとおり。的を射ている。
 でも、動かすだけでは、面白くないので、眼についた本を作者ごとに並べてみた。
 まずは<西村京太郎>から行こうか。

 <西村京太郎>文庫・徳間書店篇

 「日本ダービー殺人事件」「聖夜に死を」「華麗なる誘拐」「盗まれた都市」「十和田南へ殺意の旅」「松島・蔵王殺人事件」「特急「しなの21号」殺人事件」「神話列車殺人事件」×2冊「夜行列車の女」「狙われた男」「黄金番組殺人事件<新版>」「けものたちの祝宴<新装版>」「華やかな殺意」「西伊豆 美しき殺意」「十津川警部 影を追う」「明日香・幻想の殺人」「志賀高原殺人事件<新装版>」「十津川警部の回想」「殺人者はオーロラを見た<新装版>」「特急ワイドビューひだ殺人事件」

 どれが既読で、未読か、ほとんど覚えていないなあ。
 たぶん、2000年以前出版分は、読んでいるはずだと思うが、胸を張って云うが、自信は、まったくない。
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その97続続『国産長篇SFマイフェイヴァリット50』

2019-01-25 20:55:02 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 さて、それでは順番に見ていこう。

 1.できれば挙げたくなかった作品。つまらないという意味ではなく、いまさらなにを、という意味で。わたくしの読書量が多ければ外せたのだが(以下これの繰り返しが多数あり)。
 2.これは頷いてもらえるだろう。「白き日旅立てば不死」や「神聖代」などでもよいのだが、素直な気持ちで選択した。
 3.映画版を観る前に、原作の方からどうぞ。
 4.困ったちゃん第一弾。まあ好きだからというこで。
 5.先にも記したようにわたくしのフェイヴァリット第三位。「SF西遊記」もよいぞ。ジュヴナイルなら「ポンコツタイムマシン騒動記」等の<ポンコツ>シリーズが好きだ。
 6.まあ日本SF大賞も受賞したことだし・・・。
 7.今回の場合は、ズルをして平成に発表した作品も含めてみた。(困ったちゃん第二弾)
 8.だいたい、わたくしは「西遊記」自体のファンらしい。
 9.著者の最高傑作。これを乗り越えてこその国産サイファイだ!
 10.戦前を代表する国産探偵小説の最高峰。(困ったちゃん第三弾)

 続きは、次回。
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その96続『国産長篇SFマイフェイヴァリット50』

2016-05-23 18:26:50 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 1.安部公房「第四間氷期」(新潮文庫)
 2.荒巻義雄「空白の十字架」(ノン・ポシェット)
 3.荒俣宏「帝都物語」(角川文庫)
 4.伊井直行「草のかんむり」(講談社文庫)
 5.石川英輔「大江戸神仙伝」(講談社文庫)
 6.井上ひさし「吉里吉里人」(新潮文庫)
 7.井上夢人「ダレカガナカニイル・・・」(講談社文庫)
 8.宇能鴻一郎「秘本西遊記」(徳間文庫)
 9.梅原克文「ソリトンの悪魔」(双葉文庫)
 10.海野十三「蠅男」(大衆文学館)
11.岡嶋二人「クラインの壺」(講談社文庫)
 12.鏡明「不死を狩る者」(角川文庫)
 13.笠井潔「ヴァンパイヤー戦争」(講談社文庫)
 14.川田武「戦慄の神像」(角川文庫)
 15.川又千秋「幻詩狩り」(創元SF文庫)
 16.かんべむさし「サイコロ特攻隊」(ハヤカワ文庫JA)
 17.今日泊亜蘭「光の塔」(ハヤカワ文庫JA)
 18.クライン・ユーベルシュタイン「緑の石」(ダイヤモンド社)
 19.五代格「クロノスの骨」(ハヤカワ文庫JA)
 20.小松左京「日本アパッチ族」(ハルキ文庫)
 21.佐野洋「人面の猿」(集英社文庫)
 22.式貴士「虹のジプシー」(論創社)
 23.多岐川恭「イブの時代」(ハヤカワ文庫JA)
 24.高橋克彦「総門谷」(講談社文庫)
 25.高畑京一郎「タイム・リープ あしたはきのう」(電撃文庫)
 26.竹本建治「腐食の惑星」(新潮文庫)
 27.田中光二「わが赴くは蒼き大地」(ハルキ文庫)
 28.田中芳樹「銀河英雄伝説」(創元SF文庫)
 29.筒井康隆「エディプスの恋人」(新潮文庫)
 30.都筑道夫「翔び去りしものの伝説」(光文社文庫)
 31.中島らも「ガダラの豚」(集英社文庫)
 32.野田宏昌「宇宙からのメッセージ」(角川文庫)
 33.半村良「石の血脈」(角川文庫)
 34.平井和正「狼の紋章」(角川文庫)
 35.広瀬正「マイナス・ゼロ」(集英社文庫)
 36.福島正実・眉村卓「飢餓列島」(角川文庫)
 37.福田紀一「ホヤわが心の朝」(新潮社)
 38.藤本泉「東京ゲリラ戦線」(ハヤカワ文庫JA)
 39.星新一「夢魔の標的」(新潮文庫)
 40.堀晃「バビロニア・ウェーブ」(創元SF文庫)
 41.松本清張「神と野獣の日」(角川文庫)
 42.眉村卓「EXPO’87」(角川文庫)
 43.水見稜「夢魔のふる夜」(ハヤカワ文庫JA)
 44.光瀬龍「たそがれに還る」(角川文庫)
 45.宮崎惇「《虹》作戦を追え」(徳間ノベルズ)
 46.矢野徹「折紙宇宙船の伝説」(角川文庫)
 47.山田正紀「宝石泥棒」(ハルキ文庫)
 48.山野浩一「花と機械とゲシタルト」(NW-SF社)
 49.夢枕獏「幻獣変化」(角川文庫)
 50.横田順彌「火星人類の逆襲」(新潮文庫)
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その95『国産長篇SFマイフェイヴァリット50』

2016-05-22 15:32:34 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 はじめにおことわりしておくと、わたくしが熱心にSFを読んでいたのは、十代後半ぐらいまでだ。
 そもそも、わたくしはSFマニアだったわけではく、わたくしが十代半ばのころだったか、好みだった星新一の本を、年下の家族に紹介したところ、家族はそれ以来、SFにどっぷりはまってしまったようだ。特に国産SFでは、山田正紀が贔屓だったようで、国産長篇SFベストには『チョウたちの時間』を推し、山田正紀の全作品を収集していたみたいだ。
 わたくしはというと、その家族の購入したSF書籍を家族の書棚から、ちゃっかりと拝借して読んでいたのだ。だから、わたくしの読んだSFの大半が、自らが書店で購入したり、図書館から借りてきたものではなく、家族の所有していたものだったというからくり。
 これでは、SFファンとは言い難いだろう。
 それに、わたくし好みのSFを数点挙げるだけでも、それは判ることと思う。
 例えば、わたくしの国産長篇SFフェイヴァリット3を並べると、

 1.広瀬正「マイナス・ゼロ」
 2.山田正紀「宝石泥棒」
 3.石川英輔「大江戸神仙伝」

 ほらね。
 山田正紀は、別としても、広瀬正や石川英輔は、何故だか不思議だが、SFファンにはまったくもって人気は無いようだ。当時のSFファンは、十年一日のごとく、小松左京や筒井康隆の名前を口にしていたように思う。
 また、わたくしをSFから遠ざけたのは<サイバーパンク>の隆盛もある。
 <新しい波>は、バラードも山野浩一もわたくしは好きだったが、エンタテインメントから離れていくようなスタイルだけのSFには興味を惹かれなくなったのかもしれない。
 だから、自分でも急に何を思ったのか、国産長篇SFを一人1作で、100作ほど選んでやろうではないかと意気込んでみたものの、だめだ。読んでいる絶対量が少なすぎる。
 これじゃあ、20作も選べないぞ。だったら、30作ぐらいに減らそうか。あるいは、短篇集も加えちゃおうか。と挫けそうになったが、それなら、選ばなければよい話で、気を取り直して、選んでみることとしたのだ。
 という前置きで、以下50作品の登場。
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その94「本当の『冒険の森へ』」

2015-05-14 21:55:20 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 朝刊を開くと、書籍広告の欄に「集英社創業90周年企画」として『冒険の森へ』と題して、集英社から「ジャンルを超え・・・云云」という謳い文句の選集らしき代物が発売されるとのこと。
 興味津津で、収録作品を確認したのだが、わたくしは何かしら違和感を覚えたのだ。
 
 編集委員(逢坂剛、大沢在昌、北方謙三、夢枕獏)の顔ぶれをみても、どうやら冒険小説あるいはハードボイルド探偵小説を推すようなメンバーだけれども、例えば、江戸川乱歩『白髪鬼』などは場違いの感は否めない。
 まあ、例外はあるとしてもだ。では、次の作家の作品はどうして選ばれていないのだ。
 
 壇一雄
 高橋泰邦
 谷恒生
 原
 平井和正
 三好徹
 森詠

 版権の関係か、あるいは編集委員の好き嫌いか。
 また、短篇でしか挙げられていない作家では、

 都筑道夫『なめくじに聞いてみろ』
 結城昌治『暗い落日』
 中薗英助『炎の中の鉛』

 わたくしの好みを押し殺してもすらすらと書名を列挙することができるぞ。
 
 何だか、シャンとしない選集だ。

 

 
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その93「からくりを愛した男」の作品を愛した老人

2015-05-07 18:23:54 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 インターネット書店で『文藝別冊 泡坂妻夫』河出書房新社(KAWADE夢ムック)を取り寄せる。
 ページを捲り、昔を懐かしみながら、愉しいひとときを過ごす。
 泡坂妻夫の探偵小説こそが、わたくしにとっての探偵小説であった。
 
 回想は、それぐらいにしておいて。
 <わたしの好きな泡坂作品Best3>というアンケート企画が載っていたので、恥ずかしくもなく、わたくしも便乗する。

 1.「G線上の鼬」(『亜愛一郎の狼狽』所収/創元推理文庫)
 2.「王たちの恵み」(『ヨギ ガンジーの妖術』所収/新潮文庫)
 3.「天井のとらんぷ」(『奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻』所収/講談社文庫』)
 
 「G線上の鼬」は、これだけで探偵小説の世界に名を残せるだけの傑作。なにもいうことはあるまい。
 「王たちの恵み」は、ここだけの話、わたくしは亜愛一郎くんよりも、いかがわしいヨギ ガンジー氏が好みなのだ。ひとをしあわせにすることが、ほんとうに可能な、このメイ探偵は、どこか作者を投影していないか。また、たいていのひとはどうってことはないかもしれないが、わたくしは本作の“眼鏡をかける理由”を、いたく気に入っているのだ。
 亜愛一郎、ヨギ ガンジーときたら、曾我佳城は、外せないだろうということで「天井のとらんぷ」を推してみたが、ちょっと弱いかしらん。まあ「赤の追想」や「狐の面」でもよいのだけれど。
 「実は泡坂さんの作品であればなんでもいい。」
 これは、このアンケートに参加した、戸川安宣氏の文章の冒頭を勝手に引用したものだけれど、実はわたくしもそうなのだ。だからといって適当に選ぶのは失礼なのは当然であって、真剣に悩んで、挙げてみたが、いかがかな。

 それよりも、このアンケートで意外だったのは、近藤史恵氏がBest1に挙げている「珠洲子の装い」だ。これにはたまげた。わたくしの<亜愛一郎>シリーズの裏ベストなのだよ。いわゆるチェスタトン「ヒルシュ博士の決闘」の泡坂妻夫版。
 だから、泡坂妻夫のファンはいいなあと思う。近藤史恵の本は三冊ぐらいしか読んでいないと思うので、すぐにでも買って読もうと考えている。

 
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その92老いたる霊長類のわたくしへの挽歌

2015-05-04 19:59:19 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 船戸与一氏の訃報を聴いたかと思えば、朝刊を開くと今度は、ルース・レンデル氏逝去とのこと。
 ご両人とも、わたくしはよい読者ではないが、辛いものがある。
 
 その当時国産探偵(冒険)小説にはあまり興味のなかったわたくしは『非合法員』については、スルーしたのだと思う。本当のところは憶えていない。気になって読んだのは、たぶん『夜のオデッセイア』のはずだ。なかなか面白いではないかとは感じたものの、わたくしの前には未開地ともいうべき豊沃な翻訳探偵小説群が待ち受けていたので、その後の興味の範囲内とはいえない、船戸与一の本は手には取ったものの購入はしなかった。しかしながら、それから何冊目か、あの『山猫の夏』を新刊書店で見かけ「これは!」とすぐさまレジへと急いだ。当時のわたくしの感覚は今とは違い、研ぎ澄まされていたに違いない。その後も『神話の果て』や『伝説なき地』を愉しんで読んだように思い起こされるが、いかんせん、わたくしは、当時新作を発表する国産のハードボイルドあるいは冒険小説系列では、志水辰夫や逢坂剛といった作家の作品の方が好みであって、何よりも船戸与一を推す(今でもかもしれないが)世間の国産冒険小説ファンの嗜好とはかなり異なっていた。

 面倒なので、以下、続く(かもしれない)。
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その91御用だ!御用だ!!

2014-11-17 21:45:42 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 暇なので、書籍の整理でもしようかと、書庫をごそごそしていたら、重ねた本の山から、角田喜久雄『いろはの左近捕物帳』春陽堂(捕物小説全集)という本が出てきた。もちろん読んでいないと思う。まちがいなく古書店で衝動買いして、そのまま書庫に放り込んでいたにちがいない。どんなものだったかと、頁を捲って目次を見て、冒頭のお話が、ああら「怪異雛人形」。これって講談社文庫の大衆文学館シリーズで見た記憶があるなあ。と思い出しながら、再び目次に眼を戻すと、あれれ第六話めと第七話めの間にスペースがある。その左横の、第七話めの題を眺めると「生首小町」とある。おお、これはと、書庫にUターンし、またあっちこっちをひっくり返して見つけたのが、角田喜久雄『葵の花太郎行状記』秋田書店(時代推理小説10)だ。そこで、『いろはの左近捕物帳』の目次と比較してみると、こんな具合。

<い>七話「生首小町」→<葵>八話
<い>八話「阿蘭陀鍵」→<葵>九話「おらんだ鍵」
<い>九話「鼻唄三千両」→<葵>十話
<い>十話「よろめく死人」→<葵>十一話
<い>十一話「捕縄戀慕」→<葵>二話「捕縄恋慕」
<い>十二話「梅雨の紅蜘蛛」→<葵>五話
<い>十三話「轉がる生首」→<葵>なし 
<い>十四話「犬を呼ぶ娘」→<葵>一話
              <葵>三話「血まみれ絵図」
              <葵>四話「祭礼ばやし」
              <葵>六話「蜂浪人」
              <葵>七話「羽子板呪殺」

 春陽堂版の、十三話「轉がる生首」は、秋田書店版には収録していない。けれども、春陽堂版には入っていなかった「血まみれ絵図」「祭礼ばやし」「蜂浪人」「羽子板呪殺」の四篇は、秋田書店版には収めてある。
 ということで、『いろはの左近捕物帳』は、『葵の花太郎行状記』とのセットだったわけだ。
 ところが、わたくしが気になったのは、『葵の花太郎行状記』の目次の方で、実は併録として「伝七捕物帳」とあったこと。
 おや、「伝七捕物帳」って、陣出達朗作ではなかったか。と不思議に思い、調べると、へえ、「捕物作家クラブ」参加作家による合同企画から生まれたものだったのだね。
 角田喜久雄も、そのうちのひとりだったのだろうか。
 いやはや勉強になるなあ。
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その90交叉点と交差点の差

2014-11-13 21:02:40 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 ※警告!
 以下は、フレッド・カサック『殺人交叉点』あるいは『殺人交差点』の内容に触れる部分がございます。未読の方は、お読み飛ばしいただくのがよろしいかと存じます。
















 




 ※警告!!
 フレッド・カサック『殺人交叉点』あるいは『殺人交差点』未読の方は、ご遠慮いただけば幸いかと存じます。





















 さて、わたくしにとって苦い思い出のあるフレッド・カサック『殺人交差点』。
 記憶を辿ると、それは、遡ること何年前か。ミステリ・マガジン誌の、山口雅也氏の連載コラム<プレイバック>で、その書名を知ったのが、発端だったろうか。
 山口氏は、そこで、ワセダミステリクラブ員が、選んだミステリの十傑のようなものを挙げていたのではないかと記憶する(確信はまったくない)。
 第一位と第二位が、ロス・マク夫妻(『さむけ』と『殺す風』)だったかなあ。
 そのベストテンに堂堂と食い込んでいたのが、フレッド・カサック『殺人交叉点』だったのだ(と思う)。
 また、わたくしが惹かれたのは、その煽り文句で「読後、家の中を走り回った」とのミステリクラブ員の感想。
 おお、これはまさにわたくしの『アクロイド殺害事件』体験の既視感ではないか。これは読まずばなるまいと意を固くしたのだけれども、入手方法が問題だ。
 だって、地方の片田舎に、創元クライム・クラブを置いている古書店なんてありはしない。というより古書店の存在すら皆無なのだ。わたくしは、都市圏のめぼしい古書店に足を運んだり、在庫を問う手紙を送りつけることが出来るような積極てきな性格の人間ではない。
 と、そこへ偶然にも、わたくしの気持ちを察したかのように、東京創元社の創元推理文庫から、『殺人交叉点』を『殺人交差点』という書名へ変えて、改訳版で、復刊するとの吉報がまいこんでくる。そうして、待ちに待った発売日、新刊書店にて、うはうは喜びながら購入し、帰宅するなり即一読。
 そして溜息。
 これはいけない。鈍いわたくしでも、途中で、そういうことなのかと見抜いてしまったのだ。
 誤訳という話をよく聴くが、それは違う。訳者は、探偵小説に詳しくないのだ。だから、丁寧に訳しすぎたのだね。
 この訳で読んだひとは、わたくしを含めて、ご愁傷様。
 ちなみに、問題の箇所は、旧版の『殺人交叉点』では、67頁。

 「立たないで、可愛い人」

 との訳出だ。
 これを、改訳版では、ちがう言葉へ変えただけのことで、必殺の大ワン・トリックがみごとにぶちこわされようとは、げにおそろしきものだなあ。
 翻訳書は、フィルタがかかり、そのフィルタ如何で内容の良し悪しが左右されることを、わたくしはこの時点で苦い思いと同時に勉強したのだった。
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